◆ 白球つれづれ2026・第22回
楽天が交流戦で泥沼にはまっている。
1日現在(以下数字はすべて同じ)中日、ヤクルトと戦って6連敗。もちろん球団のワースト記録だ。
もっとも、今季楽天の5連敗以上はこれが4度目だから、交流戦に限ったことではない。単純に弱いのだ。リーグ全体を眺めても19勝32敗1分けは、断トツの最下位。5月の成績も7勝18敗では、希望の光を見つけるのも難しい。
「結果がこうなっているところは、本当にチームの監督がしっかりしていないところだと思う」と三木肇監督は敗戦の責任を一人で背負ったが、果たしてそれだけか?もはや、一人のスケープゴートを名指ししても、追いつかないほどにチーム状態は悪化している。
今季のチーム打率.239、同防御率3.16は、それぞれリーグの4位と5位で極端にひどい数字でもない。ちなみに昨年の最終成績を見ると、チーム打率.244で4位。同防御率3.37も4位、チームも4位でシーズンを終えている。
では、今季はなせここまで沈んでしまったのか? 病巣は多岐にわたる。
まず第一に挙げたいのは,外国人を含めた新旧戦力の思惑外れである。
昨季限りでスペンサー・ハワードが退団して巨人入り。打者では長距離砲として期待を集めたマイケル・フランコも退団。これに対して今季からホセ・ウレーニヤ、ロアンシー・コントレラス投手らが新加入。荘司泰誠、早川隆久、古謝樹らと共に先発陣の一角でフル回転の働きを見込んだが、ふたを開けてみると、ウレーニャの2勝が精一杯。打撃陣では昨季途中入団で13本塁打を記録したルーク・ボイト選手に爆発を期待したが、ここまでは打率も1割台で一軍と二軍を行ったり来たり。チーム力を引き上げるはずの‘外国人パワー‘が不発では急上昇も望めない。
楽天では、近年、田中将大や則本昴大投手らが退団。チームの顔となるスタープレーヤーが不在の上に、チームをまとめ上げる「核」になる選手も見当たらない。そこでメジャー帰りの前田健太投手を獲得したが、往年の切れ味は戻らず早くも二度のファーム調整を余儀なくされている。
少し、下世話な話になるが前述の新助っ人に、前田とボイトの推定年俸まで足すと9億2000万円。これが現状では、ほとんど機能していないのだから、フロントや首脳陣の責任は重い。
石井一久氏がGMに就任してから多くの監督が短命でチームを去って行った。
二度目の指揮を執る三木監督と言えば、名将・野村克也氏の流れを組む。ID野球を駆使してそつのない戦いを目指しているのだろうが、今季の戦いを見る限り拙攻や拙守で白星を失っている場面が目につく。
日本一に導いた星野仙一元監督や、野村監督のようなカリスマ性があれば話題に事欠かないが、地味な三木監督にそれを望むのは酷だろう。チームに弱い時はどこでもある。こんな時こそ、チームがどういう目標を立て、どう戦力を作り上げていくのか。球団としての指針なり、ビジョンが求められる。それはまさに石井GMの仕事ではないだろうか。
石井GMと言えば現役時代、ヤクルトと西武にメジャーでも活躍して、後の人脈も築いた。そのヤクルトと西武がシーズン前の下馬評を覆して、目下、首位戦線で暴れている。
ヤクルトは池山隆寛新監督の下で「のびのび野球」を展開。二軍時代の教え子たちが溌剌とプレーすることでチームの沈滞ムードを吹き飛ばした。
近年、楽天の下で苦しんでいた西武はFAで桑原将志、石井一成選手を獲得、ドラフト1位入団の小島大河選手や新戦力のアレクサンダー・カナリオ選手らが活躍することで一気にチーム力が上がった。元古巣の躍進を見て、石井GMも思うところはあるだろう。
昨年も5月終了時点では5位に沈んでいたが、夏場には勢いを取り戻し、一時はAクラスも射程圏に捉えた。
東北はこれからが、夏祭り本番。その前にイーグルスの灯を消すわけにはいかない。まずは2日からのDeNA戦で交流戦初勝利を勝ち取る。
文=荒川和夫(あらかわ・かずお)