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力でねじ伏せる
「真っ直ぐで押していくスタイルは変えずに。あとはイニングが増えていきますけど、1回を3人でまずは切ることが一番なので、どんな形であろうと無失点に抑えて、まずは結果にこだわってやっていこうと思います」
2回を無失点に抑えた11日の紅白戦後の取材でこのように話していたロッテの中森俊介が19日の広島戦に先発し、“有言実行”の力で押していくスタイルで、3回・33球を投げ、2被安打、1奪三振、無失点にまとめた。
中森は初回、先頭の小園海斗にオールストレート勝負で二ゴロに打ち取ると、続く矢野雅哉もストレートで中飛。堂林翔太にも全球ストレート勝負で挑むも、3ボール1ストライクから投じた5球目のストレートをレフトへ弾き返され、二塁打を打たれた。それでも、二俣翔一を投ゴロに打ち取った。初回は15球中14球がストレートのパワーピッチング。
2回以降も変わらず真っ向勝負。2回は9球中7球がストレート、3回も9球中6球がストレートと力でねじ伏せた。
ストレートにこだわる
中森は昨年の秋季練習で「毎年オフシーズンに空振りとれる変化球を磨きたいというところで、そこを一つの軸に考えてやっていたんですけど、変化球を生かすも殺すも真っ直ぐ。どれだけ良い変化球を投げても、真っ直ぐがきていなかったら、弾かれますし、そういう意味でも真っ直ぐの重要性を感じたこと。このオフシーズンに向けて、もう1度真っ直ぐを極めたい」と、“ストレート”を磨くことを誓っていた。一冬を越えて、2月の石垣島春季キャンプでは「いい感じで作れていると思います」と、土台作りをして力強いストレートに手応えを掴んだ。
ストレートはアベレージを求めている。「普通にアベレージを最終的には150キロ前半ぐらいに持っていきたいと思っています。アベレージをそこに持っていくには最高値上げないといけないんで、マックス値を。まずは出力を上げることを。ブルペンでも多少、コントロールが荒れてもいいんで、出力出すことだけ今意識しています」と石垣島春季キャンプのブルペンではストレートの出力を上げることにこだわった。
2月7日にはライブBPに登板し、「あんまり状態は良くなかったですけど、真っ直ぐで空振りだったりファウルを取れていたので、強さ的には良かったのかなと思います」と、髙部瑛斗、山口航輝、西川史礁、山本大斗の4人に対し、20球を投げ安打性のあたりを2本に抑えた。11日の紅白戦でも「出力は出せていましたし、ファウルも取れていたので良かったと思います」と、納得のいくストレートを投げられた。松川虎生を三振に仕留めたストレートについては「狙いに行って追い込んでからだったので、コース厳し目に。低め低めというよりかは、力で真ん中から高めに投げる意識で投げました」と振り返った。
こだわってきたストレートで力勝負ができている。昨季は「入りは結構良かったんですけど、3月中盤にかけて調子を落としてしまった。ペース配分をしっかり考えたい」と昨年11月時点で話していたが、現在は「1番は怪我しないこと。怪我せずに僕はアピールする立場なんで、しっかりやるところはやって、休むところは休んでっていう。そのメリハリを今年アメリカで西野さんと一緒にやらせてもらった時に言われたので、やるときやって、しっかり休む時は休んでっていう今年のテーマというか、肝に銘じてやっていきたいなと思っています」とがむしゃらに練習するだけでなく、メリハリをつけている。
その西野と行ったアメリカドライブラインでの自主トレは「最初は個人的に1人で行こうと思ってたんですけど、西野さんが今までアリゾナに行かれてたりしていたんで、情報というか、通訳とかどうされてるんですかっていう質問した時に、西野さんも今年行くから、『もしよかったら一緒に行かないか』っていうことだったんで、誘っていただいて行きました」と明かし、「間近でドライブラインのトレーニング法だったりとかも知れました。数が多くデータがあるので、その情報も見れましたし、あとは西野さんと行けたことで、いろんなそのリカバリー法だったり、考え方だったりっていうのを教えていただいた。すごくためになったアリゾナでした」と充実の時間になった。
昨季は規定投球回を目標に掲げながら、5試合に登板して、24イニングだった。磨いてきたストレートを軸に、今季こそ先発ローテーションを勝ち取り、目標を達成してみせる。
取材・文=岩下雄太