「復帰できたことが一番なんですけど、もっと早く復帰してもっとチームに貢献できるようにやりたかったと思ったシーズンです」。
昨年5月に右肘の手術を受け、今季シーズン最終盤に一軍昇格し、3試合に登板したロッテ・小野郁は故障から復帰できたものの、決して満足しなかった。
小野は19年オフに楽天へFA移籍した鈴木大地の人的補償選手として入団し、移籍1年目の20年から3年連続40試合以上に登板。22年は自身初となるオールスターゲームに出場するなど、150キロを超えるストレート、縦横に曲がる2種類のスライダーを武器にパ・リーグの強打者たちをねじ伏せた。
昨季は初登板となった4月2日のソフトバンク戦で失点すると、らしくない投球が続き、10試合に登板して、0勝1敗4ホールド、防御率4.66と5月4日に一軍登録抹消。同月19日に右肘の手術を受けた。復帰を目指す過程で「怪我しない体づくり、ウエイトをちょっと増やしてやっています」と、力を入れた。リハビリを経て今年4月6日の西武二軍戦で実戦復帰。
この日のストレートは最速152キロを計測し、仲三河優太に投じた初球、空振りを奪ったインコースの129キロスライダー、さらに3ボール2ストライクから空振り三振に仕留めた136キロのスライダーも縦に落ちる良い球だった。スライダーに関しては「ぼちぼち投げられているので、いいかなと思っています」と好感触。
右肘を手術から復帰後の投球について5月8日の取材で「1年くらい空いているので試合の感覚を取り戻す感じで投げています。5、6割くらいだと思います。もうちょっと(状態を)上げたいと思います」と明かしていた。
また、ストレートの強さについても「まだまだファウルもあまり取れていないので、もう少し強く投げられたらいいかなと思います」とまだ納得がいくボールが投げられていないようだった。
5月にファームで月間4試合・4イニングを投げ防御率2.25をマークすると、6月は6試合・5回2/3を投げ防御率1.59。6月までは登板間隔を空けて登板していたが、7月10日の日本ハム二軍戦、7月11日の日本ハム戦で復帰後初の連投。8月は月間5試合・5イニングを投げ、1勝3セーブ、防御率1.80。8月13日の巨人二軍戦から24日のオイシックス戦にかけて3試合連続で3人で片付け、13日の巨人二軍戦と24日のオイシックス戦ではセーブを記録した。
徐々に本来の調子を取り戻していき、「一軍に上がって一軍で活躍できるように心がけてファームでもやっていた。どういう準備というよりかは、いつ呼ばれてもいいようにしていたのかなと思います」と、9月18日に今季初昇格を果たす。同日の楽天戦で今季初登板を果たすと、21日の西武戦では一軍復帰後、初めて本拠地・ZOZOマリンスタジアムのマウンドに上がった。
「ブルペン出て、リリーフカーに乗ってマウンドに行くまでに声援が聞こえて力になりますし、ファームと違って声援が大きい。人も多い。熱いファンの方々の声援の中で投げられて嬉しかったです」。
7-1の9回に登板した小野は、マリーンズファンからの大声援を力に最後は平沼翔太を2ボール2ストライクから134キロ縦に落ちるスライダーで空振り三振を仕留めた。「ああいうスライダーをストライクゾーンからボールゾーンに投げられれば、空振りも増えるのかなと思うんですけど、あの球もボールからボールだったので、まだ修正しないといけないなと思います」と反省の言葉が並んだ。
「まだまだ自分が思っているよりかは、投げきれていない。もっと詰めてやっていきたいと思います」と本人が納得するパフォーマンスが発揮できなかった。
“投げきれていない”というのはどういった部分で感じているのだろうかーー。
「変化球で空振りが取れないとか、空振り取れていたところがファウルになったり粘られたりしているので、それこそ真っ直ぐをもっと強く投げられたりとか、真っ直ぐをバッターに意識させられれば、変化球でも空振りが取れるのかなと思います。まだもうちょっと自分の中でももうちょっとというのがあるので、あと少しかなと思います」。
