落とせない前半戦最終カード 上位2球団がいかに締めくくるか
パ・リーグ首位争いの激しさが増している――。
7月に入ってからはソフトバンクとオリックスが日替わり状態で首位に立つなど、まさにデッドヒートである。7月8〜10日の直接対決3連戦はいずれも2点差以内の好ゲーム。がっぷり四つの対決は、ゲーム差なし(7月13日現在)でソフトバンクに首位を譲るオリックスが2勝1敗で制した。
両者の強さのひとつは打線にある。リーグ3位51打点を誇る柳田悠岐をはじめ、内川聖一、李大浩、長谷川勇也らが居並ぶソフトバンクの強力打線は、ここまで376得点を記録し、329得点で2位の日本ハムを大きく引き離している。
一方、オリックスはリーグ2位52打点のウィリー・モー・ペーニャのほか、糸井嘉男、T-岡田ら3人がリーグ打点トップ10にランクイン。野手の総合力で勝るソフトバンクに総得点では及ばないまでも、中軸の破壊力は引けをとらない。
7月14日から組まれている球宴前最後の対戦カードは、ソフトバンクが5位のロッテ戦、オリックスは最下位の楽天戦。それぞれ前半戦の最後に取りこぼすわけにはいかない相手である。疲労が蓄積してくる後半戦を見据え、少しでも投手陣の負担を軽減した上で、前半戦を快勝で締めくくりたいところだ。
ともに華麗な守備を誇る遊撃手 今宮健太と安達了一がキーマン
これからの戦いで重要になってくるのは、いかに走者を置いてそれぞれの強力な中軸に回せるかということ。つまり、1、2番打者の活躍次第で得点力は大いに左右される。特に、状況に応じたバッティングを要求され、直接クリーンアップにバトンをつなぐ2番打者の重要度は高い。
ソフトバンクの2番打者は、抜群の身体能力が生む驚異的な遊撃守備を誇る今宮健太だ。昨季62犠打のリーグ記録を打ち立てた男は今季もここまでリーグ2位の24犠打を記録しているものの、打率は.247。軒並み三割打者が名を連ねる打線の中にあっては少々物足りない感もある。先頭の中村晃が倒れた状況でいかに出塁できるか。今宮の課題といえよう。
一方、オリックスの2番打者は安達了一。今宮同様、球界屈指の遊撃手である。打撃に目を向ければ、レギュラーをつかんだ昨季から時折見せていたパンチ力が進化。昨季の5本塁打をすでに上回り6本塁打31打点と、さらなる成長を見せている。また、ここまで今宮を上回るリーグ1位の27犠打を記録するなど、つなぎ役としての貢献度も十分なものだ。
3位の日本ハムに7ゲーム差を付けますます過熱する2球団の首位争い。ペナントの行方を占うキーマンはそれぞれの2番打者とも見て取れる。華麗な守備で魅せる二人の遊撃手だが、そのバットにも注目が集まる。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)