ロッテ・中森俊介[撮影=岩下雄太]※撮影日=25年2月4日

 「怪我しないというのは最低限のことなので、良かったと思います」

 ロッテの中森俊介はプロ6年目の今季、大きな離脱することなく、1年間プレーし、42試合・41回1/3を投げ、7勝1敗19ホールド、防御率2.40の成績を残した。

 中森は昨季150キロを超えるストレートとフォークを武器に前半戦25試合・29回1/3を投げ、2勝2敗10ホールド5セーブ、防御率1.23と抜群の安定感を誇り、自身初のオールスター出場を果たしたものの、オールスター明けは腰痛により一軍登板なし。

 今季は3月18日の楽天二軍戦で、腰痛明け二軍公式戦初登板。1回を14球投げたが、そのうち13球がストレートだった。ストレート主体の投球だった理由について「一軍で戦う上での準備というところなので、僕の場合はまっすぐが上がってこないと勝負にならない。バッターが待っていても、そこでファウルなり、空振りなり、カウントを整えていけるようなまっすぐに戻していかないといけない」と説明した。

 武藤敦貴のバットをへし折ったが、ストレートの出力についても「状態もどんどん上がってきている。次の登板でも上がると思いますし、順調にはきていると思います」と明かす。

 結果が求められる一軍のマウンド。一軍復帰に向けて、「去年腰をやっているので、腰の状態を見ながら。そこの再発さえなければ、戦っていけると思いますし、そのほかの肩、肘だったり、いろんな部分をケアしながら。いろんな方々のサポートもあって成り立つと思います。そこ(一軍の舞台)で勝負するために、いろんな方々の力を借りながら、まずは一つ一つ課題に向き合っていきたいと思います」と前を向いた。

 その後もファームの登板で145キロ前後とあまりスピードが出ていなかったが、5月2日のオリックス二軍戦では、ストレートの最速149キロを計測し、投じたストレートが全て145キロ以上とスピードが戻ってきた。

 5月4日に今季初昇格を果たすと、同日のオリックス戦で今季初登板を果たし、1回・12球を投げ、0被安打、1奪三振、0失点に抑えた。1回を無失点に抑えた今季3試合目の登板となった5月12日の日本ハム戦では、体を大きく使ったフォームで投げているように見えた。本人に確認すると、「その通りです」と一言。その理由について「体全体を使って投げたい意識です」と明かした。同日の日本ハム戦では最速151キロで、150キロ超えが7球。体を大きく使って投げたことも関係しているのか訊くと、「そうですね、要因のひとつだと思います」と教えてくれた。

 オリックス二軍戦以降はストレートのスピードが戻ってきている。本人も「スピードは戻ってきていると思います。あとは離脱することなく、怪我なくというところで状態を見ながらですね」と話し、スピードが上がってきた要因に「不安要素が少しずつなくなってきたのと、毎日PT(理学療法士)の方だったり、トレーナーの方が見てくださったおかげだと思います」と、復帰に向けてサポートしてくれたスタッフを挙げ、そして感謝した。

 変化球は、昨季は追い込んでからフォークを投げることが多かったが、この時期追い込んでからスライダーが多かった。「そうですね。良いものからどんどん使っていって、中継ぎなので1イニングですし、2巡目とか考えることもないので、目の前のバッターにというところを考えた時に良いものをどんどん投げていくという感じです」

 5月12日の日本ハム戦、2-3の9回一死走者なしで万波中正を2ストライクから132キロの横に大きく曲がるスライダーで空振り三振に仕留めた。「先に追い込んで、あれはカウント有利だったので、大きく曲げてボール球でもいいかなという意識で投げました。良い球だったと思います」と振り返った。

 勝ち試合の7回や8回を投げていた中で、、5月17日のオリックス戦では守護神・横山陸人が3連投中だったこともあり、3-2の9回に登板し今季初セーブをマーク、

 5月28日の広島戦では一、二軍合わせて今季初めての連投となったが、1回・14球を投げ、0被安打、2奪三振、0与四球、0失点と投球自体は危なげなかった。

 「体の状態としては連投2日目の方が状態は良かったですし、体が締まっている感じがあったので、連投を続けていった時の蓄積した疲れを溜め込まないように。イチからしっかりリカバリーをしていきたいと思います」

 同日の広島戦、4-3の8回先頭のモンテロをストレートで追い込み、3球目の135キロストライクゾーンからボールゾーンに落ちるフォークで空振り三振が非常に良かった。

 中森は「良かったですね。ようやくハマった感じがありました」と納得のいくフォークが投げられた。同日の広島戦、4-3の8回二死走者なしで野間峻祥を2ボール2ストライクから8球目の136キロストライクゾーンフォークで空振り三振に仕留めたが、意図してストライクゾーンに投げて三振を奪ったのか訊くと、「あれはボールゾーンに投げたかったんですけど、ゾーンに残っちゃったので、危ない球ではありましたけど、腕を振れていた分、奥行きというか、緩急差で空振りが取れたのかなと思います」と明かした。

