重苦しい空気を吹き飛ばした背番号「3」
DeNAが上がってきた。
順位こそ最下位のままだが、巨人との東北シリーズを2連勝。ここまで4カード連続勝ち越し中と勢いに乗っている。その最大のキッカケとなった出来事といえば、やはり梶谷隆幸の復帰であろう。
キャンプ中の2月18日、左脇腹痛のため二軍降格が決定。当初は軽症を強調し、開幕戦には十分に間に合うかと思われていたが、二軍戦で実戦復帰する直前に同カ所を再び負傷。予想外に長い離脱を強いられた。
今年からチームの指揮を執るラミレス新監督としても、梶谷と筒香はチームの軸として考えていた選手。DeNAにとっては開幕からキーマンが一人欠けた状態でのスタートとなったのだ。
その後は新助っ人・ロマックの不振もあり、4月までは打順の固定もままならない状態。結局3・4月は29試合で9勝18敗2分け。負け越しを9つ作り、最下位を独創した。
今年もダメか…。そんな重苦しい空気を吹き飛ばした男こそ、梶谷だった。
5月4日ヤクルト戦、ついに2016年シーズンの開幕を迎えると、その復帰戦で先制タイムリー。さらに三盗につづき、相手のスキを突いた本盗を決めてしまうなど、全力プレーでチームを盛り立てる。
事実、梶谷が復帰した5月4日以降はここまで13試合で9勝3敗1分。勝率にして.750と、それまでの戦いがウソだったかのように破竹の勢いで勝ち進んでいるのだ。
新生・梶谷がDeNAの逆襲を牽引する!
梶谷の今季に賭ける思いは強かった。
オフの期間は広島市内のスポーツジム「アスリート」で肉体改造を敢行。「アスリート」とは、現阪神監督の金本知憲氏が現役時代に足繁く通ったことで知られ、今年2000本安打を達成した新井貴浩らも通っているという名門ジムだ。
大きな負荷をかけたトレーニングによって筋肉を補強。見た目でもすぐ分かるほどの肉体改造に成功し、体重を増加させた。
負傷によるリハビリ帰還中もウエイトトレーニングは欠かさず、今でも体重は約93キロでキープ。キャリア最重量の体重でシーズンを戦っている。
また、体重を増やしながらも持ち前のスピードは健在。実際に復帰戦で見せたアグレッシブな2つの盗塁を含め、ここまで13試合で5盗塁を記録しており、パワーを得たことによってスピードが失われた様子というのはまるでない。
“勝負の年”と位置づけていた今シーズンは思わぬ形での幕開けとなったが、梶谷にとっての本番はこれから。役者が揃ったDeNAの逆襲は、もうはじまっている。