コラム

パ・リーグ首位打者争いに大注目! 「地方大学出身の大型外野手」柳田悠岐(ソフトバンク)

左打ち転向即3割の天才少年がパ首位打者を狙う大型外野手に



 開幕から飛ばしてきたオリックスを、ついにとらえたソフトバンク。パ・リーグは現在、この2チームが激しく首位を争っている。

 そんな中で打撃成績1位と2位にいるのが、両チームの大型外野手、糸井嘉男(オリックス)と柳田悠岐(ソフトバンク)だ。年下の柳田が糸井を慕っていて、今年1月には自主トレを一緒に行ったという「師弟関係」でもある。共に「3割、30本、30盗塁」を狙う万能選手だが、糸井に比べれば知名度が高くはない柳田に、スポットを当ててみたい。

 柳田悠岐は1988年10月生まれ、広島県広島市の出身。田中将大(ヤンキース)、前田健太(広島)らと同じ「88世代」である。ドラフト同期生には、斎藤佑樹(日本ハム)、大石達也(西武)、福井優也(広島)の「早稲田大トリオ」、澤村拓一(中央大→巨人)、大野雄大(佛教大→中日)らがいる。

 野球を本格的に始めたのは、広島市立大塚小学校3年生のとき。西風五月が丘少年野球クラブに入団した。1番など上位打順で投手兼内野手。「センスがあって足が速い」「バットコントロールがいい」といった能力を生かすため、6年生で左打ちに転向。即対応して、その年の通算打率.309、約190打席で三振7という記録を残している。

 広島市立伴中学校時代は、軟式クラブ・八幡少年野球クラブでプレー。巧みなバッティングなどセンスは際立っていたものの線が細く、主に9番・サードだったという。

 なお、広島は軟式のクラブチームが盛んな地域で、大田泰示(巨人)、上本博紀(阪神)&崇司(広島)兄弟は、軟式クラブ・松永ヤンキース出身である。また、2012~2013年と2年連続で全日本少年軟式野球大会に出場した広島スターズは、2012年3位、2013年準優勝と全国レベルの実力を誇っている。

 中学卒業後は、地元の強豪・広島商業高校へ。2年秋にサードのレギュラーを獲得するも、イップスによって思うように送球できなくなり外野へ転向。大学時代のインタビューでは「入学当時170センチぐらいだったのが、2年秋には179センチぐらい。急に大きくなったせいか、捕球と送球のリズムが変わって、内野守備が急にヘタになって……」と自己分析している。ショックな出来事だったに違いないが、このコンバートで強肩に磨きがかかったとも明かす。
最後の夏は県大会ベスト4。高校通算11本。県内で注目を集めていたのは、その年のドラフト1位でプロ入りする広陵高校のエース・吉川光夫(日本ハム)だった。


「地方だから…」を払拭した大学時代 4年目でプロ仕様になった体と技術!



 野球は高校でやめるつもりが、「お前はまだまだ伸びる!」と指導者に説得され、広島六大学リーグに所属する広島経済大学へ。野球を続けるならと、高校卒業後から取り組んだのがウエートトレーニングだった。68キロしかなかった体重は、大学入学時には78キロに。その後もジムに通い続けた結果、4年時には88キロと肉体改造に成功。身体能力も大きくアップした。

 1年秋に外野のレギュラーをつかむと、打率.406で首位打者を獲得。ところが、周りが「プロに行けるぞ!」と評価しても、「この数字は地方リーグだから…」と考えていたという。

 意識が変わり始めたのは2年春のリーグ戦後、念願だった全日本大学野球選手権大会に出場したのがキッカケだった。1回戦で負けた函館大学の坂田遼(西武)のスイングスピードに圧倒され、東京で目にした選手達がプロ入りしていくのを見て、「プロ基準」のような感覚をつかんだという。翌年、2度目の出場を果たしたときは、さらに冷静に周りを見ることができた。「さすがだなと感じるピッチャーは全国でも一握り。ほとんどは広島六大学とあまり変わらない」。ようやく、「もしかしたら、自分もプロに行けるかもしれない」と思うようになった。

 大学4年間で通算118安打、打率.428、首位打者4度、ベストナイン6度。2010年秋のドラフトで、ソフトバンクの2位指名を受けた。当時の野球雑誌には「外野守備と走塁は即戦力。1軍のピッチャーのインコース攻めに対応できるかがポイント」とあり、本人も大学の指導者も「バッティングが課題」と認めている。

 プロ1年目、2年目は結果を残せずに終わり、3年目の昨年は104試合出場で打率.295と健闘。迎えた4年目、開幕10試合目終了時点では打率.161と低迷していた。そこから調子を上げて交流戦直前に3割に乗せると、そのまま3割をキープ。打撃成績1~2位を定位置としている。
大型選手ということでパワーが喧伝されがちだが、高校までは細身のテクニシャンである。体と技術の成長がマッチして「プロ基準」に対応。これからが真の実力発揮、能力開花の時を迎えるのだろう。


文=平田美穂(ひらた・みほ)
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