小笠原はまたもエルドレッドに被弾
3月30日、いよいよ2018年シーズンの幕が開けた。中日は球団史上最年少の開幕投手としてプロ3年目、20歳の小笠原慎之介を広島戦のマウンドに送り出した。しかし、初回、3回と失点を重ね、味方に逆転してもらった直後の6回にはエルドレッドに同点アーチを被弾するなど3点を失って力尽きた。
これで、エルドレッドは昨季の3打席連続を含む4本塁打に続き、小笠原から放った安打は5本続けての本塁打。小笠原からすれば天敵としか言いようがない。逆に、エルドレッドは何度でも小笠原と対戦したいところだろう。
どんな選手にも苦手とする相手、得意とする相手がいる。いわゆる“相性”の良し悪しだ。ここでは投手にとって相性の悪い打者、“天敵”を探ってみる。対象としたのは小笠原を含む今季の開幕投手。開幕投手は各チームのエース、あるいは小笠原のように将来のエースにと期待される投手が務める。当然、高い能力を誇る投手だが、そんな彼らの登板試合でも、ファンも含めて油断できない相手を探ろうというわけだ。
10打席以上の対戦で菅野相手の3割は2人
下記は今季の開幕投手たちが、昨季10打席以上対戦した打者のなかで最も高い打率を許した相手、“天敵”である。同率の選手がいた場合は、対戦打席が多い選手とした。
【今季開幕投手の天敵】
※昨季10打席以上対戦し、最高打率を許した相手
<広 島>
野村祐輔 ⇒ 鳥谷敬(阪神)
率.600(10-6)0本 4四球
<阪 神>
メッセンジャー ⇒ 菊池涼介(広島)
率.700(10-7)0本 0四球
<DeNA>
石田健大 ⇒ バレンティン(ヤクルト)
率.455(11-5)1本 0四球
<巨 人>
菅野智之 ⇒ ロペス(DeNA)
率.391(23-9)1本 0四球
<中 日>
小笠原慎之介 ⇒ 中井大介(巨人)
率.667(9-6)0本 1四球
<ヤクルト>
ブキャナン ⇒ エルドレッド(広島)
率.500(10-5)1本 2四球
<ソフトバンク>
千賀滉大 ⇒ 田中賢介(日本ハム)
率.500(10-5)0本 0四球
<西 武>
菊池雄星 ⇒ ロメロ(オリックス)
率.400(10-4)0本 0四球
<楽 天>
則本昂大 ⇒ 鈴木大地(ロッテ)
率.462(13-6)0本 0四球
<オリックス>
西 勇輝 ⇒ 島内宏明(楽天)
率.385(13-5)2本 0四球
<日本ハム>
ロドリゲス ⇒ 新加入
<ロッテ>
涌井秀章 ⇒ 中島宏之(オリックス)
率.500(12-6)0本 3四球
被打率から見る小笠原の天敵は中井大介(巨人)だったが、エルドレッドも中井に続く打率.444を残しており、小笠原にとってはとにかく怖い相手だろう。
天敵に許した打率が最も低いのは西勇輝(オリックス)で、島内宏明(楽天)の.385が最高だ。しかし、昨季の西はケガや不振によって登板試合数自体が20試合を割っており、10打席以上対戦した打者は楽天と日本ハムの11人の選手に限られたなかでの数字。そのうち半数近くの5人に3割以上の打率を許しており、昨季の不振が表れた数字ともいえる。
天敵に対して西に続く成績を残したのが菅野智之(巨人)。菅野が10打席以上対戦した23人の打者のなかで、3割以上の打率を残したのは、ロペスのほかには上本博紀(阪神/.375)ただひとり。残る21人のうち、7人は打率2割台、14人は2割を切っている。さすがは球界を代表する投手。結果を見ても、あらゆる打者をまんべんなく打ち取っている。
さて、この相性は昨季たまたまそうなっただけのものか、あるいは今季にも続くものなのか。チームの命運を握る開幕投手と天敵たちとの対戦にも注目したい。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)