ファームではスライダーで空振りを奪う場面が多かった。7月31日の日本ハム二軍戦で星野ひのでを1ボール2ストライクから空振り三振に仕留めた136キロ縦スライダー、8月4日のヤクルト二軍戦で橋本星哉を1ボール2ストライクからインコース縦スライダーで空振り三振が良かった。
ただ本人は「ファームで取れてもという感じなので、一軍でしっかり空振りを取れるようにやっていきたいと思います」と満足していない。
10月3日の日本ハム戦で1回を無失点に抑え、今季は3試合・3イニングを投げ、防御率3.00で終えた。
シーズン終了後に改めて、復帰登板後の取材で“もっと詰めてやっていきたい”部分について詳しく訊くと、「真っ直ぐだったり、変化球、スライダーで空振り取れていたのが取れなくなっていたりしていたので、そこをもっと戻してもっと配球の面でも変えていかなきゃいけないことがいっぱいある。戻すというより良くなるように配球を変える感じです」と教えてくれた。
復帰後は、110キロ台のカーブを投げているが、「スライダーとかも速くなってきているので、1球遅い球があってもいいのかなと思ってやっています」とのことで、スライダーは「スピードは戻ってきたんですけど、あとは投げる場所であったり真ん中中心に行っていたので、そこをもうちょっとコースに投げられるようにしたいです」と話した。
ストレートに関しても「ストレートで空振りを取ろうとあんまり思っていなくて、ファウルを取るとカウントが取れるので、前に飛ばないというか、ジャストミートされないように投げたいと思います」と語った。
来季は故障前のように一軍のブルペン陣、さらには勝ちパターンに割って入ってきたいところ。「抑えることが一番。どんな場面でもどんなバッターでも抑えられるようにやれればいいのかなと思います」とキッパリ。来季に向けては「自分の中で2年間何もやっていないので、最後の気持ちというか、本当に勝負の年かなと思います」と覚悟を示した。もう1度一軍のマウンドで輝いてみせる。
取材・文=岩下雄太
昨年5月に右肘の手術を受け、今季シーズン最終盤に一軍昇格し、3試合に登板したロッテ・小野郁は故障から復帰できたものの、決して満足しなかった。
小野は19年オフに楽天へFA移籍した鈴木大地の人的補償選手として入団し、移籍1年目の20年から3年連続40試合以上に登板。22年は自身初となるオールスターゲームに出場するなど、150キロを超えるストレート、縦横に曲がる2種類のスライダーを武器にパ・リーグの強打者たちをねじ伏せた。
昨季は初登板となった4月2日のソフトバンク戦で失点すると、らしくない投球が続き、10試合に登板して、0勝1敗4ホールド、防御率4.66と5月4日に一軍登録抹消。同月19日に右肘の手術を受けた。復帰を目指す過程で「怪我しない体づくり、ウエイトをちょっと増やしてやっています」と、力を入れた。リハビリを経て今年4月6日の西武二軍戦で実戦復帰。
この日のストレートは最速152キロを計測し、仲三河優太に投じた初球、空振りを奪ったインコースの129キロスライダー、さらに3ボール2ストライクから空振り三振に仕留めた136キロのスライダーも縦に落ちる良い球だった。スライダーに関しては「ぼちぼち投げられているので、いいかなと思っています」と好感触。
右肘を手術から復帰後の投球について5月8日の取材で「1年くらい空いているので試合の感覚を取り戻す感じで投げています。5、6割くらいだと思います。もうちょっと(状態を)上げたいと思います」と明かしていた。
また、ストレートの強さについても「まだまだファウルもあまり取れていないので、もう少し強く投げられたらいいかなと思います」とまだ納得がいくボールが投げられていないようだった。
