「今シーズンで現役生活に幕を閉じることになりました。19年間ありがとうございました」
ロッテの唐川侑己が8日、ZOZOマリンスタジアムで引退会見を行った。
唐川は8月に入ってから120キロ台のカーブから110キロ台のカーブに変更したり、松永昂大コーチの助言でスプリットを再解禁、左打者と右打者のインコースにカットボールを投げるなど、一軍昇格に向けて課題を持って取り組んでいた。
8月30日の取材で、110キロ台のカーブを投げている理由について「前とカーブの捉え方が変わったというか、前は中継ぎの延長があったので、カーブもなんとかしたりとか、カーブで空振りを取りたい思いがあったんですけど、スライダーも入ってきたことによって、カーブの役割がそうではなくなった。緩急をつける球とカウントを取る球として使っているので、今は速くなくてもいいのかなという感じです」と説明すれば、スプリットを再解禁したことについて「バッターにこういう球があるよというのを見せたいので、元々投げていた球ですし、松永さんに言われて、ちょっと投げている感じです」と語った。
伝家の宝刀カットボールも「実際どのバッターもインコースにきっちり来る球を仕留めるのは難しいと思うので、そこに行けば抑えられるよねというので比率は多くなっているのかなという感じです」と述べており、この5日後に現役引退を発表するとは考えられなかった。
9月4日――。「今シーズンをもちまして、19年間の現役生活に幕を下ろすことを決断しました。ここ数年は思うようにチームの力になれない中、覚悟を持って今シーズンを迎え、自分自身と向き合った末に決断に至りました」と、現役引退を発表した。
8日に行われた引退会見では「今年はファームでほとんど投げていたので、その中で自分に改善の余地があることが多々ありましたし、特に技術が追いつかない部分もありました。その中でファームでこれくらい投げていれば、一軍で投げられるというのがある中で、ファームの成績は収められませんでした。そういうのが徐々に引退する決断に至った理由かなと思います」と説明した。
8月に入ってから投球の幅を広げていた中で引退を決断したわけだが、プロ野球選手として、最後まで技術を進化させたいという思いが強くあったのだろうかーー。
「はい。やっている以上は自分の技を磨く、レベルアップするというか、そこは最後までやろうと思って、いろんな試行錯誤を最後まで足掻きながらやれたのかなと思いましたね」
◆ ストレートとカットボール
18年後半からカットボールを中心にした投球になっているが、カットボールを多く投げ込んでいたのはバッターを抑えられるから。
ストレートを投げなくなった理由について19年4月21日の取材で「あんまり通用していないから」とし、「(カットボールを中心に投げると)決意をしたわけではないです」とも話している。
19年、20年は結果的にカットボール中心の投球になったが、20年の石垣島春季キャンプではブルペンでストレートを投げ込んでいた。
20年2月7日の取材で、新人時代の動画を見ていてホップするストレートを投げていたが、今もそういう思いを持っているのか質問すると、「そうですね。初速と終速の差をなくしたいというのはありますし、そこを目指して体の使い方であったり、イメージを意識しています」と明かし、「質、1年目のときはいいストレート投げていましたよ」と笑顔を見せた。
22年にはストレートの割合が増え、22年9月3日の取材で「自信はないですけど、新しく今年入ってきたキャッチャーの松川と組むこともあるので、そのなかで彼が選択して投げているという感じです。常に良いまっすぐを投げたいと思っているので、それの継続です」と話していた。
カットボール同様にストレートへの想いも口にしていた唐川。プロ入りからの数年間は、糸を引くような惚れ惚れするようなストレートを投げていた。ラスト登板でストレートで締めくくりたい考えはあるのだろうかーー。
「そんなことないです。今は散々カットボールでお世話になったので、カットボールに愛着があるので、はい」
引退セレモニーは10月3日のソフトバンク戦。集大成は磨いてきた伝家の宝刀カットボールを投げていくつもり。マリーンズファンは、その勇姿をしっかりと見届けてほしい。
取材・文=岩下雄太