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コンビニの氷が命を救う。即効・熱中症応急処置「FIRE」の実践方法

熱中症で選手が倒れたとき、大人は何をしたらいいのか? 救急車を待つ数分間を「命を救う時間」に変える正しい知識を紹介します。救急専門医・三宅康史先生がロックアイスを使った応急処置「FIRE(ファイア)」を解説します。


ロックアイスを使った応急処置「FIRE(ファイア)」

1. 応急処置の合言葉「FIRE」

・F (Fluid) 水分補給
・I (Ice) 冷却(氷による冷却)
・R (Rest) 安静
・E (Emergency) 救急要請

2. ロックアイスは「最強の盾」

冷却(Ice)において、三宅先生が野球現場で強く推奨するのがコンビニのロックアイスです。 袋に入ったままのロックアイスは、以下の3箇所(太い静脈が通る場所)を冷やすのに最適です。

① 首の横(頸部)… 頸動脈を冷やすことで、冷えた血液を効率よく脳や体中に巡らせます。
② 脇の下…大量の血液を冷やせます。
③ 足の付け根(鼠径部)… 太ももの付け根を冷やします。

三宅先生は「ロックアイスを枕のようにして、首の下に敷いて寝かせる」方法を薦めています。顔が赤く、呼吸が荒い場合は、この方法で一刻も早く体温を下げることが重要です。

3. 水分補給の落とし穴

水分補給(Fluid)のとき、絶対に守らなければならないルールは「本人が自力で飲めること」です。

・注意する点
① ペットボトルの蓋を自分で開けられるか確認する?
② むせずに飲み込めるか? 意識がはっきりしない選手に無理やり水を飲ませると、水分が肺に入り「誤嚥(ごえん)」を引き起こす危険があります。自力で飲めない場合は、即座に「冷却(Ice)」に専念し、救急要請を行ってください。

4. 20〜30分の「観察」が分かれ道

応急処置を行い、選手の意識がはっきりしている場合でも、そのまま帰宅させてはいけません。少なくとも20〜30分は涼しい場所で様子を観察してください。 症状が改善しない、あるいは悪化の兆候が見られる場合は、躊躇なく医療機関を受診させることが三宅先生の教えです。


夏本番。練習や試合に臨む前に、クーラーボックスには常に「ロックアイス」を忍ばせておきましょう。その一つが、選手の未来を守ります。

(取材・文・写真:樫本ゆき)

■三宅 康史 /救急専門医、熱中症総合研究所所長
 「熱中症対策声かけプロジェクト」シンポジウムの実行委員長を務め、全国の自治体やスポーツ現場、企業へ向けてコンビニのロックアイスを活用した応急処置「FIRE」などの実践的な救急措置の普及に尽力している。著書に「医療者のための熱中症対策Q&A」「現場で使う熱中症ポケットマニュアル」など多数。