来季序盤には史上7人目の快挙も視野に
タイガースの主砲ミゲル・カブレラが22日(日本時間23日)のブルージェイズ戦で今季13号のソロ本塁打を放ち、メジャー通算500本塁打を達成。タイガース所属選手(達成時)として、そしてベネズエラ出身選手としても初の大台到達に、敵地トロントのファンから盛大な拍手が沸き起こった。
「500本塁打クラブ」入りは、15年9月にデビッド・オルティスが達成して以来、6シーズンぶり史上28人目。カブレラは、この本塁打で通算安打数を「2955」に伸ばし、3000安打に残り45本。順調なら来季序盤にも達成するだろう。500本塁打と3000安打の両方を達成なら、史上7人目の快挙となる。
カブレラは、その巨体から典型的な長距離砲に思われがちだが、実は打率も残せるシュアな打撃が特徴。本塁打王と打点王をそれぞれ2回、そして首位打者には4回輝いている。12年には過去53年間で唯一の三冠王も達成。間違いなく過去20年間で最も恐れられた強打者の一人だろう。
そんなカブレラの次に500本塁打を達成しそうな選手は誰だろうか。
現役選手で最も500本塁打に近いのは通算443本塁打のネルソン・クルーズ(レイズ)だ。ただし、クルーズは7月に41歳を迎えた大ベテラン。今季も26本塁打を放っているとはいえ、年齢的に大台到達は厳しいか。仮に今季残り1カ月で7本上積みしても、42~43歳を迎える2シーズンで合計50本塁打を上積みする必要がある。
これまで500本塁打を達成した最高齢選手はテッド・ウィリアムスで41歳291日。もしクルーズが達成すれば、史上最高齢記録を塗り替えることになる。
他に可能性があるのは、ジャンカルロ・スタントン(ヤンキース)とマイク・トラウト(エンゼルス)の2人だろう。31歳のスタントンは現在、現役では4位の332本塁打を記録。デビューした2010年から18年の9年間で305本塁打を放っていたが、19年と20年は故障に見舞われ、2年間で合計7本塁打に終わった。
今季はここまで20本塁打と巻き返しているが、全盛期の打撃は影を潜めている。もしシーズン30本塁打を継続すれば5年半、25本塁打なら約7年で500本塁打に到達するが、果たしてどうか。
スタントンよりも早く達成する選手がいるとすれば、通算310本塁打のトラウトしかいない。スタントンよりも1歳9カ月若く、今月30歳を迎えたばかり。ケガがなければ、シーズン35本塁打前後は計算できる選手だ。しかし、今季は5月にふくらはぎを痛め、いまだ復帰のめどは立っていない。もし復帰が来季にずれ込んだとしても、5~6年後には500本塁打を達成しているだろう。
昨季はコロナ禍で試合数が各チーム60試合に減少。さらにメジャーでは今季から反発係数の少ないボール、いわゆる飛ばないボールを使用しているため全体的に本塁打は減少傾向だ。しばらくは「投高打低」の時代が続く可能性もある。
2020年代はいったい何人が「500本塁打クラブ」の仲間入りを果たすだろうか。
文=八木遊(やぎ・ゆう)