コラム 2023.12.12. 18:00

吉田正尚の1年目は及第点? 一時は「首位打者」争いも……走塁と守備で精彩欠く

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レッドソックス・吉田正尚

データで振り返る!メジャー日本人選手の2023年:第1回・吉田正尚


 日本人野手として史上最高額の5年総額9000万ドル(当時のレートで約123億円)でレッドソックスと契約を結んだ吉田正尚。春のワールドベースボールクラシック(WBC)で名刺代わりの活躍を見せ、意気揚々とメジャー1年目を迎えた。

 シーズン序盤はアップダウンが激しかった。4月中旬に打率は1割台に低迷。ボール球に手を出す場面が増えていたが、4月23日の試合で2本塁打6打点と大暴れすると、約10日後には打率を3割台に上昇した。

 月間別の打率を振り返ると、3~4月.276、5月.354、6月.269、7月.314、8月.261、9/10月.253と推移。打率.250を下回る月はなかったが、やはりシーズン終盤に向けて打撃の粗さが目についた。

 前半戦終了時の打率は.316で、首位打者争いも名を連ね、実際にオールスター後の7月下旬には、ア・リーグの打率ランキングトップに躍り出たこともあった。

 ところが.320台まで伸ばした打率は首位打者に立った直後に急降下。結局、後半戦の打率は.254と大きく失速した。


走塁と守備の指標は平均以下を記録


 打率以外で目立ったのは、三振1個当たりの四球を表す「BB/K」の推移だ。開幕から5月までのBB/Kは20/21とほぼ同数。しかし、6月以降は14/60で、三振が四球の4倍超という吉田らしからぬ成績だった。

 球種別ではフォーシームに対して、打率.371と、メジャーのスピードボールにしっかり対応。ツーシームなどシンカー系にも同.287と及第点の打率を残した。その一方で、スライダーには.214、カットボールに.122、スイーパーに.176と横の変化量が多い球種に苦戦した。

 また、打撃以上に深刻だったのは走塁と守備である。

 盗塁こそ企図した8回すべてを成功させたが、走塁の能力を図るBsRは規定打席に到達したメジャー133選手中120位の「-5.0」。0がメジャー平均を示すため、吉田の走力はメジャーでもかなり下位の部類に入ることが分かる。

 さらに苦しんだのが左翼の守備だ。吉田が今季記録した守備の総合力を測るDefは左翼手として「-9.6」。これは500イニング以上左翼の守備に就いた46選手の中で40位だった。チームもそれをわかっていたのか、指名打者としての出場も49試合に上った。

 守備と走塁でチームに貢献できなかった吉田だが、それでいて打撃力を測るOffも133選手中86位の「1.6」。総合的に見ても、1年目は大型契約に見合った活躍をしたとは言い難いのが現地での評価ではないか。

 1年目はWBCから始まり、調整の難しさは間違いなくあっただろう。来季はスプリングトレーニングからしっかり地ならしをして、打撃は元より守備走塁もメジャー平均に近いレベルまで引き上げたいところだ。ズバリ、2年目は打率3割、20本塁打を期待したい。


文=八木遊(やぎ・ゆう)

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