ロッテ・西川史礁(撮影=岩下雄太)

 「成長も感じられましたし、それとともにまだまだ課題も見つかったので、伸ばせるところがあると思います。そういうことを感じたシーズンだったかなと思います」

 ロッテの西川史礁はプロ2年目の今季、最多安打のタイトルを獲得するなど、136試合に出場して、打率.290、8本塁打、53打点、OPS.745、得点圏打率.339の成績を残し、主力の一人へと成長した。

 プロ1年目の昨季、シーズン途中に一軍登録抹消される時期もあったが、6月13日以降は打率.311をマークするなど、最終的には打率リーグ5位の.281、リーグトップの27二塁打を放ち、パ・リーグの新人王を受賞した。

 2025年シーズン終了後に行われたZOZOマリンスタジアムの秋季練習では、打球の角度について口にすることが多かった。同年10月18日の取材で「最近なかなか弾道が上がらない」と話していたが、10月19日の練習ではレフトラグーン席に飛び込む当たりを放てば、同年10月21日の練習でもセンターから右に強い打球を飛ばした。

 「角度、技術が一番必要ですけど、このオフシーズンにしっかり取り組みたいと思います」。シーズンオフも、新シーズンに向けてバットを振った。「しっかりと自主トレも自分なりに感じることができていて、今日(2月1日)の練習もしっかりと、そこは出たところは出たんじゃないかなと思います」と、一冬を超えて取り組んできた成果に手応えを感じていた。

 「去年慣れないことがたくさんあったんですけど、今年は慣れている部分というか、そこは去年と違うところではあると思う」と、環境にも慣れ、練習試合、オープン戦、公式戦と進んでいきたいところだったが、2月10日の守備練習で右前腕に違和感を訴え、右前腕屈筋損傷と診断された。

 3月13日の西武とのオープン戦から一軍に合流すると、オープン戦出場3試合目となった15日の西武戦で2安打するなど、8試合に出場して、打率.364、1本塁打、5打点。

 「去年以上の成績が一番に出てくるワードだと思いますし、ベストナイン、ゴールデン・グラブ賞は取りたいタイトルでもあるので、去年は新人王を取れましたけど、今年も何かしらのタイトルをプラス、首位打者を目標にやっていきたいと思います」

 3月27日の西武との開幕戦、第1打席に今季初安打を放つと、翌28日の西武戦で3安打3打点、4月1日の日本ハム戦から4月7日のオリックス戦にかけて6試合連続安打を放つなど、2年目のジンクスを感じさせないスタートを切った。

◆ 勝負強い打撃

 春先、得点圏での勝負強さが光った。4月12日の西武戦では、「気持ちで打ったっていう感じですね」と、0-0の9回一死一、三塁の第5打席、岩城颯空が1ボール2ストライクから投じたストレートを、バットを折りながらレフト前に運ぶ先制打を放てば、4月21日のオリックス戦、4-4の6回二死一、二塁の第4打席、横山楓が1ボール2ストライクから投じた外角の146キロカットボールを体勢を崩されながらうまく合わせて技ありのライト線を破る決勝の2点適時二塁打。

 一時得点圏打率.526をマークするなど、得点圏打率は5割を超えた。チャンスで打席に入った際の考え方を昨季から変えたりしたのか訊くと、「チャンスになったらとにかく強い打球を打とうと思っているので、それだけです」と力を込めた。

◆ こだわってきた長打

 5月に入ってから2日の西武戦から4日のオリックス戦に3試合連続無安打と、5月上旬安打が出ない時期もあったが、12日の日本ハム戦、「狙い通りのバッティングができたというか、それは一番ありますね」と、0-2の6回二死走者なしの第3打席、伊藤大海が投じた初球のスライダーを右中間に破る二塁打は“西川らしい”右中間に力強い打球だった。

 14日の日本ハム戦では、0-0の初回一死三塁の第1打席、「ここ最近打点を稼げてなかったっていうのもありますし、昨日(14日)もチャンス潰してばっかりだったので絶対打とうと思って打席入りました。先制できて良かったです」と日本ハム・細野晴希が投じた初球の151キロストレートをライト前に弾き返す先制の適時打。

 3-1の6回無死走者なしの第3打席、「反応で上手く打つことが出来ました。追加点を取ることができて良かったです」と日本ハム・細野が1ボール1ストライクから投じた3球目の150キロストレートをレフトホームランラグーンに飛び込む第2号ソロ。

 西川は昨年のZOZOマリンスタジアムで行われた秋季練習では、角度のついた打球を多く放ち、今季に向けて確実性、長打力をこだわって取り組んできた。開幕してから「なかなかホームランが出ない。そこはあんまり試合中は意識していないんですけど、数字にも出ているようにまだ1本しか出ていないので、そこは感じているところではありますが、自分の打ちたいスイングは少しずつ成長してきている。自信を持ってやっていきたいと思います」と5月13日の試合前練習後の取材で話していた中での、4月15日の日本ハム戦以来の本塁打だった。

