快進撃支える先発陣のキーマン
DeNAの勢いが止まらない。
5月は月間首位の12勝6敗1分で、昨年の5月以来となる月間勝ち越しが決定。破竹の勢いで巻き返し、大混戦のセ・リーグをかき回している。
なんといっても光るのが先発陣の奮闘。先発防御率3.10はリーグ2番目の好成績で、先発勝利18はリーグトップ。投球回数も314でリーグ唯一の300超えと、試合を壊すことがないというのが最大の強みだ。
中でもようやく投球内容に白星が伴い始めたドラフト1位ルーキーの今永昇太に、覚醒の兆しを見せる大卒2年目の石田健大と、若手左腕の台頭が著しい。
2005年の土肥義弘までさかのぼらなければ規定投球回をクリアした左腕がいないという、深刻な“左腕不足”に10年間も悩まされてきたチームにとって、2人はまさに希望の星。そんな2人に続く――。チームには期待の若き先発左腕がもう1人いる。ハタチの砂田毅樹だ。
今永、石田に続け!
2013年の育成ドラフト一巡目でDeNAに入団した左腕。プロ入りした時の背番号は「111」だった。
昨年シーズン途中に晴れて支配下登録。少し軽くなった「68」番を背負い、6月以降はローテーションに定着。7月8日の広島戦で嬉しいプロ初勝利を挙げると、14試合の先発で3勝をマークした。
ちなみに、育成から支配下に這い上がり、10代のうちに勝利を挙げたのは砂田が初めて。育成出身選手としての最年少勝利記録を樹立している。
上々のデビューを飾ったこの年のオフ、球団から新たな背番号を提示された。「47」番……工藤公康や杉内俊哉、帆足和幸、山口鉄也らが背負い、近年では左腕の好投手の数字として浸透してきた番号である。
球団からの大きな期待を背に迎えた2016年シーズン、現状は5試合の登板で1勝1敗。確約されたイスはなく、ローテーションの6人目ないし7人目、いわゆる“ボーダーライン”にいる状態だ。現在は二軍で調整を続け、虎視眈々と昇格のチャンスを伺っている。
快投を続ける今永、石田に続く左腕“3本目の矢”へ――。砂田が一軍のマウンドで躍動を見せる時、DeNAは今以上の勢いで突っ走っていることだろう。