“平成の怪物”も入団テストへ
年も明けて、球春到来もすぐそこ。プロ野球界は各球団の補強も一段落したところだろう。
残すはメジャーリーグの移籍市場で溢れた新外国人選手や、キャンプでの入団テストに挑む選手たち。そのうちの一人が、松坂大輔(前・ソフトバンク)である。
松坂は1月下旬に中日のテストを受ける予定で、合格すればそのまま2月1日から行われる春季キャンプに合流する。2015年に日本球界へ復帰したものの、3年間で登板はわずか1試合のみ。引退をかけた最後の戦いとなるかもしれない。
2年で優勝、3年は敗れるも…
その松坂は、2018年シーズンに38歳となる『松坂世代』(1980年4月2日~1981年4月1日生)ということだけでなく、『夏の甲子園優勝投手』としての看板も背負っている。
近年はプロ入り後に苦戦するパターンが目立っている「夏の甲子園優勝投手」であるが、一体どのような成績を残しているのか振り返ってみたい。
まず、圧倒的な存在感を放っているのが田中将大(ヤンキース)だ。駒大苫小牧高では2年時に優勝投手となり、3年時は斎藤佑樹を擁する早実を前に屈するも準優勝。その年の秋のドラフトで楽天から1位指名を受ける。
1年目から11勝をマークして新人王に輝くと、7年間のキャリアで通算99勝をマーク。2013年にはシーズン24勝0敗という異次元の成績を残し、チームを創設初優勝&日本一へと導いた。
そのオフ、メジャー挑戦を表明した右腕はヤンキースへと移籍。メジャーでもここまで4年連続で2ケタ勝利を記録しており、2017年シーズンは好不調の波があったものの、13勝(12敗)と奮闘。2018年シーズンもローテーションの中心として期待されている。
復活と期待
NPBに目を移すと、近藤一樹(ヤクルト)の活躍が光った。
2001年に日大三高で全国制覇を成し遂げた近藤は、近鉄・オリックスを経て2016年途中からトレードでヤクルトへ加入。2017年は中継ぎの一角としてキャリアハイとなる54試合に登板した。2018年シーズンもブルペンでのフル回転が求められている。
2015年に東海大相模高で優勝投手となった小笠原慎之介(中日)は、手術の影響で2017年シーズンの開幕こそ出遅れた。しかし、先発として19試合に登板して5勝(8敗)をマーク。2年目のシーズンとしては上々の成績といえるだろう。新成人として挑む2018年シーズンの飛躍に大きな期待がかかる。
今年が正念場の選手も…
一方で、昨季も苦しい戦いを強いられた選手も。
松坂と同じく春夏連覇を達成している藤浪晋太郎(阪神)や島袋洋奨(ソフトバンク)はともに不調。藤浪はキャリア最低となる11試合の登板にとどまり3勝(5敗)。このオフにダルビッシュ有(ドジャースFA)らとトレーニングを行うことも報じられており、どうにか復活のキッカケを掴みたいところ。
トルネード旋風を巻き起こした島袋は、夏場に手術をした影響もあり、このオフに自由契約を経て育成契約を結び直している。まずは支配下復帰を目指したい。
また、斎藤佑樹(日本ハム)や堂林翔太(広島)らは世代的に中堅の域に入ることからも、若手選手を引っ張っていくことが求められる立場。若い選手が伸びる土壌がある両チームだけに、2018年は正念場となりそうだ。
2018年は、夏の甲子園も第100回の記念大会になる。それだけに、過去の甲子園大会に対する注目も大きくなるだろう。その甲子園において、まさに“象徴”と言える存在の松坂には、かつての『甲子園優勝投手』たちに刺激を与えるような復活劇を見せてもらいたい。
【甲子園優勝投手の今】
※2017年シーズンにNPBもしくはMLBに所属していた選手
1998年:松坂大輔(横浜→西武)※前ソフトバンク
[成績] 一・二軍ともに登板なし
2001年:近藤一樹(日大三→近鉄)※現ヤクルト
[成績] 54試 2勝4敗1セーブ・14ホールド 防4.72
2005年:田中将大(駒大苫小牧→楽天)※現ヤンキース
[成績] 30試 13勝12敗 防4.74
2006年:斎藤佑樹(早稲田実→日本ハム)
[成績] 6試 1勝3敗 防6.25
2009年:堂林翔太(中京大中京→広島)
[成績] 44試 率.217 本1 点11
2010年:島袋洋奨(興南→ソフトバンク)
[二軍成績] 27試 1勝1敗 防4.63
2012年:藤浪晋太郎(大阪桐蔭→阪神)
[成績] 11試 3勝5敗 防4.12
2013年:高橋光成(前橋育英→西武)
[成績] 7試 3勝4敗 防4.12
2015年:小笠原慎之介(東海大相模→中日)
[成績] 22試 5勝8敗 防4.84
2016年:今井達也(作新学院高→西武)
[二軍成績] 7試 1勝0敗 防2.35
2017年:清水達也(花咲徳栄→中日 )
☆ドラフト4位指名