オリックスの博志投手が9月11日、驚異的なスピードで1軍に戻ってきた。「普通にチンタラやっていたらシーズンに間に合わないんで、頑張りました」。博志が声を弾ませた。
アクシデントに見舞われたのは、7月31日のファームのソフトバンク戦(タマスタ筑後)だった。1軍で7月15日に先発登板し、1週間後に中継ぎに戻った後、7月23日に1軍選手登録を抹消された。“調整登板”のマウンドで悪夢が待っていた。3‐6の8回、5番手で登板し一人目の打者を5球で投ゴロに仕留めた。しかし、マウンドを駆け下りて捕球し1塁へ送球する間に左足を痛め、緊急降板してしまった。
左ふくらはぎのグレードⅢの肉離れ。筋肉や腱が断裂し自立歩行ができない重度の負傷だった。実戦復帰まで「6週間」という診断だったが、博志は、3週間程度で復帰する計画を立てた。「復帰が遅くなったら、シーズンは終わってしまいます。それじゃ治っても何もできません。動けるようになって(1軍登板の)チャンスがあるのなら、後悔しませんから」と博志。
自信もあった。中日時代には39度を超える高熱でも休むことはなかったし、グレードⅡのけがでも球団に申告せずプレーを続けた。体の強さや「けがが怖いと思ったことは一回もありません」という精神力もさることながら岐阜に信頼できる治療院があり、これまで苦境を乗り越えてきた“実績”があった。
今回も試合翌日、午前4時に起きて博多経由、新幹線で岐阜に向かった。テープでふくらはぎをぐるぐる巻きにして、翌日はチームの練習に参加し軽いジョギングやキャッチボールをこなしてみせた。本来なら松葉杖を使わなければいけないほどの負傷だが、早期復帰を実現させるためには球団スタッフに動ける体を見てもらい、納得してもらう必要があった。「責任は自分で取るのでやらせて下さい。ダメなら使わなくていいです」。不退転の覚悟に、球団側も徐々に理解を示してくれたという。
球団が設定したトレーニングの数値などをクリアして、8月26日の大学チームとの練習試合で実戦復帰を果たすと、8月30日の阪神戦(ほっともっと神戸)から二軍戦3試合に登板。計3イニングを被安打1。奪三振2、無四球、無失点と安定した投球を見せ、復活をアピールした。
大けがから42日目の1軍昇格。西武戦(京セラドーム)で2‐4の5回2死から登板し、外崎修汰選手を遊ゴロに。回またぎの6回は2者連続三振の後、カナリオ選手を中飛に仕留める圧巻の投球をみせ、その裏の逆転につなげた。チームの連敗は「4」でストップ、自身も今季3勝目を挙げた。「(早期復帰を希望して)わがままを言った部分もあるので、上がってすぐに結果を出せてよかった。負けている試合を、少しでも勝ちに近づけることができるようなピッチングをしたい」と試合後に声を弾ませた博志。
「1軍に上がるためにやってきたことが、一般的にはすごいリスクのあることだと思われるかもしれませんが、僕は経験上、大丈夫だと思ってやってきました。何もリスクじゃありません。ここからはもう結果の世界。良い悪い、どっちにしても僕の技術だと思います」。 中継ぎ、ロング救援だけでなく、先発までこなしてチームに貢献してきた博志。残り14試合に“プロ魂”を見せつける。
取材・文=北野正樹