908投手から安打を記録
日本球界復帰もささやかれていたイチローが、古巣マリナーズに復帰した。背番号は見慣れた「51」だ。
イチローにとって、2018年はあくまでも通過点となるのか、それとも“メジャー最後のシーズン”となってしまうのか…。期待と不安が交錯する中、再びマリナーズの一員としての船出となる。
オリックスからマリナーズに移籍したのは、2001年にさかのぼる。その後、17シーズンで実に1,339人もの投手と対戦してきた(プレーオフを含む)。現在のプロ野球12球団の選手数が約900人(育成選手を含む)と言われているから、その多さがわかるだろう。
イチローは、対戦した1339投手のうち実に908投手から安打を記録。そして94投手から本塁打を放っている。30打席以上対戦した投手は76人。うち46人から打率3割以上をマーク(4割以上が6人)。打率2割未満に抑えられたのは、レンジャーズとエンゼルスで活躍したC.J.ウィルソンただ1人だけだ(46打数9安打=打率.196)。
これまでイチローと最も多く対戦した投手は、現在フリーエージェントのジョン・ラッキー。対戦数は130回に上り、通算122打数37安打(打率.303)と互角の勝負を演じている。ちなみに、イチローから最も多く三振を奪った投手もラッキーだ(16個/現ホワイトソックスのジェームズ・シールズとタイ)。
NPB経験者・日本人投手との対戦も多かった
中でもイチローが最も苦しめられた投手の一人が、かつて阪神に在籍していたことでもお馴染みのライアン・ボーグルソン。通算18回の対戦で、なんと15打数無安打と完ぺきに抑え込まれた。
ちなみに、イチローと10打数以上対戦しながら無安打に抑えたというのは、このボーグルソンだけである。
一方で、イチローが得意にしていた投手にも日本のプロ野球(NPB)経験者が多い。例えば2013年にソフトバンクでプレーしたビセンテ・パディーヤに対しては、打ちも打ったり42打数21安打で打率.500。ほかにも、2008年に西武でプレーしたマット・キニーからは4打数4安打、2007年から3年間日本ハムに所属したブライアン・スウィーニーも3打数3安打と完ぺきに打ち込んだ。
イチローが最も多く本塁打を放った投手もNPB経験者だ。2007年に西武でプレーしたジェイソン・ジョンソン。通算34回の対戦で4本塁打を放っている(32打数10安打=打率.313)。
そしてイチローは、多くの日本人投手とも対戦。野茂英雄を筆頭に松坂大輔やダルビッシュ有と数々の名勝負を演じてきた。
対戦した日本人投手は実に24人にも上る。その中で最も対戦数が多かったのは、松坂大輔で34回。結果は27打数の7安打、打率.259という数字が残っている。
日本人投手のなかで得意としていたのが左腕の石井一久。対戦数こそ少ないが、4打数3安打で1本塁打、4打点という好相性。一方、同じ左腕でも高橋尚成は通算6打数無安打と封じ込まれている。
44歳にして新たにメジャー契約を勝ち取ったイチロー。同じ地区のエンゼルスに所属する大谷翔平との対決にも期待が高まる。
マリナーズでの第2章に挑むイチローは、どんな名勝負を生み出してくれるだろうか。
文=八木遊(やぎ・ゆう)