松坂がおかしい...
一体、どうなっているのだろう…。復活を目指しているソフトバンク・松坂大輔がおかしい。
9年ぶりに日本球界復帰を果たした昨年、右肩を手術した影響で1度もマウンドに上がることなく1年を終えた背番号「18」。今シーズンこそ一軍での復活登板を目指し、新天地での孤独な戦いを続けていた。
今年も開幕一軍入りとはならなかったが、二軍戦では慎重に登板を重ね、球速も140キロ台を記録するようになるなど、復帰過程は順調かと見られていた。しかし、14日のウエスタン・広島戦に中9日で先発すると、1回と2/3を投げる間に被安打7、四球3つを出すなど乱調。9失点を喫し、わずか65球で降板した。
見るも無残な投球
立ち上がりから悲劇は始まった。
いきなり先頭打者の野間に本塁打を浴びると、3番のメヒアからプライディ、土生の3連打でさらに1失点。いきなり出鼻をくじかれると、そこからはもう見ているのさえ苦しいと感じるような“悲惨”なマウンドだった。
2回には失策が絡んでさらに3点を失い、トドメは土生に満塁弾を被弾。打者15人に対して65球、7安打、うち2本が本塁打で3四球、1奪三振で9失点…。これが「3年12億円」の投手の姿なのだろうか?
降板後、松坂は待ち構えた大勢の報道陣を避けるように、試合中に帰宅したという。マウンドから降りる際には右手の指を気にするしぐさを見せたが、マメがつぶれた様子はなく、16日に指の精密検査を受けることになったという。
みんながたのしみにしていた“平成の怪物”の復帰
この一連の出来事をファン、そして選手たちはどう思うのであろうか。
3年12億円。1年に換算すると4億円…。ちなみに、昨年トリプルスリーを達成した同僚・柳田悠岐の推定年俸は2億7000万円。柳田よりもはるかに高額なサラリーをもらっていることになる。
かたやチームを日本一連覇へ導いた貢献者。かたや1試合にも登板することなくシーズンを終えた男…。ファンからの視線が厳しくなるのも当然のことだ。
ちょうどいまの球界を引っ張るくらいの選手たちにとっては、松坂と言えば雲の上のような存在。伝説を作り続けた甲子園のヒーローに憧れて野球を始めたという選手だって少なくない。
そんな男が、アメリカ・メジャーリーグを経て日本に帰ってきた。選手もファンも、もう一度日本で“平成の怪物”の勇姿が見られることを楽しみにしていた。
しかし、昨年の途中離脱に続き、今年もこの先は白紙状態。日本一3連覇の大偉業へ向け、今年も首位を突っ走っているチームにとってはあまり影響がないのかもしれないが、数少ないネガティブな話題となっていることは確かだろう。
戻ってきた日本で最後の勇姿を...
いまやファンからも「見ているのがつらい」という言葉が出るほど。むしろ、これが何万人もの観衆が見守る一軍の試合でなかったのは良かったのかもしれない。
幸いにも、このところ好調なチームは武田翔太とバンデンハークの両輪を筆頭に、メジャー帰りの左腕・和田毅、そこに若手の千賀滉大や東浜巨といった先発陣が充実。松坂が欠けていても問題なく回っている。早ければ交流戦で一軍合流とも言われていたが、今のチームに松坂が入っていくスキはない。
これから気になるのは精密検査の結果。仮に「異常なし」だとしても、この状況で交流戦中の復帰というのは難しいだろう。もし、なんらかの異常が見つかってしまった場合は…。最悪の事態も頭をよぎる。
それでも、今なお語り継がれる伝説が示すように、かつては日本中の野球ファンを夢中にさせた男。その背番号「18」に夢を乗せた人たちは大勢いる。
日本で最後の勇姿を…。どうにかこの苦境を這い上がり、一軍のマウンドへと戻ってきてくれることを願う。