ニュース 2019.10.17. 12:00

ドラフト候補、津田学園・前投手が野球と並行して9年続けたスポーツ





小学1年から野球と同時に始めたのが水泳だった。週末は野球、平日は週に2度、水泳に通い続けた。ケガをしにくい体にするようにという目的で始めたが、プロ野球界でも、幼い頃から水泳をやっていたという選手が実は多く、その効果は絶大だと言われている。中学3年まで野球と水泳を両立させていた前も「可動域が広がって体に柔軟性もついて、今でも野球に生きている部分が多いです」と水泳で培われた体の強さを実感している。

津田学園に進んだのも、やはり兄の影響だった。在学する兄から津田学園の環境を聞き、入学を決意した。兄と同じく、学校近くにある寮で生活を送ることになったが、入学して佐川監督から言われたのは体作りについてだった。「1年生から試合に出るには、まず体重を増やしていこうと。食べる量を増やすことと、体の芯を太くすることから始めました」(前)。
高校では器具を使って可動域を広げたり、体に負荷をかけるトレーニングをするようになり、入学時は68キロだった体重が、2年夏には76キロまで増えた。142キロだったストレートが、約2カ月後の秋季大会で147キロを計測し、一気に注目の的となった。

スピードがついたのは、夏休みの間にウエイトトレーニングの量を増やし、体重が一気に10キロ近く増えた成果もあった。そこから150キロという明確な目標もでき、今夏の三重大会で152キロを叩き出すなど、着実に進化を遂げている。

中学時代は全国のマウンドとは無縁だった。だが、与えられたテーマに真摯に向き合い、地道に練習を積み重ねた日々が、プロに注目されるまでになった、現在の自分を作り上げた。
「2年生の時は怒られることが多かったけれど、3年生になって自分で何事も判断できるようになりました。津田学園に来て人間的に成長ができたと思っています」。

無限の可能性を秘めた右腕は、無名だった中学時代から確実に前進し続けている。今でも良き相談相手で、自分の道しるべとなってくれた兄へ感謝の思いも胸に、さらに厳しいプロの世界へ挑む。(文・写真:沢井史)

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