コラム 2023.05.10. 17:30

通算244勝右腕が全30球団勝利に挑戦 日本人投手の達成はゼロ…リーチ懸け引退した2人も

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全30球団勝利に期待がかかるダルビッシュ(左)とバーランダー(右)

21人目の達成なるか


 日本時間11日朝、今季からメッツに所属するジャスティン・バーランダーが移籍後2度目のマウンドに上る。5日前の前回登板時(対タイガース)は5回を2失点に抑えたものの、打線の援護に恵まれず、黒星スタートとなってしまった。

 11日にバーランダーが対峙するのはナ・リーグの古豪レッズ。現役では最多となる244勝を挙げる球界屈指の剛腕投手が唯一勝利を挙げたことがない球団でもある。つまりこの試合でバーランダーが勝ち投手になれば、全30球団から勝利を挙げることになる。

 日本に比べて選手の移籍が活発なメジャーではこの記録を達成する投手は決して少なくない。球団数が30に拡張された1998年以降、これまでに20人が達成。直近では2年前にヤンキースのゲリット・コールが30歳の若さで成し遂げている。


メジャー4球団目のダルビッシュは?


 ただし、20人のリストの中に日本人投手の名前は見当たらない。

 メジャー12シーズンで7球団を渡り歩き、通算123勝を挙げたレジェンドの野茂英雄は、唯一、ドジャースから白星を飾ることができなかった。メジャーでは最も長く在籍した球団だけに仕方のないところだが、まったくチャンスがなかったわけではない。メッツ在籍時の1998年とブルワーズ在籍時の99年にいずれも古巣を相手に好投したが、勝利を挙げることができなかった。

 野茂以外にもう一人、リーチを懸けたまま引退した日本人投手がいる。それがドジャースとヤンキースで7シーズンを過ごし、通算79勝を挙げた黒田博樹だ。こちらは古巣のヤンキースとドジャースから1勝ずつ挙げたが、なぜか5回も登板があったタイガース戦で未勝利に終わり、「30球団勝利」を逃している。

 現役日本人投手の中ではパドレスのダルビッシュ有がすでに28球団から勝利を挙げている。残すチームは古巣レンジャーズとオリオールズの2球団。ともにパドレスとはリーグが異なるが、今季から各球団が他の全29球団と対戦することになっており、チャンスは大いにありそう。

 今季は7月下旬にレンジャーズと、8月中旬にオリオールズとの3連戦がそれぞれ組まれており、ローテーションの巡り次第では今季中の達成も視野に入るだろう。

 移籍さえすれば達成する可能性があるだけに現地でも特段取り上げられることはないかもしれないが、小ネタとして覚えておきたい記録だ。


文=八木遊(やぎ・ゆう)

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