大谷翔平

◆ 3月連載:2023年版 大谷翔平 大研究

 侍ジャパンの切り札・大谷翔平選手(エンゼルス)が、明日、3日に合流する。

 3大会ぶりの世界一を目指す日本代表にとって、投打の柱となる二刀流には世界中から熱視線が送られる。まさに大会のキング・オブ・キングだ。

 WBCが終われば、メジャーの主役として輝き続け、オフには超破格のFA移籍まで取りざたされる。投打で超一級品。すでに野球史にその名を刻む28歳は今シーズンをどう迎え、その先はどこまで高みを目指すのだろうか? まずは進化の止まらない23年春の怪物を再検証してみたい。

◆ 第1回:鋼の肉体と人一倍のプロ意識を宿す怪物

 大谷の帰国は、まるでハリウッドの大物スターを見るようだった。

 1日の深夜、特別チャーター機で羽田空港に降り立った大谷をテレビカメラ約20台、報道陣約70人が待ち構える。熱心なファンの姿もあった。

 日本時間で言えば、同日に米・アリゾナ州メサで対アスレチックス戦に先発。藤浪晋太郎投手と投げ合った後、4時間後には飛行機に飛び乗り、12時間かけて帰国。殺人的な強行軍にも驚かされるが、そのチャーター機の値段は日米の片道で約1000万円、さらに飛行追跡アプリ「フライトレーダー24」では追跡数が約3万人で世界一を記録したと言うから、怪物の行動はけた外れだ。

 その大谷が日の丸をつけて世界一に挑む。

 史上最強と言われる栗山ジャパン。メジャーで昨季16勝のダルビッシュ有に、国内では投手四冠の山本由伸、史上最年少三冠王の村上宗隆や完全試合男の佐々木朗希各選手など多士済々の黄金軍団だが、中でも大谷の存在は図抜けている。

 一昨年はアリーグMVPで、今季はサイヤング賞(最優秀投手)の本命と目される二刀流。2人のメジャー超一級品が侍ジャパンに加わるようなものだから期待はどこまでも膨らむ。

 1月上旬に渡米、自主トレに励んできた大谷を見て、まず驚かされるのがさらに厚みと強度を増した肉体だ。昨年までのデータでは身長195センチ、体重102キロとあるが、二の腕の太さと胸板の厚さ、太腿の太さは肥大化。体重は優に110キロ近くに達している。

 アリゾナのキャンプでは150メートル級の打球を連発。投げてはオープン戦初登板で158キロの快速球を計測している。本人も「今のところ申し分ない。去年よりさらに良い」と順調な手応えを感じている。WBC仕様の早めの調整は故障のリスクもはらむため難しいものだが、きっちりと仕上げて世界一奪取に照準を充てているあたりに大谷の思いが見て取れる。

「趣味が野球」と言われるくらいストイックに向き合う。

 大谷クラスのスーパースターになれば、オフは多忙を極める。CM撮影にテレビ出演や表彰式出席などハードな日程でもトレーニングは欠かしたことがない。それでも寸暇を惜しんで走り込み、マシーンと格闘する。

 食事面でも大好きだった卵料理が適していないと指摘されると卵断ちをしたほど。投手として、野手として共に一流を目指すからには人の何倍もの努力が必要になる。それを苦とせず実践できるのが大谷と言う男だ。

 侍ジャパンの監督に就任した栗山英樹監督は日本ハム時代の教え子の隠れたエピソードを披露したことがある。

「翔平は、選手たちみんながいる前で“優勝を目指すなら、遊んでいる暇はないんです”と言ったことがある。あの頃からプロとしての意識は高かった」

 メジャーは年間162試合を戦い、その先にポストシーズンがある。加えて時差まである長距離移動。過酷な条件下で二刀流を続けることがどれだけ大変で凄いことかを知っているから、みんなが大谷をリスペクトする。

「フィジカルモンスター」と呼ばれる鋼の肉体を手に入れて、人一倍のプロ意識を宿す怪物が日本代表に加わった。

「ダルビッシュ教室」で盛り上がる侍ジャパンに“真打ち”登場で新たにどんな化学反応がもたらされるか? 本番はもうそこだ。

文=荒川和夫(あらかわ・かずお)

【荒川和夫・プロフィール】
1975年スポーツニッポン新聞社入社。野球担当として巨人、西武、ロッテ、横浜大洋(現DeNA)等を歴任。その後運動部長、編集局長、広告局長等を経て現在はスポーツライターとして活動中。

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この記事を書いたのは

荒川和夫

1975年スポーツニッポン新聞社入社。野球担当として巨人、西武、ロッテ、横浜大洋(現DeNA)等を歴任。その後運動部長、編集局長、広告局長等を経て現在はスポーツライターとして活動中

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