「ハマのゴジラ」から日本の4番へ!
プロ野球2016年シーズンの開幕まで、あと1カ月。20日にオープン戦が開幕し、来週は侍ジャパンの強化試合が開催と、シーズンの開幕へ向けて徐々に野球熱が高まってくる時期になった。
開幕前という時期の問題もあって、強化試合のメンバー選考で苦労した侍ジャパン。そんな中でも、小久保裕紀監督が早くから招集を決めていたというのがDeNAの主砲・筒香嘉智だ。
小久保監督が常々「4番候補」として台頭に期待してきた男。昨シーズンは138試合に出場して打率.317、24本塁打、93打点と各部門でキャリアハイの数字を記録し、オフに行われた「プレミア12」では4番に座るまでに成長した。
1年後に迫ってきたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に関しても、「本戦には中村(剛也/西武)も入ってくるし、中田(翔/日本ハム)も4番を打てる。いい争いになってくれたら」と、日本を代表するスラッガーと並べて期待を寄せられている。
「ハマのゴジラ」から“日本の4番”へ…。大きな期待を背負ったプロ7年目がはじまる。
単独指名に成功も、当時の反応は…?
名門・横浜高で1年生から4番を張った逸材。高校通算本塁打は69本。将来の大砲候補として注目を集めていた。
迎えた2009年のドラフト会議。花巻東高の快速左腕・菊池雄星(現西武)に6球団からの指名が集まる中、DeNA(※当時は横浜)が筒香を単独で指名。いわゆる一本釣りに成功する。
当時はチームの投手陣が苦しかったこともあり、高卒野手の1位指名には批判的な見方も多かったが、筒香はしっかりと球界屈指の和製大砲へと成長を遂げた。
1年目からファームで26本塁打、86打点を記録して二冠に輝くと、一軍でも3試合、10打席のチャンスながら阪神の久保田智之からプロ初本塁打を記録した。
3年目には一軍で108試合に出場し、2ケタ10本塁打を記録。4年目は故障に苦しむなど23試合の出場に留まったが、5年目の2013年に「5番・左翼」の定位置を確保して打率.300、22本塁打で77打点と飛躍を遂げる。
昨シーズンは「主将」と「4番」という新たな責任を背負いながら、キャリアハイとなる打率.317、24本塁打、93打点を記録。「いま最も三冠王に近い男」とまで呼ばれるようになった。
しかし、チーム内で不動の立ち位置を築き、日本代表に選出されるようになっても尚、筒香の向上心が満たされることはなかった。
覚醒した大砲が持つ「あくなき向上心」
昨年11月、「プレミア12」から戻った筒香はドミニカ・ウインターリーグへの参戦を直訴した。
通常、若手選手が武者修行のために挑むというのがほとんどで、主力選手が参加するということはまずないのだが、シーズン138試合に国際試合と働きづめだった男は、さらなる進化を求めてドミニカへと渡った。
日本とは全く違う環境に、違うスタイルの野球。特に“動くボール”への対応という面で課題を感じると、すぐに「ノーステップ打法」に取り組んだ。
打撃主要3部門で自己最高の成績を残したのにも関わらず、さらなる進化のためには従来のやり方を変えることも恐れない。筒香のあくなき向上心が垣間見えるこのオフの取組であった。
「今のほうがしっくり来ている」と、今キャンプでも快音を響かせている筒香。果たして、今シーズンは一体どんな成績を残すのか。今からたのしみでならない。
▼ 筒香嘉智
生年月日:1991年11月26日(25歳)
出身:和歌山県
経歴:横浜高
ポジション:外野手
身長/体重:185センチ/97キロ
投打:右投左打
[NPB通算] 426試 率.275 本66 点241 出塁率.356 長打率.468 OPS.824