ワールドシリーズ初戦を制したドジャース

◆ 初戦勝利は高確率で世界一

 29年ぶりの世界一を狙うドジャースがワールドシリーズ第1戦を勝利で飾った。世界一を決める大舞台で初先発を果たしたクレイトン・カーショーが7回を1失点の好投。リリーフ陣もアストロズ打線を無安打に抑え、ドジャースが幸先いいスタートを切った。

 過去30年のワールドシリーズでは第1戦を制したチームは、高い確率で世界一に輝いている。1987年から2016年までの30年間(1994年はストライキのため開催されず)で、初戦を取った29チームのうち、実に24チームが世界一に輝いている(優勝確率は83%)。第1戦を落としながら、逆転で頂点に立ったチームは、昨季のカブス、2009年のヤンキースなど5チームだけ。さらに2連敗からの逆転世界一となると、1996年のヤンキースが過去30年で唯一だ。

◆ バーランダーがアストロズ移籍後好調

 初戦を落としたアストロズとしては、第2戦は絶対に負けられない戦いとなる。そのアストロズは先発のマウンドにベテランのジャスティン・バーランダーを送り込む。8月末にタイガースからアストロズに移籍して以降、プレーオフを含めて9試合に登板(8試合に先発)、9勝0敗、防御率1.23という圧巻の成績を残している。

 “優勝請負人”としてアストロズにやってきたバーランダーにとって、今回が自身3度目のワールドシリーズ。タイガース時代の2006年と12年に合計3試合に先発しているが、0勝3敗、防御率7.20と打ち込まれ、この大舞台は苦い思い出となっている。また、タイガースはいずれの年もワールドシリーズで敗れ去り、バーランダーはまだ世界一を味わっていない。

◆ ワールドシリーズ経験者が少ない両チーム

 今回25人枠に入った両チームの選手を見ても、ワールドシリーズの出場経験者はドジャースがチェース・アトリーのみ。アストロズもバーランダーとカルロス・ベルトランの2人だけだ。プレーオフを経験した選手は多いが、ほとんどの選手がワールドシリーズ初出場。またワールドシリーズ経験者の3人の中でも世界一の味を知る選手はアトリーただ1人だ。

 初戦を制したドジャースがかなり有利というデータはあるが、第2戦でバーランダーが流れを引き寄せることができるのか。また、ベルトランとアトリーというワールドシリーズ経験選手もシリーズの行方を占う存在になってきそうだ。

文=八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊・プロフィール】 1976年、和歌山県出身。大学卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。 野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。日本にファンタジーベースボールを流行らせたいという構想を持ち続けている。

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