5月にファームで月間4試合・4イニングを投げ防御率2.25をマークすると、6月は6試合・5回2/3を投げ防御率1.59。6月までは登板間隔を空けて登板していたが、7月10日の日本ハム二軍戦、7月11日の日本ハム戦で復帰後初の連投。8月は月間5試合・5イニングを投げ、1勝3セーブ、防御率1.80。8月13日の巨人二軍戦から24日のオイシックス戦にかけて3試合連続で3人で片付け、13日の巨人二軍戦と24日のオイシックス戦ではセーブを記録した。
徐々に本来の調子を取り戻していき、「一軍に上がって一軍で活躍できるように心がけてファームでもやっていた。どういう準備というよりかは、いつ呼ばれてもいいようにしていたのかなと思います」と、9月18日に今季初昇格を果たす。同日の楽天戦で今季初登板を果たすと、21日の西武戦では一軍復帰後、初めて本拠地・ZOZOマリンスタジアムのマウンドに上がった。
「ブルペン出て、リリーフカーに乗ってマウンドに行くまでに声援が聞こえて力になりますし、ファームと違って声援が大きい。人も多い。熱いファンの方々の声援の中で投げられて嬉しかったです」。
7-1の9回に登板した小野は、マリーンズファンからの大声援を力に最後は平沼翔太を2ボール2ストライクから134キロ縦に落ちるスライダーで空振り三振を仕留めた。「ああいうスライダーをストライクゾーンからボールゾーンに投げられれば、空振りも増えるのかなと思うんですけど、あの球もボールからボールだったので、まだ修正しないといけないなと思います」と反省の言葉が並んだ。
「まだまだ自分が思っているよりかは、投げきれていない。もっと詰めてやっていきたいと思います」と本人が納得するパフォーマンスが発揮できなかった。
“投げきれていない”というのはどういった部分で感じているのだろうかーー。
「変化球で空振りが取れないとか、空振り取れていたところがファウルになったり粘られたりしているので、それこそ真っ直ぐをもっと強く投げられたりとか、真っ直ぐをバッターに意識させられれば、変化球でも空振りが取れるのかなと思います。まだもうちょっと自分の中でももうちょっとというのがあるので、あと少しかなと思います」。
ファームではスライダーで空振りを奪う場面が多かった。7月31日の日本ハム二軍戦で星野ひのでを1ボール2ストライクから空振り三振に仕留めた136キロ縦スライダー、8月4日のヤクルト二軍戦で橋本星哉を1ボール2ストライクからインコース縦スライダーで空振り三振が良かった。
ただ本人は「ファームで取れてもという感じなので、一軍でしっかり空振りを取れるようにやっていきたいと思います」と満足していない。
10月3日の日本ハム戦で1回を無失点に抑え、今季は3試合・3イニングを投げ、防御率3.00で終えた。
シーズン終了後に改めて、復帰登板後の取材で“もっと詰めてやっていきたい”部分について詳しく訊くと、「真っ直ぐだったり、変化球、スライダーで空振り取れていたのが取れなくなっていたりしていたので、そこをもっと戻してもっと配球の面でも変えていかなきゃいけないことがいっぱいある。戻すというより良くなるように配球を変える感じです」と教えてくれた。
復帰後は、110キロ台のカーブを投げているが、「スライダーとかも速くなってきているので、1球遅い球があってもいいのかなと思ってやっています」とのことで、スライダーは「スピードは戻ってきたんですけど、あとは投げる場所であったり真ん中中心に行っていたので、そこをもうちょっとコースに投げられるようにしたいです」と話した。
ストレートに関しても「ストレートで空振りを取ろうとあんまり思っていなくて、ファウルを取るとカウントが取れるので、前に飛ばないというか、ジャストミートされないように投げたいと思います」と語った。
来季は故障前のように一軍のブルペン陣、さらには勝ちパターンに割って入ってきたいところ。「抑えることが一番。どんな場面でもどんなバッターでも抑えられるようにやれればいいのかなと思います」とキッパリ。来季に向けては「自分の中で2年間何もやっていないので、最後の気持ちというか、本当に勝負の年かなと思います」と覚悟を示した。もう1度一軍のマウンドで輝いてみせる。
取材・文=岩下雄太