言いたいことを言える世の中に？
12月もあっという間に終わりが近づき、2019年も残りわずか。日本の野球界では移籍の話題もひと段落して、ニュースといえば契約更改がメイン。テレビをつければ歌番組の特番も増え、いよいよ年越しムードが強くなってきた。
契約更改も12月に入って各球団の主力が登場するようになり、夢のある契約が大きな注目を集めるなか、その金額はもちろんのこと、交渉後の会見で話す言葉も大きなトピックとなる。
特に今オフは、「自らの夢」を球団に伝えた、そのことをメディアに向けて報告するケースが例年以上に多い。11月末には日本ハムの西川遥輝が、早ければ来季のオフにもポスティングシステムを利用したメジャー挑戦の希望を球団に伝えたことを明かし、その1週間後にはチームメイトの有原航平も、同じく来オフのメジャー挑戦希望を表明。立て続けの発表にファンがザワついた。
西川は後に「言うからには結果を出さないといけない」とコメント。「もちろん、良く思わない人もいると思う」としながらも、「自分にプレッシャーを与える意味でも、言っていくということは大事なので」と語り、自身にハッパをかける意味も含め、来季への決意表明として公表することを決めたという。
2020年代は日本人メジャーリーガーが増加？
その日本ハム勢の他にも、DeNAの守護神・山﨑康晃が「挑戦したいという気持ちを素直にハッキリ伝えた」と明かしており、「日本一になって、育ててもらったこと、成長させてもらったことへの恩返しをして、その延長線上に“夢”がある」と、来季に向けて闘志を燃やしている。
また、基本的にポスティングでの挑戦を認めない方針のソフトバンクのなかで、かねてから自身の希望を伝えてきたエースの千賀滉大は、あまり多くは語らなかったものの、今年も継続して球団と話をしたことを報告。同じくポスティングを認めない方針だった巨人は、今オフに山口俊が初めてポスティングを利用してブルージェイズと契約。“山が動いた”ことで、かねてからメジャー希望が伝えられていたエース・菅野智之の動向に注目が集まっている。
さらに25日には、ロッテの石川歩もメジャー挑戦を球団に要望したことを発表。これまでも内密に話をしていた選手はいたのかもしれないが、これだけの選手が自身の希望を球団に伝え、そのことを表明したオフ、というと過去にないのではないか。
今オフも4名がメジャー挑戦を表明し、筒香嘉智と山口俊の2名は早くもメジャー球団と契約を締結。残る秋山翔吾と菊池涼介の去就に注目が集まっているが、もし同一年に4名の新たな日本人メジャーリーガーが誕生するとなると、2012年（岩隈・ダルビッシュ・川崎・青木）以来のことになる。
2010年代には、実に17名もの選手がNPBの球団から海を渡り、メジャーリーガーになるという夢を叶えたが、2020年代はさらに多くの日本人メジャーリーガーが誕生するかもしれない。まずは今オフ、自身の夢を公に語った選手たちが来季どんな結果を残すのか、注目だ。
▼ 2019年オフにメジャー希望を表明した選手
・西川遥輝（日本ハム／27歳／内野手）
「ポスティング」「早ければ来オフにも」
・有原航平（日本ハム／27歳／投手）
「ポスティング」「早ければ来オフにも」
・山﨑康晃（DeNA／27歳／投手）
「いつかは…」「ケガもしていない、健康な状態で行ければ」
・千賀滉大（ソフトバンク／27歳／投手）
「継続的な話はしている」
・石川 歩（ロッテ／31歳／投手）
「ポスティング」「早ければ来オフにも」
2010年代・日本人選手のメジャー挑戦
[補足] ────────
NPB球団からMLBのチームと契約を結び、その後メジャーデビューを果たした選手。
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＜2010年＞
【FA】五十嵐亮太（投手／ヤクルト→メッツ）
【FA】高橋尚成（投手／巨人→メッツ）
＜2011年＞
【FA】建山義紀（投手／日本ハム→レンジャーズ）
【ポ】西岡 剛（内野手／ロッテ→ツインズ）
＜2012年＞
【FA】岩隈久志（投手／楽天→マリナーズ）
【ポ】ダルビッシュ有（投手／日本ハム→レンジャーズ）
【FA】川崎宗則（内野手／ソフトバンク→マリナーズ）
【ポ】青木宣親（外野手／ヤクルト→ブリュワーズ）
＜2013年＞
【FA】藤川球児（投手／阪神→カブス）
【FA】田中賢介（内野手／日本ハム→ジャイアンツ）
＜2014年＞
【ポ】田中将大（投手／楽天→ヤンキース）
【FA】和田 毅（投手／ソフトバンク→オリオールズ）
＜2016年＞
【ポ】前田健太（投手／広島→ドジャース）
＜2018年＞
【ポ】大谷翔平（投手／日本ハム→エンゼルス）
【FA】平野佳寿（投手／オリックス→ダイヤモンドバックス）
【ポ】牧田和久（投手／西武→パドレス）
＜2019年＞
【ポ】菊池雄星（投手／西武→マリナーズ）
