支配下になって祖父と同じ舞台での活躍を目指すオリックスの乾健斗(写真=北野正樹)

 オリックスの育成2年目の右腕、乾健斗投手が6月28日に20歳を迎え、祖父がプレーしたプロ野球の舞台での活躍を誓った。

 「幼いころに亡くなったので遊んでもらったという記憶もないのですが、早く支配下になって同じ土俵に立ってみたいですね」。20回目の誕生日を前にした乾が、目を輝かせた。

 乾は水戸市出身。霞ヶ浦高から2024年育成ドラフト6位でオリックスに入団。3年夏の甲子園には背番号「11」で出場、3回戦で1イニングに登板し、打者3人で抑えた。188cmから投げ下ろす最速144キロのストレートとカーブ、チェンジアップで打たせて取るのが武器。

祖父は、大阪府出身で京阪商業(現大阪府立芦間高)から1942年に阪神軍(現阪神)に入団し、内野手としてプレーした乾国雄さん。プロ通算136試合に出場し257打数44安打の打率.171、2本塁打、9打点の成績を残している。

 同居していた国雄さんは、乾が5歳ころに亡くなった。家には当時のグラブやバットなどがあったそうだが、乾に記憶はないといい、野球を始めたのは友人の母親らから勧められたのがきっかけだった。高校時代、夏の選手権大会で祖父もプレーした甲子園球場で投げることはできたが、次なる目標は支配下になることだ。育成選手も「プロ野球選手」ではあるものの、支配下登録をされない限り1軍の試合に出場することはできないため、「練習生」のような扱いになっているのが実情。祖父と同じ舞台で活躍するには、支配下になることが最低条件になる。

 1年目は、肩痛もありスタートから出遅れたが、2年目の今季は中継ぎとして練習試合を中心に12試合(18イニング)に登板し、経験を積んでいる。4月中旬からは、入団後に取り入れた「二段モーション」を止め高校時代のフォームに戻した。「出力的にはよかったのですが、いい時と悪い時の差が大きくて。タイミングも合わなくなって、自分からコーチの方に相談しました」。1年間、取り組んだフォームだったが、迷いはなかった。1年間で、体が大きくなったことも、決断を後押ししてくれた。入団時に88kgだった体重は、約10kg増で、筋肉量も約4kg増えた。

 フォーム修正後に登板したライブ打撃では、打者から「以前より、球が強くなり球速も早く感じる」との声が上がったという。球速も135キロから140キロ前半が出るようになり、制球力もつきつつある。

 1年目の契約更改では、球団から「今はとにかく土台を作り、3年後には花を咲かせてほしい」と期待の声を掛けてもらった。目標にするのは、中継ぎで活躍する博志投手や片山楽生投手。「クイックや打者のタイミングを外すところなどを参考にさせてもらっています」と乾。同じ茨城県出身の古田島成龍投手も、目指す選手の一人。

 入団前から「茨城出身で、面白くて明るく元気のある選手がオリックスにいる」と地元で話題になり、登場曲にテレビの時代劇「水戸黄門」の主題歌で「人生、楽ありゃ、苦もあるさ」で始まる「あゝ人生に涙あり」を使っているのも知っていた。「登場曲にはいい曲だと思います。僕も地元が水戸ですから、使わせてもらいたいなと考えています」と乾。

 今季の目標は「2軍戦での20試合登板」。育成選手主体の練習試合での登板が中心だが、直近の2試合では2イニングを被安打0、無失点で経験を積んでいる。「これまで先頭打者を四球などで出してしまうことが多かったので、逃げずに打者とゾーンで勝負をしていきたい。チェンジアップやカーブでカウントを取れるようになったので、球速が上がればもっと状態はよくなると思います」。支配下になって躍動する姿を思い描いて、今日も腕を振る。

取材・文=北野正樹

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