◆ 白球つれづれ2026・第31回
日本ハムがいよいよ4日から首位・ソフトバンクと激突する。
球宴明けの後半戦。ロッテ相手に2勝1敗と上々のすべり出しを見せ、一度は西武を抜いて2位に浮上するも一夜で明け渡し、エンジン全開とはいかない。
逆にライバルの鷹軍団は楽天に3連勝。その差は縮まるどころか3日現在(以下同じ)6.5差に広がっている。残り試合と逆転優勝のシナリオを描いてみてもこの直接対決に3連勝が絶対条件となる。
パ・リーグの優勝候補本命とも言われ、新庄剛志監督も「優勝しか目指さない」と豪語して臨んだペナントレースは、いきなりソフトバンクに3連敗を喫して歯車が狂いだす。
フランミル・レイエス、万波中正選手を中心に開幕から9戦連続アーチなど圧倒的な破壊力を誇る反面、競り合いに弱く、4月はよもやの最下位スタート。
それでも交流戦をバネにして6月は20勝7敗と大きく勝ち越し、本来の強さを取り戻したが、“ホークスアレルギー”は続き、7月末までに2勝12敗。この数字が重くのしかかっている。
では両者の差はどこにあるのか? 指揮官も頭を抱えるのか失策の多さだ。
日本ハムのチーム守備率.983と失策数62は、いずれもリーグワーストに対して、ソフトバンクは32失策で同1位。ハムは倍近くのエラーを記録している。
先月20日のオリックス戦では初回から水野達稀選手の悪送球に始まって進藤勇也捕手のパスボールなど“守乱”が響いて0-3の敗戦。度重なる守備のミスやボーンヘッドには、新庄監督も「日本新を作るんじゃねー?」と頭を抱える始末。最も指揮官の目指す野球は、ど派手な攻撃型。
オールスターの第2戦で一塁コーチボックスに立つと、赤いリストバンドを上下に動かしてサインを出す。三塁走者が本塁に突っ込むと、自らもホームに向かってヘッドスライディングの新庄流パフォーマンス。派手な奇策を好む指揮官の思いが強い分、キャンプでも守備練習より、意表を突いたサインプレーの練習時間が多くなる。
このソフトバンク戦をもう少し掘り下げてみる。
日本ハムの12敗中、5失点以上が11試合ある。つまり、一発攻勢の空中戦に持ち込んでも打ち返される。逆にソフトバンクは、守り勝つ野球から、走り勝つ野球などそつがない。最後はロベルト・オスナから松本裕樹、杉山一樹と必勝リレーで逃げ切るパターンが確立されているのも絶対的な強みだ。
一方で新庄ハムは一時期、クローザーとして成績を残して来た柳川大晟投手がコンディション不良で戦列を離れると、達孝太、堀瑞輝、福島蓮投手らをテストするなど不確定な状態が続いた。一刻も早く投手陣の台所を落ち着かせたい。
新庄流采配の大きな特徴は「猫の目打線」と呼ばれる日替わりの打順編成に表れている。毎試合のように打順が変わるのは、その時点で調子のいい選手や、ファームから推薦のあった選手に思い切って活躍の場を与える。一方で、ボーンヘッドがあったり、元気のない打者には、容赦なくスタメンから外す。万波や清宮幸太郎らの主力クラスでも例外ではない。
だが、チームに「活」を入れ、緊張感を持たす狙いもあるが、反面チームは落ち着かない。ここでも指揮官の「辛抱」が問われる。
後半戦は3試合とも一番の水野から、7番の有薗直輝選手までは固定されている。新庄監督にとっても、このオーダーで勝負の手応えがあるのだろう。
仮に直接対決に3連勝すれば、その差は3.5ゲーム差に縮まり、西武を捕えてその先にある奇跡の逆転の図式まで見えて来る。
このままソフトバンクの独走を許すのか? それともパ・リーグの優勝争いが混沌としていくのか? まずは新庄監督の真価が問われる「夏の陣」に注目してみたい。
文=荒川和夫(あらかわ・かずお)