コラム 2023.03.05. 20:00

プールD:プエルトリコ 2大会連続の準優勝から「3度目の正直」を目指す

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プエルトリコを率いるヤディアー・モリーナ

プエルトリコ野球の歴史


 ドミニカとアメリカに敗れたものの、ここ2大会連続でWBC決勝に進んでいる強豪・プエルトリコ。日本の野球ファンには、2013年の第3回大会・準決勝で侍ジャパンの前に立ちはだかったシーンが、この国のイメージとして頭にこびりついているかもしれない。

 “国”と言ったものの、正式には「アメリカ合衆国自治領」という政治的地位にある。しかし、スペイン語を話し、キューバと色違いの国旗をもつこの島の人びとは、自らのアイデンティティを「ラティーノ」に求め、オリンピックの舞台にはアメリカ本国とは別チームで臨むなど、スポーツの世界ではこの島は半ば独立国のように扱われている。

 「グリンゴ」(=アメリカ人)に対する強烈な対抗意識は、東西冷戦時のモスクワオリンピックにおいて、アメリカを中心とする西側諸国が参加を軒並みボイコットしたにもかかわらず参加の道を選び、また第1回WBCで兄弟国・キューバの出場が危ぶまれた際には、ボイコットを示唆したことにも表れている。


 カリブ海諸島と同じく、この島にはまだスペイン領であった19世紀の後半にはすでに野球が伝わったと言われている。スペインとの戦争の結果、1898年にアメリカがここを領有するに至って野球熱はさらに高まった。

 1938年には、ウインターリーグがセミプロリーグとして発足している。このシーズン途中からサンファン・セナードスを若干22歳で率いたのが、この島の野球のレジェンド、ヒラム・ビソン。彼は1942年、最初のプエルトリカン・メジャーリーガーとして、シカゴ・カブスのマウンドに立った。そして翌年には、最初の野手としてルイス・オルモがブルックリン・ドジャースでデビューを飾っている。


プエルトリコ野球の黄金期


 プエルトリカン・リーグは1941~42年シーズンからプロリーグに移行。ウインターリーグのチャンピオンを決めるカリビアンシリーズには1949年の第1回大会から参加し、以来ドミニカに次ぐ16回の優勝を誇っている。

 1950年代には3連覇を含む4度の優勝を飾り、プエルトリコ野球は黄金期を現出する。

 しかし、本国のメジャーリーグとの報酬の格差が広がるにつれ、プエルトリカン・リーグはマイナーリーガーやフリーエージェントの集う“就活リーグ”と化し、スタンドには閑古鳥が鳴くようになった。


 1990年代初頭が、大物メジャーリーガーが参加した最後の時期で、1992年からの4大会で3度のカリブチャンピオンに輝いている。

 中でも、1995年大会に出場したサンファン・セナードスは、ロベルト・アロマーやカルロス・バエルガ、バーニー・ウィリアムス、フアン・ゴンザレス、エドガー・マルチネスらメジャーのスター選手をもってシリーズに臨み、6勝無敗で見事地元開催のシリーズを制した。

 沈滞気味のプエルトリコ球界を活気づけたのは、やはりメジャーリーグだった。

 2001年4月1日、MLBは史上初めて開幕戦をプエルトリコで開催。以後、サンファンのヒラム・ビソン・スタジアムは、一時期モントリオール・エクスポズのサブフランチャイズとなるなど、これまで本拠地球場以外では最多の52試合の公式戦を開催している。


内野はタレント揃いも外野は手薄…?


 今大会は過去4大会で指令塔に君臨し、昨季限りでメジャーリーグから引退したY.モリーナがチームを率いる。

 主軸を期待されていた、昨季ツインズで22本塁打のC.コレアの辞退は確かに痛いが、メジャーリーガーで固めた布陣は、他の強豪と十分に伍することができるものだ。

 モリーナの後釜には、昨季レッドソックスとアストロズで119試合に出場したC.バスケス(ツインズ)が座るだろう。

 内野はJ.バイエズ(タイガース)にF.リンドーア(メッツ)、E.リベラ(ダイヤモンドバックス)とタレント豊富。遊撃に人材が集まっているが、昨季26本塁打でゴールドグラブ2度のリンドーアが攻守の要を任せられるだろう。

 3月に入ってJ.ミランダ(ツインズ)が故障で辞退するという事態になったが、3月になってDeNAのN.ソトがメンバーに加えられた。

 コレアが抜けた外野だが、メジャーでは準レギュラー級のE.ロサリオ(ブレーブス)、昨年メジャーデビューを飾ったN.ベラスケス(カブス)、昨季は韓国のKTウィズに在籍したメジャー経験のないH.ラモス(レッズマイナー)と少々物足りない印象だ。


 プエルトリコは、マイアミで行われるプールDで1次ラウンドを迎える。このグループは決勝まで移動無しという大きなアドバンテージを持っている。

 同組には先日まで行われていたカリビアンシリーズのライバルであるベネズエラとドミニカも入っており、2次ラウンドへの2つの椅子はこの3チームで争うことになるだろう。ニカラグアやイスラエルといった格下相手に取りこぼすことがあると、致命傷になる。

 プエルトリコが目指すのは、無論「3度目の正直」。決勝の先にある優勝だ。


文=阿佐智(あさ・さとし)





メンバー


<投手>
0 M.ストローマン
13 E.パガン
16 J.モラン
28 F.クルーズ
30 D.ロドリゲス
32 D.ハメル
37 J.ベリオス
39 E.O.ディアス
41 N.パディーヤ
43 A.ディアス
48 J.ロペス
53 H.サンティアゴ
56 D.アンダーウッドJr.
64 A.マルドナード
75 Y.リオス
87 J.デレオン


<捕手>
7 C.バスケス
10 M.J.メレンデス
15 M.マルドナード


<内野手>
5 E.ヘルナンデス
9 J.バイエズ
12 F.リンドーア
18 E.ディアス
26 E.リベラ
31 V.マチン
99 N.ソト


<外野手>
14 H.ラモス
17 E.ロサリオ
32 J.ファーガス
40 N.ベラスケス


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