ロッテ・山口航輝(撮影=岩下雄太)

 「上がってきた時よりは、良くはないかなと。けど、一日一善するために頑張っています」

 ロッテ・山口航輝は現在の打撃の状態についてこのように自己分析するが、再昇格後はバットで存在感を見せている。

 22年にチーム最多の16本塁打、翌23年に14本塁打を放った山口だが、昨季はパ・リーグタイ記録となる4打席連続本塁打を放つなど7本のアーチを描くも、出場試合数は35試合の出場にとどまった。

 今季に向けて、1月の自主トレではZOZOマリンスタジアムなどでハードなトレーニングを行い、2月の都城春季キャンプでは「怪我なくいい感じに終えられたので、よかったです」と振り返り、「長打を打ちたいと思っていますし、狙うんじゃなくて、コンスタントに打ち続けることが必要だと思います。ファーストだけではない可能性もあるので、どっちも準備しながら。まずは打つ方でアピールしないといけないと思います」と意気込んだ。

 「悔いのないように1日1日過ごすことが僕の立場では大事になってくると思うので、試合に向けた準備を100%して、その中で結果を残せればいいかなと思います」と決意を述べ、対外試合に突入した。2月15日のヤクルトとの練習試合では、0-1の9回無死走者なしの第4打席、荘司宏太が1ボールから投じた2球目のストレートを打った瞬間にそれとわかる、レフトへ特大の一発を放つと、2月22日の韓国・ハンファとの練習試合では3安打4打点の大暴れ。オープン戦が始まってからも3月5日の楽天戦で2安打1打点と開幕にアピールを続けていた。

 3月14日の取材で山口は「良かったり、悪かったりかなって、はい」とポツリ。3月7日の日本ハム戦で、0-0の2回無死走者なしの第1打席、浅利太門が1ボールから投じた2球目の140キロカットボールを右中間に破る二塁打が良かったことを伝えると、「キャンプでやってきたことを続けながらできている。本当に試合で結果を残すだけかなと思います」と覚悟を示した。

 実戦が始まってからはファーストだけでなく、外野での出場も増えた。「どちらかというとファーストでスタメン出場する日よりも外野で出る日が多くなっているので、(3月)13日は外野で受けたので、(3月)14日はファーストでしか受けていないです。そこは両方、しっかりやりながらかなと思いますし、2つできれば、選手としての幅は広がるかなと思います」

 開幕一軍を掴みとり、4月3日のソフトバンク戦では4番・ファーストでスタメン出場したが、4月19日に一軍登録抹消。二軍降格後、15試合に出場して、打率.300、3本塁打、6打点と結果を残していた中で、同学年の藤原恭大が故障で負傷離脱。藤原に代わって、山口が5月12日に一軍の舞台に帰ってきた。

 早速バットでアピールする。同日の日本ハム戦、『6番・レフト』でスタメン出場すると、0-0の2回二死走者なしの第1打席、伊藤大海が1ボール1ストライクから投じた3球目の151キロストレートをレフト前に弾き返し、再昇格後初打席で“H”ランプを灯した。

 翌13日の日本ハム戦、0-4の7回一死二塁の第3打席、「入るとは思わなかったんですが良かったです。嬉しいです。結果が出て本当に嬉しいです」と、福島蓮が2ボール1ストライクから投じた4球目のストレートをレフトスタンド最前列に突き刺す今季第1号2ラン。

 5月20日の西武戦、0-0の2回無死走者なしの第1打席、「先制することが出来て良かったです」と菅井信也が1ボール2ストライクから投じた7球目のスライダーを第2号ソロ。5月22日の楽天戦、「完璧でした!マスノスケのおかげです。昨日、鈴木昭汰さんに連れて行ってもらったお寿司屋さんでいただきました!」と、1-1の5回一死走者なしの第2打席、柴田大地が1ボールから投じた151キロのストレートをレフトスタンドラッキーゾーンに決勝の第3号ソロ。

 さらに翌日23日の楽天戦で3試合連続となるソロを放つと、24日の楽天戦、4-8の9回無死走者なしの第5打席、藤平尚真が2ボール2ストライクから投じた6球目の152キロストレートを左中間スタンドに4試合連続となる第5号ソロ。同試合は1試合に4安打の固め打ちの離れ技を見せた。

 交流戦が始まってからも、5月27日の広島戦、「1、2打席目と感じ良く打てていましたが、塁に出ることが出来なかったので、この打席は先頭として塁に出ることを考えていました。それが良い結果になり良かったです」と、0-2の6回無死走者なしの第3打席、森翔平が1ボール1ストライクから投じたスライダーをポール際に第6号ソロを放った。

◆ 準備の大切さ

 山口は日々の“準備”を大切にし、1日を過ごしている。「体的にもそうですし、帰ったらストレッチしたり、長めに風呂入ったりするケアも必要だと思います。練習に100%の状態で望めるように朝とか、僕の体を考えて、かたまりやすいところをケアしてもらったり、朝、打撃投手の福島さんとティーを打ってそこで1日の状態を確認したりしています。続けていることを自分の形にできるように、というのが僕の中では準備かなと思います」(3月14日取材)

 最近では試合前練習前に、黙々と三塁ベンチ方向からレフトポール際に向かってロングティーをする姿がある。「今はロングティーをして、上半身だけじゃなくて、(下半身の)連動して打っているのかとか、バットの出を常に福島さんとやっています。すごく的確なアドバイスをいただいています」と、打撃投手兼ゲームアナリストの福島明弘さんに感謝する。

 “確認”の結果が本塁打の量産につながっているのだろうかーー。

 「そうですね。朝やっていることだったり、自分がしっかりやっている結果かなと思います」

 5月24日の楽天戦から現在7試合連続4番で出場する。「1日大切にして今日ちゃんとしないと、明日はないと思っているので、まず本当に1日1日、出る試合のことを考えて、先のことを考えずに1日1日しっかりやっていきたいと思います」。日々の準備、目の前の試合に真摯と向き合い続けた先に“継続した活躍”が見えてくる。“期待の長距離砲”から卒業し、シーズンが終わった時には“不動の4番”と言われるような存在になって欲しい。

取材・文=岩下雄太

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この記事を書いたのは

岩下雄太

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