満を持して1軍のマウンドへ――。オリックスの2年目右腕、東山玲士投手がトミー・ジョン(TJ)手術から支配下再登録を果たし、初めての1軍の舞台に上がる瞬間が近付いてきた。
「これからが本当の勝負ですね。去年1年間、1軍で投げることができなかったんで。今後のプロ野球人生につなげていきたいと思います」。支配下登録をされた翌日、東山が表情を引き締めた。
東山は丸亀高(香川県)、同志社大、ENEOSから2024年ドラフト5位でオリックスに入団した。ショートアームからのホップ成分の高いストレートと、チェンジアップを武器とする右腕。即戦力として期待されたが、1年目のオープン戦登板2試合目の巨人戦(京セラドーム)でひじを痛めて戦列を離脱した。一度は快方に向かったものの痛みは消えず、保存療法かTJ手術を迫られた末、5月に手術に踏み切った。
何の実績もないままでの手術に不安はあったが、手術が遅くなれば復帰まで実質2年近くもかかってしまう場合があることや10年、15年先の野球人生を考え、誕生日の5月5日にメスをいれることを決めた。オフには育成選手となり、背番号は「129」に変わった。「3桁でちょっと悔しい思いもありましたが、自分を奮い立たせてくれ頑張る原動力になりました」といい、復活を目指して「ひじに負担がかからないフォームとけがをしない体づくり」に1年間を充てた。
経過は順調で、手術から約1年後の今年5月22日の社会人との練習試合で実戦復帰を果たし、2軍の公式戦には6月14日の広島戦(徳島)から登板。直近の試合で2失点し計11試合で防御率は4.91と跳ね上がったが、「ストレートもちょっとずつ強さが出てきていますし、もう少しホップ成分が増えれば、ファウルになっているのが空振りに取れるようになる」と言った通りに、11イニングで15奪三振と高い奪三振率(12.27)を誇る。
支配下復帰の吉報は、同志社大時代の花野巧監督やENEOS時代の大久保秀昭監督ら恩師に報告した。3年時に出会った花野監督からは「今のままのフォームでは通用しない」とショートアームへの変更を指摘された。毎日200球を投げ込んでフォームを固めたことで、防御率1位(0.74)でベストナインを初受賞するまでに成長。ENEOSでは1年目から公式戦で経験を積ませてもらい、ドラフト候補に。「花野監督がいなかったら今の自分はいないですし、大久保監督の元で野球ができなければ、プロに入ることもできなかったと思います。小中学生時代の恩師や高校の監督や部長、コーチも含め指導者の方に恵まれました」。ようやくつかんだ1軍マウンドで、恩返しのピッチングを見せる。
取材・文=北野正樹