「前回に関してはスライダーが良かったので、良いところかなと思っていますね」。
ロッテの唐川侑己は、シーズン開幕に向けて“スライダー”に手応えを掴んでいる。
唐川は昨季取材のたびに“チャレンジ中”と話していたスライダー。横変化と縦変化の2種類のスライダーを投げ、1月の取材で“横のスライダー”を多めに投げていきたいと明かしていたが、前回登板の3月9日のソフトバンク戦では、1-4の5回二死走者なしで柳田悠岐に1ボール1ストライクから投じた3球目に130キロ縦に落ちるスライダーで空振り、1-4の5回二死二塁で山川穂高を2ボール2ストライクから6球目の131キロ縦に落ちるスライダーで空振り三振に奪うなど、“横変化のスライダー”だけでなく、“縦に落ちるスライダー”も投げていた。
縦変化に落ちるスライダーを投げた意図について唐川に確認すると、「意図はないですね」とし、「横のスライダーの意識で投げたら、低めに行ったらそういう成分が入るのでという感じですね」と教えてくれた。
◆ カットボール
リリーフに転向した18年後半からカットボール主体の投球で、先発に再転向してからも投球の軸になっている。
カットボールは、右打者のインコース、左打者のアウトコースにもカットボールを「どっちにも投げられたらという感じです」と話し、現在のカットボールについては「悪くない球はあったんですけど、つかまえきれていない球もあったので、そこが課題かなと思っています」と課題点を口にした。
昨季はカットボールを投げる際、「元々低めを狙っていないので、という感じです」と話していたが、今季も「決して低めを狙っていない感じですね」と、高めのカットボールでポップフライを打たせていく。
◆ ストレート
1月に取材したときにストレートの割合を増やしたいか訊くと、「思ってはいますけど、ある程度割り切ってそれはそれ、自分の投球は自分の投球という中でやっていけたらなと思います。別に投げられなくてもいいかなと思います」と話していたが、9日のソフトバンク戦ではストレートも投げていた。
「ストレートだと思います」と、0-4の4回一死走者なしで嶺井博希に2ストライクから投じた3球目のインコース146キロのストレートでファウルにさせたり、1-4の5回一死走者なしで川村友斗に1ボール2ストライクから見逃し三振に仕留めた外角146キロはカットボールかと思いきや、本人に確認すると「あれは真っ直ぐですね」と、ストレートだった。
◆ カーブ
カーブに関しては、スピードを上げたいと昨季から話していたが、前回登板のソフトバンク戦では120キロ台の速いカーブが多かった。140キロ台のカットボール、130キロ台のスライダー、チェンジアップ、120キロ台のカーブと、球速帯を分けたい考えなど持っているのだろうかーー。
「そうですね、カーブは緩いと追い込んでから投げた時、三振が取りにくいというのもありますし、それで速くしているんですけど、スライダー、チェンジアップは130キロくらいの球速帯ですね」。
昨季は故障で投げられない時期もあったが、一軍で先発した際はカットボールが冴え渡ったことに加え、チェンジアップ、カーブ、スライダーとその日良い球を見極め、良い球を多めに投げたことで抜群の安定感を誇った。今季も、与えられた登板機会で最高の投球を見せて欲しいところだ。
取材・文=岩下雄太