続いて話を聞いたのはチームのトレーニング部門を担当する塚原トレーナー。まずトレーナーの観点から小中学生を指導する上で重視するポイントを聞いた。
「特にやってもらいたいのはストレッチです。いわゆる『トレーニング』というものは中学の段階ではやらなくていいと思います。走ったりするのも大事ですけど、それよりもまずは柔軟性ですね。
中学から入ってくる子を見ていると手先は器用で技術はあっても大きな関節が動かない子が多いです。小学生から中学生にかけては成長期なので言ってしまえば何もしなくても体は成長します。骨が伸びきる前には力をつけるよりまず柔軟性ということを考えてもらいたいですね」
また小学校の年代では他のスポーツに触れておくことも、野球にとってプラスに働くことが多いという。
「根尾くん(大阪桐蔭→中日)なんかのスキーもそうですけど、野球以外のスポーツを並行してやっていたような選手は伸びることが多いですね。スキーは体幹やバランス感覚にとっていいと思います。あと柔道などの格闘技も体の使い方を覚えるのにいいですし、ボルダリングなんかも全身を使ってバランス感覚を養えると思います。
そういう意味では子供の頃は野球だけでなくどんどん他のスポーツをやってもらいたいです。あとはよく言うのは姿勢。しっかり骨盤が立った状態で立つ、歩く、動くということは意識しておいた方が良いと思います」
加えて塚原トレーナーが指摘したのが食事の面だった。食事についても小さな心がけを続けることで大きな効果が生まれるそうだ。
「高校生もそうですけど、成長期ですからやっぱり食べることに対してはしっかり意識を向けてほしいですね。バランス良くしっかり食べる。可能であれば添加物のないものがいいですね。添加物のあるものとないものでは肌にも違いが出てきます。
あとはなるべく朝に温かいものを食べてほしいですね。時間がなくてパンと牛乳だけで済ませるのではなくて、スープを飲むなどしてもらいたいです。体が温まると代謝も高まって、色んな面でプラスになると思います。
よく言うことなんですが、自分の体にしっかり興味を持って注意を向けることが大事です。そうすることで普段の生活、食事にも気を遣うようになりますし、それが野球にも影響してくると思います」
青栁監督、塚原トレーナーがともに重視しているという柔軟性。重要だと分かっていてもなかなか本格的に取り組んでいるチームは多くないのではないだろうか。
また現在検討中とのことだったが、高校生が幼稚園や小学生に野球を教えるという機会もお互いにとってプラスになることが多いのではないだろうか。健大高崎のようなレベルの高いチームが率先してそのような取り組みを行い、少年野球に対しても正しい知識が広まっていくことを今後も期待したい。(取材:西尾典文/写真:編集部)