コラム 2022.01.29. 07:08

あまり活躍はできなかったけど…珍プレー・珍ハプニングで名を残した「助っ人列伝」

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頭部に死球を受け、マウンドに向かうキンケード (C) Kyodo News

“当たり屋”として名を馳せた男


 例年よりも短いオフも、もうすぐ終わり。2月1日からは、プロ野球の春季キャンプがスタートする。

 ここに来て新型コロナウイルスの感染者が増えてきている点は気がかりだが、3月25日の開幕へ向けてセ・パの12球団が始動。2022年シーズンの戦いがいよいよはじまる。




 キャンプで気になるポイントと言えば、新戦力のチェック。コロナ禍のため、新助っ人の合流がままならないチームも多いが、今回はそんな“助っ人”にフォーカスを当てて、その中でも“記録”よりも“記憶”に残った選手たちを振り返っていきたい。

 当然ながら大きな期待を背に日本にやってくる助っ人選手だが、残念ながら期待外れの成績で終わった選手というのも多くいる。にも関わらず、「あぁ、あの選手ね」と、まさかの珍プレーや珍ハプニングでファンの記憶に残り、愛されている選手というのも少なくない。

 まずは驚異的な死球の多さから「当たり屋」としてその名を残した、マイク・キンケード(阪神/2004年)から。



 4月2日の巨人戦。来日初打席でいきなり上原浩治から死球を受け、NPBのキャリアをスタートしたキンケード。

 同9日の中日戦でも、4回にマーチン・バルガスの投球がヘルメットの左こめかみ部分を直撃。これが開幕から7試合で、なんと6個目の死球だった。

 次の瞬間、ぶち切れたキンケードはマウンドに向かって突進。ところが、やはり当たりどころが悪かったようで、意識が朦朧となってバッタリと倒れ込んでしまった。

 直後、なんとか立ち上がったものの、チームメイトのジョージ・アリアスに抱きかかえられてベンチに戻る途中、またしてもよろけて転倒したため、大事を取って担架に乗せられて退場した。

 病院での検査の結果、「左前頭部打撲」と診断。大事に至らなかったのは幸いだったが、岡田彰布監督は「頭やから心配やな。オレも2回頭に当たったことあるし。(診断は)打撲でも後遺症がなあ」と心配しきり。

 その後、キンケードは4月19日の中日戦で10日ぶりに戦列復帰を果たすも、いきなり2死球と「当たり屋」の本領を発揮。内角攻めに対しても避けない打撃スタイルが、死球の量産につながっていた。


 さらに同21日の中日戦では、0-1の4回二死の場面で、2ストライクから山本昌の内角低め直球を右ひざに受け、一塁に向かおうとしたが、ボールに向かって右足を突き出していたことから、渡真利克則球審は死球を認めず、「ボール」と判定して打席に戻るよう指示した。

 通訳から説明を受けたキンケードは、顔を真っ赤にして「ノー!」と叫び、渡真利球審に掴みかかろうとしたが、コーチ陣に制止され、打ち直しの打席で三振に倒れた。

 そして、5月11日の巨人戦でまたしても死球を受け、「左手薬指骨折」で二軍落ち。出場26試合で計12死球を記録したが、肝心のバットは打率.233で3本塁打、7打点と思うように当たらなかった。


スポドリの飲み過ぎで試合がストップ?


 つづいては、試合中にスポーツドリンクを飲み過ぎて気分が悪くなるという衝撃の珍事で知られるレス・ウォーランド(横浜/2009年)のお話。

 7月14日の広島戦に先発したウォーランドだったが、5回の攻守交代時になってもなかなか姿を現さない。間もなく「ウォーランド選手が治療のため、しばらくお待ちください」という場内放送が流れた。

 ほどなくして、治療を終えてマウンドにやって来た左腕だが、なにやら胸から胃の辺りをさすっている。ネット上では「治療ではなく、嘔吐していたのでは?」の声も出た。

 一体、何が起こっていたのか…。その裏にあったのが、「すごくいいと思ったスポーツドリンクがあって、それを飲み過ぎて気分が悪くなった」という冗談みたいな理由。

 田代富雄監督代行も「ちょっとは考えて飲めよな」と呆れ顔だったが、0-1で降板した直後の6回、味方が4点を挙げてくれたことから、ラッキーな白星を手にした。


 ちなみに、ウォーランドは7月20日の巨人戦でも7回途中1失点で5勝目を挙げたが、試合後にスタンドのファンに挨拶している最中に、男性ファンに帽子を奪われてしまうというひと幕も。

 また、8月27日の阪神戦では、KOされた直後に八つ当たり気味にグラブをスタンドに投げ込むなど、しばしば奇行やハプニングの主人公になった。


巨人史上初!「振り逃げによる珍決勝点」を演出


 最後は三振したにもかかわらず、勝利のヒーローになったジョシュ・フィールズ(巨人/2011年)のお話。

 7月28日の横浜戦。5回にアレックス・ラミレスの2点適時打で同点に追いついた巨人は、なおも二・三塁の場面で打席にはフィールズ。しかし、カウント1ボール・2ストライクから空振り三振に倒れてしまう。

 チャンスが潰えたかに見えたが、この時に捕手の新沼慎二が捕球に失敗。ボールは三塁側のファウルゾーンを転々としている。

 さらにマウンドのブレント・リーチが本塁ベースカバーに入らず、新沼と一緒にボールを追いかけて行ったことで、本塁はガラ空きに。この間に2人の走者が相次いで生還。巨人は労せずして4-2と勝ち越した。

 これで勢いに乗った巨人は、8回にも打線が爆発して9-2の大勝。この結果、フィールズは勝利打点制が導入された1981年以降、球団では初となる「振り逃げによる決勝点」を記録することになった。

 思いがけずヒーローになったフィールズは、「勝ったのはうれしいけど、(サインの)バントができなかったのはショックだし、ラッキーとは思っていない」と複雑な表情を浮かべている。


 9月9日の広島戦では、4点を追う7回二死満塁で打席に立ったが、カウント3ボール・0ストライクから、見送れば押し出し四球という4球目のボール球を打って平凡な左飛。せっかくの“据え膳”をフイにしてしまった。

 ホワイトソックス時代の2007年には23本塁打を記録した期待の大砲も、日本では打率.202で2本塁打、9打点という勝手が違う結果に終わっている。


 巨人といえば、ほかにも一死一・二塁を二死と勘違いして、捕球した左飛をスタンドに投げ入れてしまったクリス・レイサムや、シーズン途中解雇当日の浅草観光で“仲見世リ”の異名を取ったダン・ミセリなど、“番外編”で名前を記憶されている助っ人も多い。


文=久保田龍雄(くぼた・たつお)

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