 5月12日の日本ハム戦から「体全体を使って投げたい意識です」と体を大きく使ったフォームで投げていたが、5月31日の阪神戦で「元に徐々に戻っていると思います」と、昨季までに近いフォームに戻した。

 元のフォームでもスピードが出てきたことが関係しているのだろうかーー。

 「単純に体を大きく使ったフォームで(体が)扱いきれていなかった。ボールがどこにいくかわからない。自分にしっくりしたフォームで投げていますが、その分、ダメージは大きいのかなと感じています」(6月18日取材)

 6月14日のDeNA戦、4-2の7回先頭の勝又温史に2ストライクと追い込んでから3球目の137キロフォークで一ゴロに仕留めるなど、6月14日のDeNA戦以降はストレート、フォークの2球種のみの昨季に近い投球スタイルに戻った。

 「理想には近いですね。まっすぐでカウントをとって、フォークでというところなんですけど、一番良いのは三振取れることだと思うので、まだそこの数は全然取れていないですし、伸びしろかなと思います」(6月18日取材)

 6月19日の楽天戦では投球の際、いつもよりも横の時間が長かったように見えた。

 「横の時間が長く見えていたら、いいと思いますけど、個人的にはそんなに意識していなくて、意識していない中で第三者からそう見えているのであれば、良いのかなと思います」

 故障のリスクが大きい中で、元に近いフォームに戻したが、体自体は問題ないのだろうかーー。

 「故障する原因は一つじゃないので、いろんなものが重なって起こっている。そこは自分の中で一つ一つ改善していっているので、新しい自分というか、去年と同じ体、同じフォームだったら同じことを繰り返してしまう。股関節の動きだったり、細かい部分から見つめ直してやっていけたらなと思います」(7月10日取材)

 6月19日の楽天戦、8-4の7回二死一、三塁で黒川史陽に対し初球150キロの外角ストレートで空振り、2球目151キロの外角ストレートで空振り、3球目の135キロストライクゾーンからボールゾーンに落ちるフォークで空振り三振は、ストレートで追い込みフォークで三振の去年までの形。

 「あのフォークは良い高さ、良いコースに行っていたので良かったと思います」

 2-7の8回に登板した7月8日の日本ハム戦、田宮裕涼に1ボール2ストライクから投じた5球目のフォークは140キロを計測した。いつもよりもフォークのスピードが3、4キロ速かった。

 「あれは試しているというか、スプリット系のサイドスピン系のフォークを試していて、自分が元々投げていたフォークじゃないので、お試しでという感じです。使えたらなという感じですね」

 7月23日の楽天戦、3-1の7回一死一、二塁で辰己涼介を2ボール2ストライクから空振り三振に仕留めた7球目の外角137キロフォーク、7月25日のオリックス戦、3-4の7回二死一塁で山中稜真に1ストライクから投じた2球目のストライクゾーンからボールゾーンに落ちる空振りを奪った135キロフォークが良かった。

 「フォークは見極められるケースも多くなってきたので、そこでしっかりフルカウントになってもカウントの取れるボールを何かあればいいなと思って、小さいスライダーをまた投げるようにしたんですけど、バッターの得意、不得意を見極めながら投げたいと思います」

 ストレート、フォーク主体の投球となっていた中で、7月後半から再びスライダーを混ぜた投球スタイルに戻った。そのスライダーも7月25日のオリックス戦、3-3の7回無死走者なしで中川圭太を2ボールから左飛に打ち取ったスライダーは139キロといつもより速いスライダーを投げれば、8月1日の日本ハム戦、3-3の8回一死走者なしで清宮幸太郎に2ボールから投げた3球目のファウルにしたスライダーは131キロだった。

 中森によると中川を打ち取ったスライダーは“小さいスライダー”、清宮に投げたスライダーは“大きいスライダー”とスライダーを投げ分け、8月4日の取材でスライダーについて「まあまあです。そんなにすごく良いというわけではないです」とポツリ。

 ストレートは7月23日の楽天戦、今季最速153キロを計測するなどストレートは18球中17球が150キロ超えを記録し、150キロ以上を計測する登板が増えてきた。

 ただ中森は「数字的に球速は出ていると思うんですけど、そこまで質の良い、数値の良いボールではない。空振りの取れるボールではないですし、カウントを整えていく上で必要ではありますけど、今まで真っ直ぐが多かったところを別の球種でとって見たりとか、バッターの反応を見ながらですけど、真っ直ぐがまだまだ自分の思うような球じゃないので、騙し騙しという感じでやっています」と、納得のいくボールを投げられていなかった。

 7月25日のオリックス戦では、3-4の7回一死走者なしで渡部遼人の初球に一軍では今季初めて117キロカーブボールを投げたが、それもバッターの反応を見ながら、別の球種でというところに関係している。その後の登板を見ても、8月9日のオリックス戦、13日のソフトバンク戦は変化球主体の投球だった。

 フォークは8月4日の西武戦、西武戦、5-3の7回先頭の蛭間拓哉を1ボール2ストライクから空振り三振に仕留めた140キロフォークはストライクゾーンからボールゾーンに良い落ちを見せ、8月9日のオリックス戦、4-2の7回一死二塁で来田涼斗を2ボール2ストライクから空振り三振に仕留めたインコース139キロフォークはストライクゾーンからボールゾーンに良い落ちだった。

