「7本」の先発がいるDeNA
セ・リーグ先発陣の“投壊”っぷりが尋常ではない。
2位の中日はというと、エース・大野雄大が肘痛で離脱。広島は黒田博樹、福井優也、ルーキーの横山弘樹が二軍に落ち、ローテーションの再編が急がれる。
昨季王者のヤクルトも、先発の一角を期待された館山昌平が手術で前半戦は絶望となり、新外国人のデイビーズは故障で登録を抹消中。最後に阪神はメッセンジャー、能見篤史、藤浪晋太郎、岩貞祐太と4本の先発がいるが、5番手以降には課題が残している。
井納翔一と山口俊の両輪に、ベテランの久保康友、成長著しい若手左腕の砂田毅樹と石田健大に外国人のモスコーソ、さらにはルーキーの今永昇太と先発陣に7人のメンバーがそろっている。
今季は大丈夫!? 気になる交流線の戦い
一方、チームの平均得点はリーグ最低の3.26点。だが、十分に上がり目がある。
ラミレス監督から「今季のキーマン」と指名されていた梶谷隆幸が、5月4日に一軍登録された。復帰戦ではいきなりの先制打に加えてホームスチールを決めるなど、チームの雰囲気を盛り上げている。
また、脇腹に違和感を抱えていた4番・筒香嘉智も帰ってきた。筒香も復帰戦で1試合2本塁打を放ち、存在感をまざまざと見せつけている。5月に入ってから、チームは4カード目の阪神戦こそ1勝1敗1分の五分だったが、3カード連続で勝ち越しを記録するなど、ここに来て勢いもついてきた。
ただし、気がかりなのは交流戦だ。昨季は首位で突入しながら、10連敗を含んだ3勝14敗に終わってしまった。過去11年間の通算成績でも、105勝170敗の勝率.382と大きく負け越している。今季こそは強力な投手陣を頼りに、勝ち越しを狙いたい。
昨季から交流戦の日程が変更され、変則的な2連戦1カードはなくなり、1週間に3連戦2カード、6連戦が3週続くという形に変更になった。となると、先発がしっかり7本いるDeNAにとってはチャンス。基本的な先発ローテーションが決まれば、あとは余った先発を中継ぎにまわし、リリーフ陣の充実を図ることもできる。
昨季はモスコーソをシーズン途中から中継ぎに挑戦させ、それが失敗に終わったためにその選択肢はないと思われる。となると、充実した先発スタッフから奪三振率が比較的高く、コントロールも安定している左腕の石田あたりをしばらく中継ぎで使うような采配になるか。
こういったやりくりはできれば、苦手の交流戦に風穴を空けることだってできるかもしれない。
スタートダッシュに失敗したDeNAだが、調子は上がり目。あとはセ各球団が苦手とする交流戦までに借金をひとつずつ減らし、交流戦を勝ち越すことができれば、“鬼門”の向こう側には良い景色が広がっていることだろう。
充実した投手力と若き活発な打線は、きっとリーグの台風の目になれる。DeNAの反撃ははじまったばかりだ。
文=松本祐貴(まつもと・ゆうき)