7月10日、浜地真澄は育成選手から支配下選手へ戻った。背番号は「052」から「52」へ。翌11日の巨人戦では、いきなり一軍のマウンドに上がった。
そこから積み重ねたホールドは20。支配下登録からわずか2カ月余りで、一軍の勝ちパターンを担う存在へと駆け上がった。
いま浜地が任されているのは、勝利への架け橋となるセットアッパー。数カ月前まで育成選手だった男が、チームの運命を左右する最重要局面を託されている。
一軍復帰後、破竹の勢いで勝ちパターンへと定着した浜地だが、本人は至って冷静だ。
「8回だからといって特別全力で投げようとか、自分以上のものを出そうとは思っていません。意気には感じていますが、やることは変わらないです」
そう淡々と語る一方で、自身が置かれた立場への熱い意気込みと感謝も覗かせる。
「僕で言うと『三振が少ない』という部分がある中でも、勝ちパターンというところを任せてもらっている。データだけじゃなく、感性の部分で任せてもらっていることを感じていますし、アナリストさんたちの色々なデータと感性をうまく両方活かせていると思います。8回というシチュエーションで意気には感じていますが、今までやったことがないセーブシチュエーションであっても、やるべきことは変わらないのかなと思っています」
大活躍とは裏腹に、地に足のついたコメント。だがこれこそが8回を任されるようになった最大の理由でもある。
「昔は完璧を求めすぎて、自分にないものばかりを見ていた時期がありました。でも一軍に上がってからは、自分が持っているものをどう活かすか。完璧じゃない中でどれだけ結果を出せるかを意識するようになりました」
剛速球で圧倒するタイプではない。評価されている制球力についても「自分ではそんなに良くないと思っている」と自己評価する。
それでも重要な8回を任されている理由について、小杉陽太チーフ投手コーチは次のように説明する。
「阪神時代にもそういうシチュエーションで投げた経験があるし、打球管理ができているのが彼の大きな特徴なんです。フォアボールを出したとしても、打者の打球をしっかり管理して打ち取れる。だからこそ、あの厳しい場面を任せられる」
浜地はここまで29試合登板、28回2/3で防御率0.94、奪三振は18。
数字を見ても、三振でねじ伏せるタイプではないことがわかる。自分の持つボールと現状を冷静に受け入れ、分析と感性を融合させて投げ込む姿勢が、結果として8回の成功につながっている。
育成選手から支配下へ戻り、そこから一気に勝ちパターンの一角へ。「いつ終わってもいいと思って投げている」
腹をくくり、完璧ではない自分を受け入れた上でどう勝負するか。その覚悟と冷静なマインドが、浜地の生きる道に他ならない。
取材・文 / 萩原孝弘