 5月15日のオリックス戦、「ここしかないと思ったんで、真っすぐ一本でいきました」と3-3の7回二死一、二塁の第4打席、山﨑颯一郎が3ボール0ストライクから投じた4球目の152キロストレートをレフトスタンドに決勝の第3号3ランで昨季の本塁打数に並ぶと、5月22日の楽天戦、0-0の初回二死走者なしの第1打席、「初回どんな形でも打ってやろうと思っていいましたしホームランという形で先制することができて良かったです」と、ウレーニャが3ボール2ストライクから投じた9球目の137キロスライダーをレフトへシーズン自己最多となる第4号ソロ。

 5月23日の楽天戦、6-6の9回一死二塁の第4打席、藤平尚真が2ボール2ストライクから投じた7球目のストレートに詰まりながらもレフト前に落とす決勝打。

 5月26日の広島戦、0-1の8回一死走者なしの第4打席、ハーンが2ボール2ストライクから投じた5球目の155キロストレートをレフトオーバーのエンタイトル二塁打、翌27日の広島戦、0-0の初回二死走者なしの第1打席、森翔平が投じたインコースの137キロカットボールをライトライン際への二塁打が良かった。

 「ボールが当たるまでしっかり自分の右肩が見えない位置で着地できたというか、それが一番良かったかなと思います」と振り返った。

 試合前の打撃練習では、オープン戦終盤から「軸を残す意識づけの練習で最近ずっとやっています」と序盤はノーステップ気味に打つこともあったが、「その時のバランスで今はこっちの方が合うなと思うので、という感じでやっています」とここ最近は最初から左足を大きく上げて打つなど、その時の状態に合わせて工夫を凝らした。

 開幕からレフトで出場していたが、藤原恭大が故障で離脱して以降は、ライトでの出場機会が増えた。西川はライトの守備に関して「まだちょっと慣れていないところがあるんですけど、もっともっと慣れるようにやっていきたいと思います」と話しながらも、5月17日のオリックス戦、0-0の3回先頭の来田涼斗のライトフェンス際の打球、フェンスに体を預けて最後はぶつかりながらキャッチすれば、5月24日の楽天戦、1-8の6回無死一塁で佐藤直樹のライト線の打球をダイビングキャッチするなど、変わらず好守備を披露した。

◆ 四球増加

 6月3日のヤクルト戦では、打率.308で小川龍成(ロッテ)を抜いて、打率リーグトップに浮上。5月30日の阪神戦から6月5日の巨人戦にかけて6試合連続安打、同日から6月11日の中日戦にかけて11試合連続出塁。6月は月間打率.257だったが、出塁率は.350をマークした。

 7月3日からのソフトバンク3連戦は9打数0安打だったが、「四球はシーズン成績を残す上で大事になってくるので、そこは去年とは違う意識の仕方で立っています」と、3日が1四球、4日が3四球と3試合中2試合で出塁した。

 今季四球が多い理由について西川は「打つべきボールを打つ。何でもかんでもいくのではなくて、自分の絞った球をいくイメージでいっているので、そこがそれ(四球)につながっているのかなと思います」と自己分析した。

 最初の2打席安打が出なくても3打席目以降に安打が出たり、安打が出ない時に四球で出塁したりと、打席内での修正力が高くなっているように見える。「悪くなった時にどこが悪いか見つめ直すことができるので、1打席終わった後に反省してやっています」

 その他に、プロ1年目の昨季からノートで振り返りを行なっているが、そこも好不調の波が小さくなっていることは関係しているのだろうかーー。

 「もちろん毎日ノートも書いていますし、去年も書いていたので、色々去年のノートを見返したりとか、そういうこともします。良い時の感覚をどんどん取り入れていかないと。どうしても自分の頭の中では限界があるので、ヒントも自分の中では去年から貯めているのでそこはやっています」

 『マイナビオールスターゲーム2026』にファン投票で選出され、7月28日のオールスター第1戦、4-2の8回無死一塁の場面にレイエス(日本ハム)の代打でオールスター初出場。松山晋也(中日)が投じた初球の153キロストレートを左中間スタンドに本塁打。オールスター初打席、初安打が本塁打の離れ技。富山で行われた第2戦でも安打を放ち、「すごい自分のための時間にもなりましたし、いろんな話を聞けて、自分自身のこれからの野球人生に繋がるいい機会だったなと思います」と充実の時間になった。

