打者一本の2年目
メジャーでも“二刀流”旋風を巻き起こし、見事ア・リーグ新人王に輝いた大谷翔平(エンゼルス)。真価が問われる2年目のシーズンは、トミー・ジョン手術を受けた右ひじの状態を見ながら“打者一本”で挑むことになる。
日本のプロ野球と違い、毎年オフに選手の顔ぶれが大きく変わるメジャーリーグ。このオフのエンゼルスも例外ではなく、今季マーリンズとフィリーズで合計20本塁打を放った一塁手のジャスティン・ボアがチームに加わった。メジャー5シーズンで通算80本塁打を記録しているボアは、エンゼルスにとって長打力の面で大きな力になるだろう。
ただし、ボアが活躍を見せれば同じ一塁手のアルバート・プホルスの出場機会にも影響が出る。それはすなわち、指名打者(DH)の大谷翔平にも影響が出るということだ。3人で一塁とDHの2つのポジションを争うことが予想され、大谷といえども、シーズン中に打撃不調が長引くようなら打席数を大きく減らす可能性もある。
また、エンゼルスはこのオフに監督も交代。2014年から17年までタイガースで指揮を執ったブラッド・オースマス新監督の起用方針にも注目が集まる。
30発・100打点の夢も
大谷自身も、術後のリハビリなどから打者としてフルシーズンを万全で臨めるかは微妙だ。レギュラー争い、新監督の起用方針、大谷自身の健康面など、いろいろな要素が絡み合い、大谷の来季出場機会がどの程度になるか現時点で予測することは難しい。
そこで、今回は現地の野球専門サイトで来季の大谷がどのような成績を残すと見られているのか。各サイトの成績予測をまとめてみた。
【2019年・大谷翔平の成績予測】
▼ デプスチャート
117試 率.273(打席数490) 本26 点76 盗10 出塁率.353 長打率.515
▼ スティーマー
113試 率.273(打席数469) 本25 点72 盗10 出塁率.353 長打率.515
▼ マーセルズ
---試 率.273(打席数384) 本19 点56 盗8 出塁率.347 長打率.510
デプスチャートとスティーマーの予測値はほぼ一致する一方で、マーセルズのそれはそもそもの打席数がかなり少なく見積もられている。ケガの影響を考慮しているのか、プホルスらとのレギュラー争いの影響なのかはわからない。ただし、打率、出塁率、長打率の“率”系は3社に大きな差はない。
そこで、この3社の予測値を基に、“もし大谷がフルシーズンをレギュラーで出場したら”、一体どの程度の数字を残すのかをシミュレーションしてみた。
ちなみに、全162試合に出場すれば、だいたい700打席程度に立つことになる。そこからはじき出された大谷の2019シーズン予測成績は以下の通りだ。
【2019年・大谷翔平“フル出場”予測】
162試 打率.273(打席数700) 本37 点105 盗15 出塁率.353 長打率.515
162試合・700打席は、エンゼルスのチーム事情から現実的ではないことは前提となる。それでも、これに近い数字を残す可能性は全くないとは言い切れない。
プロ入り前から我々を驚かせ続けてきた大谷なら、2年目のジンクスを吹き飛ばし、30本塁打・100打点を達成しても何ら不思議はないだろう。
文=八木遊(やぎ・ゆう)