オリックスの博志投手が、5月31日の中日戦(京セラドーム)で2回途中からの“緊急登板”。チームに流れを呼び込む投球で今季2勝目を挙げ、チームの5月の勝ち越しに貢献した。
「こういう場面で多く投げてきましたから。でも“火消し”(救援)として行っている以上、0で抑えたかったですね」。博志がちょっぴり、悔しそうに振り返った。
出番はいきなりやってきた。2点リードから先発の高島泰都投手が逆転を許した2回途中1死二、三塁から登板。村松開人選手に左犠飛を許したが、最少失点でしのぎ、3回は10球で打者三人を退けた。4回に1点を与えたものの、その裏のチームの逆転につなげた。「いつでも投げる準備はしています」というから、投手陣にとって頼もしい存在だ。
博志は、静岡県出身。磐田東高、ヤマハから2017年ドラフト1位で中日に入団。現役ドラフトで24年からオリックスでプレーしている。先発、1イニングのリリーフだけでなく、複数回を投げる「回またぎ」もやってのける貴重なマルチプレーヤー。「大きなけがで離脱した記憶がない。高熱でも休んだのは新型コロナウイルスに感染した時くらい。仕事ですから。サラリーマンも一緒でしょ。1回休むと体力が落ちますし、ファームで調整しているうちに立場が変わってしまうかもしれません」と博志。タフネスさは、中日時代に培ったもの。「元々、そういう環境でやっていましたから。『走れ』『投げろ』『もっと練習しろ』でした。昔なら、普通のことでしたから。中日時代の財産ですね」。それだけに、今回の勝ち星は古巣への“恩返し”でもあった。
今季に期するものがある。移籍1年目は32試合に登板したものの、昨季は15試合にとどまった。2軍で防御率1.21と好投しながらも、チーム事情で1軍での活躍の場は限られた。「悔しかった」という思いが、オフからの食生活の改善につながった。後輩の前佑囲斗投手が脂分を制限して体を引き締めていることを知り、大好きだった揚げ物を摂るのをやめた。サラダにドレッシングもかけない。食生活を見直すことで、早寝、早起きや早朝散歩、有酸素運動などを取り入れるなど体に対する意識も変わった。
フォームも変えた。2軍戦でバックの拙守もあり、大量失点した後から腕を肩のラインで投げるようになった。「上から投げようとして被せちゃったので、横の回転で投げるようになりました。フォームとか考えず、腕が振れるところで投げているだけなんですが、思い切り投げている感覚じゃないのに151km、152kmが普通に出るようになったんです」。プレートを踏む位置も、構え方も変えたという。
「雑に扱ってほしいんです」と博志はいう。首脳陣に、どんな場面でも気にせず、どんどん使ってほしいというアピールだ。「ボロ雑巾でいいんです。使っていくうちに汚くなるかもしれませんが、破れることなく使いやすいんです」。4投手が揃ったヒーローインタビューで、旧知の元テレビ静岡アナウンサーの小松建太さんから「博志さん、お願いします」と締めの言葉をいきなり振られた。「ヒロシです」と応えて場内の喝采を浴びた博志。丈夫で長持ち、心技体も充実している。フル回転で首位争いのマウンドに立つ。
取材・文=北野正樹