◆ 好不調の波が小さく

 オールスター明けも安打が出なくても、四球を選んだり、好不調の波が小さく、8月12日のソフトバンク戦から8月26日のソフトバンク戦にかけて12試合連続出塁。

 「四球は今年多く取れているなと思いますし、去年以上になかなかヒットが出ない時に四球も大切になってくる。その試合をしている時はヒットが欲しいと思いますけど、トータルで見て考えた時に欲張らずに四球を取っていたらなとすごく今でも後悔している時もありますし、去年はそれが多くて、今年はそれを活かそうと思っています。3打席凡退の後、4打席目ヒットを打ちたいので、ボール球に手を出しがちですけどなんとか我慢して四球を取るというのをどんどん試合を積み重ねていって、繋がってくると思うので、そういうところは意識してやっています」

 そこは去年の経験が活きているのだろうかーー。

 「その経験もありますし、首位打者を取るためには四球が必要不可欠になってくるのは近藤さんからいろいろ聞きましたし、大事なんだなと思いますね」

 栗原健太打撃コーチも「四球が増えているというのは彼の中でも成長だと思いますし、ストレートとボールの見極め、我慢することができていると思うので、去年と違うところかなと思います。去年はヒットを打ちたいというのがどうしても勝っていたと思います」と、その成長に目を細めた。

 8月21日の日本ハム戦の第2打席でシーズンの規定打席に到達。9月に入ってからは「そこまで自分としては良くないのかなと思うんですけど、その中で四球だったり、ヒットが1本出ているというのは、人間誰しもそういう時があると思うので、そこでヒットが大事になってくるかなと思います」と話しながらも、9月8日の楽天戦、2-1の7回二死一塁の第4打席、九谷瑠が3ボール0ストライクから投じた4球目の147キロストレートをレフト前に安打。

 「1本でかいと思いますし、自分のイメージ通り、前の2打席、3打席目は死球だったんですけど、修正をかけて切り替えられた4打席目かなと思います」と振り返った。

 9月9日の取材時点で規定打席、安打数は自己最高の数字だったが、「全然そこは満足していないですし通過点だと思います。もっともっと打てるようにというのはずっと思っている。自分で足りないところは痛感しますし、もっともっと上を目指していかないといけない。もっともっとやっていきたいと思います」と、さらなる高みを目指した。

 最終的に目標に掲げた首位打者のタイトル獲得とはならなかったが、10月6日の西武戦、0-2の3回一死一塁の第2打席、「本当に色々考えることもありましたけど、もう今までやってきたことをここでやるだけ、出すだけだと思って。それぐらい開き直っていきました。打つことができて本当に良かったです」と、武内夏暉が2ボール2ストライクから投じた5球目の148キロストレートをショートの頭を越すレフト前安打で西川龍馬(オリックス)と並ぶリーグトップタイの155本目の安打。最多安打を確定させ、一塁ベースを向かう時に右手でガッツポーズを見せた。

 2年目の今季は打席数(586)、安打(155)、二塁打(28)、本塁打(8)、打点(53)、得点(109)、四球(41)、出塁率(.353)、OPS(.745)とあらゆる数字が昨季を上回った。

 「まだまだですね。二桁(本塁打)は絶対に打ちたかったんですけど、まだまだ自分の技術不足で、打てなかった。来シーズンの課題として、伸び代があると思うので、そこは自分の中でいいように考えながらやっていきたいと思います」

 首位打者を取るために必要だと感じたことについては、「四球ですね、そこが一番です」と“四球”を挙げた。

 「今年同様プレーでチームを引っ張っていけるように。今年は怪我で全試合出られなかったので、そういう悔しさもありましたし、来年に繋げていかないといけない。本当にチームの勢いをつけられるような選手になりたい。プレーで引っ張って。チームを勝ちに導けたらなと思います」。『ラグザス アジアプロ野球チャンピオンシップ2026』の日本代表に選出され、西川の今季の戦いは残されているが、来季はマリーンズの中心打者として、チームを引っ張っていくつもりだ。

取材・文=岩下雄太

この記事を書いたのは

岩下雄太

岩下雄太 の記事をもっと見る

【PR】U-NEXTで『SMBC日本シリーズ2026』をライブ観戦!

U-NEXT / 日本シリーズ

「U-NEXT」では、10月24日(土)に開幕するプロ野球『SMBC日本シリーズ2026』のうち、第1,2,3,6,7戦の最大5試合を見放題ライブ配信!

試合開始から終了までのライブ映像に加え、試合後のヒーローインタビューまですべて配信(見逃し配信も予定)。ライブ配信の時間に間に合わなかった方も、あとから好きなタイミングで名場面を見返せる。

U-NEXT月額プラン会員の方は追加料金なく見放題。はじめての方は、31日間無料トライアル登録で視聴可能。

シーズンの締めくくりとなる熱戦を堪能しよう!

POINT

① 日本シリーズを完全生配信(第1,2,3,6,7戦)

② 野球以外にも、映画・アニメなどの様々なエンタメコンテンツを視聴可能!

③ U-NEXT会員ならポイント利用で実質989円(税込)とお得に!

もっと読む