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“元・日本人最速男”…復活が待たれる「121」ヤクルト・由規

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復活をめざすヤクルト・由規(写真は2015年春季キャンプ)

かつての“日本人最速男”


 球速161キロ。この数字を見て誰を想像しますか?

 多くの人は、日本ハムのエース・大谷翔平の事を思い出すのであろう。しかし、この男を決して忘れないで欲しい。ヤクルト・由規のことだ。
 
 もう6年も前の事…。今でこそ大谷が投げる160キロ超のストレートにそれほどの驚きは覚えなくなってきているが、当時はその“速さ”に騒然となった。

 2010年、神宮で行われた横浜戦。スコアボードに表示された「161」の数字に球場が沸いた。当時の日本人最速となった由規のストレート。もう見ることはできないのであろうか…。


「121」からの再出発


 「121」。これが現在、由規が背負う背番号だ。

 将来のエースを期待され、ずっと「11」を背負ってきたが、2013年の春に右肩を手術。以後、リハビリを続けながら復帰を目指して戦ってきたが、元の投球を取り戻すことはできず。悪戦苦闘が続いている。

 昨年は一軍の春季キャンプに参加し、オープン戦にも登板した。その際には151キロの球速を記録し、完全復活を思わせたが、結局昨年も一軍登板は果たせなかった。

 そして昨年11月、球団と育成選手契約を結び、背番号も「11」から「121」に変更となった。


 由規の復活を待つ声は球団内外から挙がり、男には多くのエールが送られている。その理由は、まず人柄。一言でいうと、本当に“いいやつ”なのだ。

 2007年のドラフト指名後の会見を覚えている人も多いだろう。家族に感謝しながら号泣し、「泣き虫王子」という異名もついた。

 あの会見が物語るように、裏表のない好青年なのだ。挨拶も取材対応も、すべてがプロ野球選手の見本と呼べるほどにしっかりしている。


再び神宮のマウンドへ...


 こんなに優しい由規だが、一方でとことん負けず嫌いな性格も持つ。

 面白いエピソードがある。高校3年時の県大会のことだ。ある打者と対戦した由規は、3ボール2ストライクのフルカウントから渾身のストレートで三振…。と思ったら、球審は「ボール」の判定。マウンド上で「えーっ」と驚きの表情を見せた由規。100%ストライクで三振、と思った球をボールととられた。もちろん高校球児だ。審判に抗議はできない。

 すると由規は、四球で歩かせた走者を一塁に置き、ある行動に出る。次打者が打席に入ると、その打者に1球も投げることなく、延々と一塁に牽制球を投げた。その数なんと8球。高校生らしくないかもしれないが、由規なりの“抗議”だった。

 それほど四球に取られたストレートが、ストライクだったという確信があったのだ。後にこの話を本人に聞くと、「審判の判定は絶対ですから。でも、あの球は絶対にストライクでした。ちょっとした抗議の意味でやったんですけど、あれは審判に失礼でしたね」と言って笑った。

 こんな由規の復帰を願う声は多い。あの剛速球に、キレッキレのスライダー。再び神宮のマウンドへ…。「121」番の挑戦は続いている。

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