オリックスのドラフト1位の新人、藤川敦也投手が、トミー・ジョン(TJ)手術後、チームに合流しリハビリを始めた。
「ひじを治して活躍する自信はあります」。手術から13日目の9月1日、チームに合流しリハビリを始めたばかりの藤川が、大阪舞洲の球団施設で表情を引き締めた。
最速153キロのストレートを武器とし、延岡学園高から2025年ドラフト1位でオリックスに入団した右腕。入団後も、2位の森陽樹投手(大阪桐蔭高)、3位の佐藤龍月投手(健大高崎高)の“高卒トリオ”の中で、常に先頭を走ってきた。
5月3日のロッテ戦(杉本商事Bs)で3人同時に2軍戦に初登板し、1イニングを8球で3者凡退に仕留める好スタートを切った。同19日の広島戦(京セラドーム)でも2回を無安打無失点。同29日の日本ハム戦(杉本商事Bs)では、同期のトップを切って3イニングを投げて無失点。6月19日の阪神戦(同)で初めて先発マウンドに上がり、3回まで一人の走者も出さない完ぺきな投球を披露した。圧巻は4回。1死から連打とバックの拙守で満塁としたが、梅野隆太郎選手を外角低めへの150kmのストレートで空振り三振に仕留めた。島田海吏選手も150kmで左飛に打ち取り、4イニングを55球、被安打2、奪三振4、無四球、無失点で、防御率0.00を更新。力感のないフォームからの制球力と、テンポよく投げ込む姿はシーズン中の1軍デビューを予感させた。
しかし、この試合の後、右ひじ痛で戦列を離脱することになってしまった。投げることができる状態まで回復はしたものの、実戦復帰するまでには至らなかった。7月中旬には「今年中の1軍は無理かもしれません」と苦しい胸の内を明かしたこともあった。一向によくならないひじの状態。8月になって受診した医師の言葉は、どれもTJ手術を勧めるものだった。それでも「中学、高校で痛めた時とは状況が違うので、保存療法でいけると思いました。むちゃくちゃ悩みました」と、一度は手術を回避することにしたが、「早いうちに手術をするのはチャンスだから」という周囲の声に思い直すことになった。エースの宮城大弥投手や山下舜平大投手らが手術に踏み切ったことも、前を向かせてくれた。
8月19日に手術し、公式戦への復帰は2シーズン後になる。復帰のマウンドで思い描く姿がある。ひじを治すだけではなく、力感のないフォームから力強いフォームへの改造だ。「今の投げ方でも通用すると思いますが、頭打ちになると思います。出力を上げようとすると力んで、ひじに負担がきてけがをしやすいですし」
イメージするのは、大谷翔平投手や山本由伸投手(ドジャース)だ。「二人とも、アグレッシブに投げています。いいピッチャーはフォームも力強いですから。ひじが痛いから治して、ひじが強くなったから球が速くなるとかじゃなくて、ちゃんと体も見直してからそっちを目指したいですね」。余裕を感じさせるマウンドさばきとあごひげをたくわえた風貌だけでなく、18歳とは思えぬ落ち着きで2年後の完全復活を目指す。
取材・文=北野正樹