チームを引っ張るキャプテンが不振
阪神のチームリーダー・鳥谷敬が本来の力を発揮できずにいる。鳥谷といえば、2004年9月11日の巨人戦から連続出場を続けており、10年以上、遊撃のレギュラーとしてチームを引っ張ってきた。しかし、今季はここまで93試合に出場して、打率.234、6本塁打、30打点の成績。打率は規定打席到達者ワースト2位と苦しんでいる。
打撃不振が続き、24日の広島戦では、11年10月24日の広島戦以来のスタメン落ち。普段は鳥谷が務める遊撃のポジションには、大和が入った。鳥谷は今年で35歳。金本監督は今後も鳥谷を遊撃で起用する方針を示しているが、将来のことを考えると“ポスト・鳥谷”の育成は急務だ。
【鳥谷の今季成績】
ポスト・鳥谷の1番手は北條史也
“ポスト・鳥谷”の第1候補は、現時点ではプロ4年目の北條だろう。北條は12年ドラフト2位で阪神に入団。光星学院時代には、高3夏に出場した甲子園大会で、大会記録にあと1本に迫る4本のアーチを描いた。
プロ入り後は、同じ年のドラフトで、1位入団した藤浪晋太郎が、1年目から一軍のマウンドで投げる中、北條は二軍で腕を磨いた。昨季終了した時点で、一軍の出場機会はわずか1試合にとどまったが、今季はオープン戦で13試合に出場して、打率.333とアピールに成功し、開幕一軍を掴む。
開幕してからは、4月3日のDeNA戦で、プロ初安打を初本塁打で決めると、終盤の代打や守備固めで出場機会を増やしていく。5月に入ってからは二塁のレギュラーだった西岡剛の故障により、先発での出場を増やすと、交流戦明けからは三塁のスタメンに定着。7月9日の広島戦で猛打賞を放つなど、存在感を示している。まずは、三塁でレギュラーを不動のモノにし、ゆくゆくは鳥谷から遊撃のポジションを奪って欲しいところだ。
【北條の今季成績】
72試 率.250 本1 点13
ユーティリティープレーヤーの大和
5年ぶりにスタメンを外れた鳥谷に代わって、遊撃で先発出場した大和もいる。大和は、もともと内野手だったが、出場機会を増やすため外野手に転向。14年には、外野でゴールデングラブ賞を受賞した。
外野に転向した大和だったが、二塁手の西岡剛、上本博紀が故障で離脱した際には、二塁のポジションに入るなど、度々内野でも出場していた。今季も中堅、二塁、遊撃、右翼で出場するなどユーティリティぶりを発揮する。
守備力はかなり高く、大和の遊撃を評価する解説者は多い。一方で、打撃に課題を抱えている。今季もここまで、打率.230と低迷。ただ、この課題を克服することができれば、将来どころか、今季中にも鳥谷を脅かす存在になる可能性も高い。
【大和の今季成績】
70試 率.230 本1 点13
ファームは人材不足
ファームに目を向けると、植田海と森越祐人が、遊撃では最も多い40試合に出場している。
だが、植田は今季ここまで、打率.104(77-8)、7打点と苦しみ、プロ6年目の森越も打率.226(146-33)とかなり物足りない。高卒2年目の植田が、“鳥谷”を脅かす存在になるには、もう少し時間がかかりそうだ。
長年、鳥谷がレギュラーを務めていることで、チームは安定してきたが、遊撃の育成をほとんどできなかった。現時点で“ポスト・鳥谷”の本命は北條、大和の2人だが、オフのドラフト、トレードなどで遊撃手を獲得も視野に入れなければならないだろう。