◆ 白球つれづれ2026・第36回
9月の声と共に野球界は、一気に“秋の陣”に突入する。
7日現在(以下同じ)パ・リーグはソフトバンクが、マジック14として、西武、日本ハムを大きく引き離している。一方のセ・リーグは阪神が2位の巨人に2.5ゲーム差ながらマジック18でチーム初のリーグ連覇へ視界は悪くない。
それと同時にファンの関心を集めるのが、日本シリーズの前段となるクライマックスシリーズ(CS)への動きだ。
現時点の成績を当てはめれば、パは西武と日本ハム。セは巨人とDeNA激突してリーグチャンピオンへの挑戦権を手にする。
そんな中で、最も「下剋上」の臭いを感じるチームがいる。DeNAである。首位の阪神からは11ゲーム差と大きく離され、57勝62敗3分けの借金5。これで「下剋上」なら夢物語のようだが、あながち絵空事とばかりは言えない。その根拠が直近の対阪神直接対決2連勝に見ることが出来るからだ。
今月6日の第1戦は3-2で接戦をモノにする。投げてはシーズン途中にソフトバンクから移籍した尾形崇斗投手がMAX156キロの剛速球を武器に好投。打線では筒香嘉選手の16号本塁打などで相手エースの村上頌樹を攻略する。
第2戦では3カ月半ぶりに一軍に戻った竹田祐投手の好投が光り4-1の完勝。対阪神戦は10勝10敗の五分に戻した。
ここへ来ての戦力充実ぶりは目を見張るものがある。
シーズン途中に加入した新外国人のヘラル・エンカーナシオン選手が四番に座ることで一番の度会隆輝から牧秀悟、筒香と続き五番に宮﨑敏郎、六番の蝦名達夫各選手まで迫力のある布陣が揃う。懸案の投手陣では伊勢大夢から中川虎大、浜地真澄、ショーン・レイノルズ各投手による「抑えの方程式」が確立されることで接戦にも強くなっている。
一つ上を行く巨人は阪神戦に7連敗中とからきし弱い。
同じことはパ・リーグでも言える。
首位を独走するソフトバンクに対して、西武は11勝12敗と善戦しているが、投手陣は互角以上でも、打線の迫力はホークスが一枚上。日本ハムに至っては通算成績が5勝15敗2分けと白旗状態にある。こうして各チームを比較するとベイスターズにかすかな望みがあるように感じる。
阪神から見れば、直接対決の連敗をそれほど痛くは感じていないだろう。しかし、DeNA側から見れば、この連勝はチームに自信を植え付け、CSへの大きな前進となった。藤川阪神にとって、セの5球団の中で最も手ごわいチームの出現。さらには2年前のCSで3位から日本一の「下剋上」を許した苦い記憶もある。ひょっとしたら、寝た子を起こしてしまったかも知れない。
加えて気になるのが今年から改正されたCSの変更点だ。
勝ち上がり方式は従来通り、2位と3位チームがファーストステージを争い、その勝者がファイナルステージで1位チームと戦う。
しかし、今年からは①ファーストステージ勝者が1位チームとシーズン10ゲーム差以上離れている場合②ファーストステージ勝者がシーズン勝率5割未満。
このどちらかに該当する場合は1位チームにアドバンテージ2勝を与えて7ゲーム制とするのが大きなポイント。
したがって、現時点で最も影響をうけそうなのがDeNAなのだ。
阪神とは現状11ゲーム差で、シーズン勝率も5割未満の借金5。このままではさすがに「下剋上」も難しくなるが、最低条件をクリアできれば、奇跡の道は開く。
両チームとも、残り試合は21。阪神が11勝10敗で消化した場合、DeNAは13勝8敗が必要。これで阪神とは9ゲーム差。借金も完済できる計算だ。
CSのような短期決戦は、時の運だったり、チームの勢いが大きなカギを握る。
CSのファーストステージは10月10日開幕。この1カ月でどのチームが大きな変化をつかみ取るか、最後の勝負が始まる。
文=荒川和夫(あらかわ・かずお)