今季がメジャー3年目の吉田正尚(レッドソックス)が打撃好調を維持している。
現地18日(日本時間19日)のヤンキース戦に3番指名打者(DH)で先発した吉田は、第1打席に相手失策で出塁。続く第2打席はショートゴロに倒れたが、第3打席でオープン戦第1号となる同点2ランを右中間に運んだ。
吉田はこれで4試合連続安打。オープン戦の打率を.321に引き上げ、3年連続開幕スタメンに向けて存在感を発揮した形だ。
6回に放った待望の一発は、手応えも抜群だったのだろう。打った瞬間にバットフリップを見せ、確信歩きするほどだった。
実は2日前のツインズ戦でも吉田は同じような確信歩きを披露していた。ところが、その時は右中間への痛烈な飛球がフェンスを直撃。最初から全力疾走していれば二塁を奪えた打球だったが、一塁にストップする羽目に。結局、吉田には単打が記録された。
それから2日後にリベンジ成功となったわけだが、実はヤンキース戦で放った第1号もギリギリでフェンスを越えた当たり。メジャー30球団の本拠地球場のうち26球場ではフェンス越えではないと判定されたほどだ。
もし2日前と同じように打球がフェンス手前で失速し、単打となっていれば、目も当てられなかっただろう。
それでも吉田の打撃が好調なのは紛れもない事実だ。徐々に吉田らしい鋭いスイングを取り戻しており、今季も開幕スタメンに名を連ねたいところ。ただ、チーム事情から開幕スタメンどころか、開幕メジャーも危うい情勢となっている。
レッドソックスはオフに大物内野手アレックス・ブレグマンを獲得。大きな補強を成功させたが、同じ三塁手の生え抜きスター、ラファエル・ディバースが「三塁は譲らない」と発言したことで、チーム内には不穏な空気が漂った。
当初はブレグマンが二塁に回るプランもあったが、ここに来てディバースがDHでの出場に前向きな姿勢を見せている。チームにとっては最善の形に収まりそうだが、その割を受けるのが吉田である。
吉田は現在、オフに受けた右肩手術からの復帰を目指しているが、まだ全力でキャッチボールができない状態。外野手として守備に就くのはもう少し先になるだろう。
吉田の状態を受けてアレックス・コーラ監督は、吉田が開幕を負傷者リストで迎える可能性を示唆。外野を守ることができる状態になるまで再調整を行う可能性が高そうだ。
ただ、ディバースがシーズンを通してDHを務めることになれば、ただでさえ守備に不安を残す吉田に居場所があるかどうかも微妙。今は肩の回復に努めるとともに打撃でアピールを続けていくしかない。
文=八木遊(やぎ・ゆう)