豪華すぎる2軍メンバー
そこはまるでジャイアンツ球場ではなく、東京ドームのようだった。2軍の試合のはずが、1軍メンバーのような豪華な顔ぶれ。8日土曜日、イースタン・リーグの巨人対楽天戦。先発した高木勇人(27歳/年俸3700万円)が無四球の5安打完封勝利を飾った。
スタメンは1番中堅・松本哲也(32歳/2400万円)、2番右翼・橋本到(26歳/2900万円)、3番遊撃・クルーズ(33歳/2億4400万円)、4番DH・ギャレット(35歳/1億5960万円)。さらに2塁を守るのは片岡治大(34歳/6000万円)、マスクを被るのは相川亮二(40歳/4500万円)である。
安定の投手陣
昨季1軍で14試合に先発したサウスポー今村信貴(23歳/1600万円)も2軍のローテでチャンスを待つ日々。そして、育成選手のアダメス(22歳/240万円)は先発として2勝、防御率1.50の好成績。右の中継ぎ候補として由伸監督も注目する篠原慎平(26歳/310万円)も6登板でいまだ無失点だ。
世代交代の渦中で
野手の方では、主に5番を任せられ4割を超える打率をマークする北篤(28歳/870万円)や毎年期待されている左の大型内野手の辻東倫(22歳/900万円)らが打撃好調をキープ。さらに背番号57に変更した11年盗塁王の藤村大介(27歳/1000万円)、その藤村から背番号0を継承したドラ1ルーキー吉川尚輝(22歳/1500万円)らもアピールしようと必死だ。
「由伸チルドレン」とも呼ばれる20歳の岡本和真、23歳の重信慎之介や石川慎吾らが開幕1軍入りし、世代交代の渦中にあるチーム事情。これに加えてマギーやカミネロを新たに補強した外国人枠争いも熾烈を極め、昨年開幕戦の4番ギャレット、5番クルーズといった主力を張った助っ人陣ですら2軍スタートを余儀なくされている。
いわば現在のファームは実績のある大物ベテラン選手と、プロスペクト抜擢によって出番を失ったアラサー中堅層や20代前半の若手が熾烈な競争を繰り広げているわけだ。
血の入れ替え
ある2軍監督にインタビューした際、「1軍で実績がある選手は2軍にいる間、若い選手の面倒を見てくれます。場合によっては指導までしてくれる。最近の選手はそのあたり凄い親切ですね。僕らが若い頃は1軍の選手が2軍の若手に声をかけてくれたり、教えてくれるなんてありえなかったですよ」と笑っていた。
今季の巨人2軍は、あらゆる世代がそれぞれ刺激し合い斎藤雅樹監督を中心にチームとしてまとまっている印象だ。そして、昨オフには大田泰示や小山雄輝らがトレードでチームを去り、16年から3軍制度ができて選手の入れ替わりが進み、数年前とはベンチの顔触れも大分変わった。
“2軍慣れ”という言葉があるが、一種の馴れ合いのような雰囲気を作らないためにも、2軍こそ常に血の入れ替えが必要不可欠だと個人的には思う。
このままでは終わらない
イースタンを独走する巨人2軍、シビアな見方をするとそこで活躍するのは開幕1軍争いに敗れた男たちだ。このまま終わるわけにはいかない。長いペナントレース、チャンスはまた必ずやってくる。だからこそ、今は腐らずこの場所で結果を残し続けるしか道はない。
彼らの“敗者復活戦”は、今日もジャイアンツ球場で続いている。
【4月8日 イースタン・リーグ楽天戦 巨人2軍先発オーダー 】
※各選手数字は16年1軍成績
1 松本哲也(中) 52試 率.174 0本 1点 OPS.426
2 橋本到(右) 74試 率.233 2本 20点 OPS.635
3 クルーズ(遊) 81試 率.252 11本 37点 OPS.690
4 ギャレット(指)123試 率.258 24本 68点 OPS.813
5 北 篤 (左) 3試 率.200 0本 0点 OPS.629
6 片岡治大(二) 32試 率.222 2本 4点 OPS.609
7 辻東倫(一) 15試 率.176 0本 0点 OPS.535
8 相川亮二(捕) 37試 率.244 0本 4点 OPS.626
9 柿沢貴裕(三) 楽天からトレード加入
P 高木勇人 25試 5勝9敗 防4.31
文=中溝康隆(なかみぞ・やすたか)