「この千葉ロッテマリーンズのユニホームを着て達成した数字なので、本当に嬉しく思います」
ロッテの益田直也は4日の西武戦、名球会入会規定の条件のひとつであるNPB通算250セーブを達成した。平成生まれの投手で名球会入りは初の快挙となる。
8回裏の攻撃が終了し、2点リードの9回に益田の名前がコールされると、ZOZOマリンスタジアムのスタンドが益田の登場曲に合わせてスタンドから拍手で背中を押す。ZOZOマリンスタジアムではお馴染みの光景だ。ファンの声援を受け5-3の9回に登板した益田は、先頭の渡部聖弥を2ボール2ストライクから150キロのストレートで投ゴロに打ち取ると、続く外崎修汰を初球の150キロストレートで左飛、最後は代打・岸潤一郎を初球の151キロストレートで右飛に仕留め、通算250セーブを達成した。
益田は試合後のヒーローインタビューで、「ファンの皆さんのために投げてきて、こんなにたくさんのファンの前で達成できたのは本当に嬉しいですし、僕もZOZOで達成したいと思っていたので、今日皆さんの前で達成できてよかったと思います」と喜んだ。
◆ 取り組みを大きく変更
益田はマリーンズ一筋15年。2度の最多セーブ、19年から6年連続20セーブを挙げるなど、チームがなかなか勝てず苦しんだ時代、Aクラスが常連となりリーグ優勝が目前に迫った2020年代前半と、長きにわたりマリーンズのブルペンを支えてきた。
近年はセーブシチュエーションで最後のマウンドに上がるのは当たり前だったが、通算250セーブまで残り7つでスタートした昨季は、「数字見ても分かる通り、キャリアで一番ダメな年だったと思います」とシーズン自己ワーストの22試合の登板に終わり、1勝4敗2ホールド5セーブ、防御率4.35と悔しい1年に終わった。
シーズン終了後には「取り組みを変えようと思ってやっています。ランニングはそのままで、トレーニングをちょっと増やしています。この2年入りが悪いので、肩と肘の出来が遅い。早めにキャッチボールを始めて、ゆっくりという感じでやっていますね」と、ZOZOマリンスタジアムで行われた秋季練習、都城秋季キャンプに参加。ウエイトトレーニングも本格的に取り入れるなど、これまでの取り組みから大きく変更。シーズンオフも休まず体を動かした。
シーズンに入ってからも、昨季までは登板間隔が空いた時に試合前練習でキャッチボールを行っていたが、今季は試合前練習のキャッチボールを欠かさず行う。キャッチボールパートナーは鈴木だ。益田は「そんなに深い理由はないですけど、(鈴木)昭汰と同じ感じのキャッチボールの強弱なので一緒にやっています」と明かし、鈴木は「最初は益田さんとやりましょうという感じになったっすけど、今はお互いに意識していることとか、経験豊富な方なので色々勉強させてもらっています」と教えてくれた。
鈴木は「益田さんのキャッチボールを見て今日は何を意識しているんだろうとか、自分の中で考えて自分で答えを出して、色々勉強させてもらっています」と学びの時間になっている。
◆ 開幕からビハインドでの登板
長年マリーンズの抑えを務めてきた益田だが、今季は開幕から大量リードの勝ち試合の9回で登板するなど、点差が開いた場面のマウンドが多かった。
「どこで投げても一緒なので、誰かがそこを投げないといけないですし、負けているから試合が終わることでもないと思うので、勝つためにはそこでゼロに抑えたら勝つチャンスがあると思う。そこを担う人もいないといけないと思います。そこでなんとか結果を出していければなと思います」
これまでチームの勝利に直結するハードなポジションを10年以上担ってきた男が、チームのために大量点差の場面で黙々と抑えていく姿に、バリバリで守護神を務めてきた時とは違ったかっこよさがあった。
「いえいえ、みんないろんなところで投げていると思うので、なるべく背中を見せられるようにと思ってやっています」
「また(勝ち試合で投げる姿を)見せられるように頑張ります」と5月3日の取材で話していた益田は、与えられた場所で必死に結果を残し続けた。7月10日のオリックス戦、8-6の9回一死一塁で今季初めてセーブシチュエーションの場面で登板し、0回2/3を無失点に抑え今季初セーブ。これで通算249セーブ目とすると、7月25日のオリックス戦では今季初めて同点の6回(3-3)に登板し1回を無失点、7月26日のオリックス戦、先発・ジャクソンの後を受けて3-1の8回一死一、二塁の場面に登板し、0回2/3を無失点に抑えるなど、同点・勝ち試合での登板を“結果”で掴み取った。そして、8月4日の西武戦で通算250セーブを記録した。
現在抑えを務める横山陸人は、24年4月7日のオリックス戦で自身ZOZOマリン初セーブを挙げた直後の24年4月16日の取材で、益田の凄さについて、「投げるプレッシャーだったり、チームの勝ち負けがかかってくるポジションを何年も務め、200セーブ以上あげている。すごいメンタルだなと思います」と、その凄さを当時語っている。
益田は10年以上、チームの勝敗に直結する非常に難しい場面でのマウンドでセーブを積み重ねてきた。通算250セーブを達成し、通算800登板も残り5試合に迫っている。マリーンズで多くの個人記録を手にしてきたが、まだ成し遂げていないものがある。それはリーグ優勝だ。
19年10月、同年に取得した国内FA権を行使せずに残留を決めた時には「ロッテで優勝したい」と力強く宣言した。あれから7年経過したが、現在も「個人の成績よりもリーグ優勝が大事。自分はロッテで優勝したいから残留したいというのもある。そこの気持ち自体は変わらないです」と、マリーンズでリーグ優勝したいという気持ちは誰よりも持っている。通算250Sを達成した。次はリーグ優勝した時に、歓喜の涙を流してほしい。
取材・文=岩下雄太