◆ 白球つれづれ2026・第23回
セ・パ交流戦が、いよいよ大詰めを迎えようとしている。
7日現在(以下数字は同じ)通算成績はパ・リーグが38勝27敗4分けとセ・リーグを圧倒。昨年も1位のソフトバンクから6位の楽天まで上位はパが独占、パ・リーグの天下はまだまだ続きそうだ。
4日のロッテ戦から4連敗でセ首位の座から陥落したヤクルト・池山隆寛監督は日本ハムの北山亘基投手に完投を許した直後もあって「パの投手は球が速いね」と敗因を振り返っている。
150キロ超の快速球とホームランを量産するパ・リーグの野球に対して、セ・リーグは、これまで小技も絡めたち密な野球と評されて来た。
両リーグの野球の違いから、このままでは実力差が開くと危惧した巨人の原辰徳元監督は早くから、セもDH制を導入すべきと主張。ようやく来季から指名打者の採用が決まった。
しかし、“パ高セ低”の要因はそればかりではない。そんな実力差がはっきりと表れたのが7日のゲームだった。
まずは中日vs西武戦から試合の分岐点を見てみる。
1対1の同点のまま延長戦にもつれ込んだ11回裏、中日は二死満塁と絶好のサヨナラ機を迎える。バンテリンドームの熱気が最高潮に達していた次の瞬間、西武がビッグプレーを仕掛ける。
マウンド上の上田大河投手が一塁に送球する、わずかな時間に一塁ベースから離れていたタイラー・ネビン選手がするすると近づくと、一塁走者の細川成也選手の帰塁が遅れてタッチアウト。絵に描いたようなピックオフプレーでピンチを脱した12回表、西武は長谷川信哉選手の決勝本塁打などで勝ち越し、同カードの勝ち越しを決めた。
ちなみに西武のピックオフプレーと言えば先月23日のオリックス戦でも投手と源田壮亮選手の間で二塁走者を刺している。さらに昨年の交流戦でも阪神戦で山田陽翔投手が、今回と同様なケースでピンチを脱している。
2018、19年とリーグ連覇を果たした当時の西武と言えば「野武士打線」と呼ばれた本塁打攻勢で他を圧する反面、投手力は弱く、大味な野球を展開していた。
その後、下位を低迷する中でチームの体質改善を模索する。
昨年から西口文也監督が就任すると、主要コーチ陣に鳥越裕介(元ソフトバンクなど)仁志敏久(元巨人など)ら、外部の血を導入。走り勝ち、守り勝つ野球の浸透を狙った。
「キャンプから練習はしているし、成功するために使った」と指揮官は“神牽制”を説明したが、100回に一度、いや、300回に一度成功すれば御の字のビッグプレーを実現するのだから、今季の西武の大変身も納得である。
その西武より、交流戦では上を行くソフトバンクも「負けない野球」を実践している。
DeNAとの一戦も延長12回までもつれる接戦となったが、最後は庄子雄大選手のセーフティースクイズと海野隆司選手の適時打で突き放し、交流戦首位を守った。
今年のソフトバンクは開幕直後から苦戦を強いられている。大黒柱のリバン・モイネロ投手の出遅れに加えて、先発投手陣は崩壊、守護神・杉山一樹投手も故障で一時戦線を離脱する。野手陣を見ても主砲の山川穂高選手が打撃不振のためファーム落ちに、柳田悠岐、今宮健太らのベテラン選手が故障でフル出場も難しい。
だが、この王者にはそれを補う総合力がある。栗原陵矢選手は本塁打、打点の二冠をひた走る。周東佑京、庄子らの足。交流戦でわずかに1失策は群を抜いている。チーム打率(.260)同防御率(2.68)と、全ての分野でスキが見当たらない。ここに交流戦4連勝で日本ハムも上昇機運に乗って来た。
パワーもあるが、小技も備える上位三強を倒すためには、セの、より一層の奮起が待たれる。
間もなく、サッカーのW杯が開幕する。世の注目がサッカーだけに集まる前に交流戦も最後の火花を散らしてもらいたいものである。
文=荒川和夫(あらかわ・かずお)