コラム

今年39歳のリードオフマン 松井稼頭央が放つ大きな存在感

まだまだ元気いっぱい! 39歳を目前にして全盛期の輝き

松井稼頭央,

 楽天の大ベテラン、松井稼頭央が好調だ。

 7月3日のオリックス戦で今季初となる1番に座り、2安打3得点の活躍を見せると、続く4日のソフトバンク戦では猛打賞に2盗塁を記録。5日、6日のソフトバンク戦は各1安打に終わったが、このところの彼を見ていると、まるで全盛期のような輝きがある。

 かつてのような長打こそないにせよ、コンパクトに振り出されるバットから放たれる打球にはスピードがあり、狙い済ましたように野手の間をライナーで抜けていく。

 その松井、もう今年で39歳になる。西武やメジャーリーグで大活躍した男も、2011年に日本球界復帰してからは、満足する数字は挙げていない。もちろん、年齢的な衰えもあるし、幾度となく経験した故障でその体は満身創痍の状態だろう。それでもなお、他の選手が松井から学ぶべきことはまだまだありそうだ。


“走攻守”において一級品 楽天が常勝チームになるための見本



 まずシェイプアップされた肉体に目がいく。並の選手であれば、年齢とともに体重も増え、明らかに体の変化が出てくるもの。でも、松井の肉体は若い頃とまったく変わっていないよう見える。強い肉体を維持できるプロ意識があるからこそ、今なおこうして“動く”ことができるのだ。「プロなら当たり前」と言いたくなるところだが、それを実際にできる選手はほんの一握りである。

 次に守備。守備範囲こそ狭くなってはいるが、グラブさばきと、スナップスローは球界でも随一であろう。特に手首の使い方に関しては、12球団ナンバーワンと断言していいと思う。不利な体勢で捕球しても、一瞬で体に軸を作って、スナップスローで矢のような送球を投げることができる。これはきっと、体幹の強さがあるからこそできる芸当。バックハンドトスも一級品で、三塁を守っていた6月13日の広島戦では、三遊間のゴロを捕球してそのまま二塁にバックハンドトスし封殺したスーパープレーがあった。

 走塁も付け加えておきたい。1997年には62盗塁でタイトルを獲得し、同年から3年連続で盗塁王を獲った松井。昨年は1個という数字に留まったが、前述したように7月4日の2盗塁を見れば、まだまだ走れる選手であることが分かる。休養中の星野仙一監督は“走らせない”監督として知られている。何せ、昨年はリーグ最小の62盗塁で優勝したほどだ。つまり、盗塁のサインを松井に出さないというだけなのである。先日の2盗塁は、まだまだ松井が走れる選手であることを印象づけるには十分だった。

 最後に、もうひとつ。今季の松井は上位チームの投手をよく打っている。1勝10敗の対オリックスに.344で、4勝6敗の対ソフトバンクに.375と存在感が光る。実は楽天、この2チーム以外には勝ち越していて、この数字からも上位進出には松井のバットが欠かせないということになる。強いチームを相手に、松井の勝負強さ、メンタルの強さが光っている。

 と、結局、走攻守に渡り今年39歳になろうともチームを代表する選手で居続ける松井稼頭央。楽天が常勝チームとなるためにも、まだまだ見本にすべき選手であるし、野球をプレーするすべての日本人にとっても参考になる選手であることは間違いないだろう(数字は7月6日現在)。

文=岩川悟(いわかわ・さとる)
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