苦手の交流戦で大健闘!
30勝41敗1分――。これが何の数字かお分かりだろうか。今年の交流戦、ここまでのセ・リーグ全体の成績である。
過去11年の戦いで、セ・リーグが勝ち越したのは2009年のたった1度だけ。伝統的にパ・リーグが強さを見せる交流戦であるが、今年もその通りの結果となりつつある。
そんな中、セ・リーグにこの交流戦で貯金を作っているチームがある。それがDeNAだ。
2005年から2015年までの11年間で、交流戦の通算成績は105勝170敗1分。とにかく交流戦には良い思い出がなく、12球団で最も苦手としていたはずのDeNAだが、今年は7勝5敗と大健闘。セのチームの中ではトップという成績を残している。
ラミレス新監督のもと、リーグ戦も2位につける好調なチーム。その最大の強みは、何と言っても安定した先発投手陣にある。中でも、このところ安定感を発揮しているのが山口俊だ。
新監督からの期待を裏切った“投手キャプテン”
2005年の高校生ドラフト1位で入団した男も、今年で11年目を迎える。
ラミレス新監督には就任直後から期待を寄せられ、「選手会長」と「投手キャプテン」の大役に抜擢。チームを引っ張る存在として開幕投手も託されるが、開幕を直前に控えた3月序盤のファームでの調整登板で足を負傷。開幕には間に合わず、いきなり新監督からの期待を裏切る結果になってしまった。
それでも、4月9日のヤクルト戦で今シーズンの初登板を果たすと、7回途中までに5失点を喫しながら、自ら2ランを放つなど2打点の活躍で今シーズン初勝利をマーク。
その後は良い・悪いが交互に来る投球が続くも、交流戦に入っての初戦となった6月5日のロッテ戦で完封勝利を挙げると、さらに翌週の12日・オリックス戦でも敵地で5安打完封の快投。球団では2007年の9月28日~10月5日にかけて達成した寺原隼人以来となる、2試合連続での完封勝利を成し遂げた。
悲願のCS進出、18年ぶりの優勝へ...!
先発防御率3.05と、先発投手の投球イニング419回2/3はともに両リーグで断トツ。今シーズンのDeNAは、とにかく安定した先発陣が強みとなっている。
交流戦に入ってから、石田健大や井納翔一といったここまでの快進撃を支えてきた投手たちが2連敗。先発陣に若干の陰りが見えた中で、柱となる山口がしっかりとした状態で立っていてくれるのはラミレス監督にとって心強いことこの上ない。
出だしこそつまずいたものの、やはり中心はこの男。新監督が期待を寄せるエースがきっちりと仕事を果たした時…悲願のCS出場はもちろんのこと、18年ぶりの優勝も手に届く範囲まで来ているかもしれない。