厳しい現実を突きつけられた。8月25日の朝、オリックス・河内康介投手の携帯電話のスケジュール機能は、「今日登板」を告げていた。本来なら、2度目の手術となった今年2月の「右膝前十字靭帯断裂」からの復帰マウンドに立っているはずだった。しかし、8月に左足を痛め同14日に手術し、この日は抜糸の日になってしまった。
3年間で3度目の手術。聖カタリナ高(愛媛)から2023年ドラフト2位で入団し、1年目の8月23日にトミー・ジョン(TJ)手術を受け、育成選手となって1年後の9月に復帰した。飛躍を期して臨んだ2025年の春季キャンプの守備練習で、右膝を痛め2月27日に2度目の手術。5月26日にはギプスが外れ、7月21日にはブルペンで30球を投げ込み、術後6か月目の復帰に向け順調にリハビリをこなしていた。
好事魔多し。大阪舞洲の球団施設周辺の坂道でダッシュをしていたところ、左の甲を痛めてしまった。「めっちゃ痛かったんですが、当初は腫れが引いたら歩ける炎症程度かなと考えて、誰にも言わないでおこうと思ったんです。でも、痛くて歩けなくて」。診察では、甲にある骨をつないでいる靭帯が切れ、骨折もしていた。「(リハビリが)順調すぎて足への負担が均等ではなかったのかもしれません。前十字の時もそうだったのですが、いきなりパーンとくるんです。前兆があれば途中で気付けるのですが」と河内。入団時から約15kg、増量し筋肉量も増えた。「それが悪かったのかもわかりませんが、そもそも体がないと戦えません。その身体に耐えられるように鍛えるしかありません」というが、リハビリをしながら復帰に向け出力を上げていくことの難しさを痛感したという。
3度目の手術が決まり、付き添いの球団トレーナーと別れて一人で車で寮に戻った。「一人で帰る時はきつかったですね。前十字をやった時も相当悔しかったのですが、その上をいきました。手術という言葉は重いのですが、『また?』『そんな簡単に手術になるの』みたいな感覚でしたね。流れているのも悲しくなってくる曲でした……」と河内。
入団以来、ほとんど実績を残せず、リハビリの毎日。チームに貢献できず、21歳には厳しすぎる試練。救いは、前の2回より復帰までの期間が短いことだ。11月の秋季キャンプの期間中にはブルペン入りする予定。「肘と膝を手術したので、投げる感覚も違っています。2か月半しかありませんが、春のキャンプでいいスタートを切れるように冬場も頑張って投げて、体を動かしていくしかないと思います。来年の契約があるかどうかわかりませんが、大きくなって帰ってきます」。大けがを乗り越え、強い体とハートを併せ持つ投手としてマウンドに立つ日を思い描く。
取材・文=北野正樹