 「結局、僕はフォークボーラーというか、縦変化で空振りを取るピッチャーなので、バッターは追い込まれたら意識してくると思いますし、その中でもしっかりスライダーとまっすぐを交えながら、いいところに投げられるように投げています」

 8月20日の楽天戦では4-1の7回先頭の中島大輔を1ボールから2球目の外角127キロスライダーで見逃しを奪えば、4-3の7回二死走者なしで村林一輝に初球インコースの130キロスライダーで見逃しと、左打者の外からのスライダー、右打者のインコースにスライダーを投げ込む。

 「基本的に左バッター、左の外から入ってくるボールというのは初球待っていないと思います。基本的にバッターが待っていないボールを投げたり、一番はカウントを整えていく上で待っていないボールだったりとか、まっすぐで力勝負できるところは力勝負で行ってファウルでカウントを整えたりしていくのが理想。その上で左の外のスライダーというのは最近よくいいところに投げられているかなと思います」

 8月中旬頃から“小さいスライダー”と呼ぶ速いスライダーを投げなくなった。「速いスライダーも数値的にフォークボールと似通っているところもありますし、差別化できていないので、それだったら得意ボールのフォークボールを使ったり、最近右のインサイドにワンシームを投げるようにしていて、バッターが意識してくれるだけで踏み込めなくなってくると思うので、右バッターは外のボールが広くなったりとかがあると思います。紅林選手にホームラン打たれましたけど、どんどんこれから使っていけたら。使っていける場面で使っていけたらなと思っています」

 9月に入ってからは、9日の楽天戦が1回5球を投げストレートが1球もなし、13日のソフトバンク戦は1回17球を投げストレートは5球、9月15日の日本ハム戦は1回22球を投げストレートは9球と、ストレートが少なめだった。

 そんな中で22日のオリックス戦は1回27球中18球がストレート。3-4の7回一死一、二塁で太田椋に1ボール2ストライクから投じた4球目のファウル、3-6の7回二死二塁で紅林弘太郎に1ボールから投じた2球目ボールとなったが自己最速タイの155キロを計測した。

 オリックス戦はストレートが多かったが「今はテーマも出力ですね」とし、ストレートに関しては「まっすぐのスピードは上がって、逆に最近コントロールが悪くなっている。コマンド力というか、以前に言った順応力、対応力みたいなところがまだまだだと思います」と明かした。

 同日のオリックス戦、3-4の7回一死一、二塁で太田に3ボール2ストライクから7球目の138キロインコースシンカー系で空振り三振に仕留めた。「いいところにはいきましたけど、もう少しカウントを常に悪くしていたのであの試合は。そこが課題だと思います」と振り返った。

 9月25日の西武戦、4-2の8回二死二塁でネビンに1ストライクから投じた2球目のインコース135キロフォーク空振りが良かった。「あれは良かったんですけど、次の球はベースに投げるつもりがストライクゾーンに入っちゃったので、投げミスをできるだけ少なくしていくというのと、投げどころですね。スピードも大事ですけど、結局コントロールが全てなので、もう少し頭を使いながらやっていきたいと思います」と反省したように、2ストライクから見逃し三振にしたフォークは134キロのストライクゾーンの球だった。

 9月は8試合・8回を投げ、10奪三振、奪三振率は11.25。「ここ1ヶ月くらいでアームアングルを上げてみようと思って、元々フォークボーラーなのでそこで空振りを取れるようにというところで三振を取れるようになってきた。ちょっとフォームを変えたというか、アングルを変えたことで変化球もまっすぐもばらつきがあるので、そこは練習ですね」

 10月も2試合・2回を投げ、3奪三振で奪三振率は13.50。レギュラーシーズンが終わった後も、12日から始まる『ラグザス アジアプロ野球チャンピオンシップ2026』の日本代表に選出。

 侍ジャパンでの戦いに向けて、10月中にZOZOマリンスタジアムで行われた秋季練習では「シーズンは終わったんですけど、まだ試合が残っているので、怪我しないように。体はずっと動かして、そこに向けてというより来シーズンに向けてレベルアップできるように練習したいです」とトレーニングに励んだ。

 9月28日の取材では「オフシーズンはフィジカルトレーニングであったり、技術練習に持っていきたい」と話していた。侍ジャパンに選ばれたことで、自身が描いていたシーズンオフのトレーニングプランを変更しているのだろうかーー。

 「シーズンが終わって出力を落とせないので、若干のアレはありますけど、オフシーズンの自分のスケジュールとも色々見ながら。試合があって良かったのかなと思います」

 大会が終わってからのオフのトレーニングについては「継続的にトレーニングをして行って、1月は目一杯練習ができるように準備していきたいと思います」とのことだった。

 侍ジャパンの戦いがあり、今季は他の選手よりも長いシーズンになっているが、怪我なく終え、来季に向けた準備に取り掛かりたい。

取材・文=岩下雄太

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岩下雄太

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