2軍で調整中のオリックスの吉田輝星投手が、故郷秋田で行われた9月1日の楽天戦(こまちスタジアム)で、試合前の練習中に自身の名前入りのタオルをグラウンドで掲げてくれた九里亜蓮投手に感謝の気持ちでいる。
「うれしかったです。冗談で言ってくれていましたが、本当にやってくれるとは。この後の(シーズン)1か月に気持ちをつなげることができる出来事でした」。試合から一夜明け、吉田が大阪舞洲の球団施設で声を弾ませた。
2年ぶりに地元で行われた試合。こまちスタジアムでは2018年夏、エースとして金足農を県大会優勝に導き、甲子園で準優勝につないだ思い出の地だ。日本ハム時代の2022年6月21日には楽天戦で、先発。オリックスに移籍後は2024年5月8日の楽天戦で3番手で登板し、1イニングを被安打2、奪三振1、与四球1、自責点1と活躍はできなかったが、故郷のファンから大きな声援を受けた。
しかし、今年の球場に吉田の姿はなかった。8月9日のロッテ戦(ZOZOマリン)で3失点し、8月10日に1軍登録を抹消され2軍で調整を続けていたからだ。ただ、2軍戦3試合(22日、28日、30日)で好投し、1軍昇格のチャンスもあった。昨季はTJ手術を受けためマウンドに立つことができなかった吉田にとって、復活した姿を直接見てもらう絶好の機会になるはずだった。
「(地元の友人らから)めっちゃ連絡がきましたよ。ギリギリまでわからないけど、もしかすると行けるかもとは答えていました」と吉田。そんな時、舞洲で先発調整をしていた九里が「お前が(秋田に)行けなかったら、おれがタオルを持って行ってやるよ」と声を掛けてくれた。
練習中のグラウンドで、九里が「吉田輝星」の名前入りタオルを掲げてくれた映像を、ファンのSNSへの投稿で知った。不慣れな地方球場での先発マウンドでの登板を控えた中で、ファンに吉田の存在を示してくれた九里。「絶対に行く気持ちでいたので、ハハハと笑っていたのですが、行けなくなってそれを見ると、本当にうれしく思いました」と顔を上気させた吉田。
2年ぶりの凱旋登板はならなかったが、納得している自分もいる。「今シーズンは、(配球の)組み立てとかいろいろ変えたりしています。秋田の試合に(調子を)合わせることより、これからの1か月間に1軍にいることが大事だと思っていました。秋田も僕の中ではすごく大事なのですが、これからいいピッチングを続けていくことも大事なのです」。変わらずに応援してくれている故郷の人たちに、完全復活した姿をみせ続けることこそ、恩返しになる。
取材・文=北野正樹