◆ 白球つれづれ2026・第20回
ベイスターズのムードが良くない。
直近の巨人との3連戦に3連敗。一度は勝率を5割に戻してAクラス入りしたが、再び借金生活で4位に転落してしまった。
巨人戦直前の中日戦には連勝して、上昇機運に乗るかと思ったら、14日の同カードで延長12回を0-0の引き分け。続く巨人戦は3試合で2度の完封負けだ。
14日の中日戦まで加えると、直近の4試合で3度のゼロ行進で挙げた得点は、わずかに3点。おまけに17日の巨人戦では1試合に5盗塁を許す屈辱まで味わった。
「サインが盗まれているのか?配球に問題があるのか?早急に対策を練っていきたい」と相川亮二監督は首をひねるしかなかった。
先週の12日、球界に衝撃が走った。
DeNAとソフトバンク両球団はDeNAの山本祐大捕手とソフトバンクの尾形崇斗投手、井上朋也内野手の2対1の交換トレードを発表した。
山本と言えばセリーグを代表する正捕手。これに対して尾形は将来性豊かな快速右腕で、井上も20年のドラフト1位入団。王貞治球団会長も長距離砲に期待を寄せ、キャンプでは直接指導したほどの逸材である。いずれにせよ、シーズン最中での正捕手のトレードは珍しい。そこには何があったのか?
その舞台裏が徐々に明らかになって来ると、どうやら仕掛けたのはソフトバンク側にあるようだ。
一昨年オフに不動の正捕手だった甲斐拓也選手がFAで巨人に移籍すると、チームの要役が手薄になった。昨年は海野隆司捕手を代役に起用するが、守備は及第点でも打撃面では課題が残った。そこで昨年のシーズン中から強打の捕手として山本へのアプローチを続けているがDeNA側では、この時点で応じる気配はなかった。
相川新監督の誕生に合わせてチームは大きな方針を立てる。投手陣の再整備と若手野手の育成だ。
昨年オフには10勝を記録したアンドレ・ジャクソン投手が退団後にロッテへ移籍。同じく9勝をマークしたアンソニー・ケイやお騒がせ助っ人として話題を呼んだトレバー・バウアー投手らがこぞって退団。打撃でも中心戦力だったタイラー・オースティン選手もチームを去っていった。
そこで先発陣の穴を埋めるために阪神からジョン・デュプランティエやオースティン・コックス投手らを獲得する。
しかし、シーズンが始まるとデャプランティエも、コックスも早々に故障リタイア。当然のことながら先発陣に大きな穴が空く。この段階で一度は消えかけていたソフトバンクとの緊急トレードに舵を切るしかなくなった。チームの若返り策の一環で4年目の伸び盛り・松尾汐恩捕手を育てたいチームの思惑もあった。
まさに「背に腹は変えられない」を地でいったトレードだが、元をただせばDeNAの“外国人頼み”の弊害が招いたチーム作りに問題があったのではないか。
古くは98年「マシンガン打線」で日本一に輝いたメンバーの中心にはロバート・ローズがいた。2000年初頭には“怪力男”タイロン・ウッズ、その後もホセ・ロペスやネフタリ・ソトら優良外国人が活躍。直近ではタイラー・オースティンが首位打者を獲得するなと野手の活躍が際立った。
だが、野手ならまだ「替え」は効くが、先発投手となると、その穴は容易に埋まらない。しかも、外国人選手に頼れば頼るほどチームの若返りは遅れる。ここに現在のDeNAの問題点がある。
野手陣を見ても筒香嘉智、牧秀悟、佐野恵太、宮﨑敏郎ら主軸と若手の間には力の断層がある。このあたりを埋めていかないと長丁場を戦うのは難しい。
チームの中心線は、生え抜きで固め、足りない部分を外国人やトレードで埋めるのがチーム作りの鉄則だ。なりふり構わず勝利を追求するソフトバンクは例外として、阪神や、日本ハムなどが強いのも、こうした原則を踏襲しているからだろう。
データ重視、フロント主導でチーム改革を進めていると言われる現在のDeNA。「今年優勝するため。中長期で強いチームであり続けるために必要な事」と木村洋太球団社長は今回のトレードの意味を説明した。それならなおの事、外国人頼みからの脱却を目指すべきである。
文=荒川和夫(あらかわ・かずお)