巨人を相手に8年ぶりの勝ち越し
西武の執念を見た3連戦だった。
6月7日から9日にかけて、西武プリンスドームで行われた西武と巨人の3連戦。両者譲らぬ熱戦は2勝1敗で西武が勝ち越し。実に2008年以来、8年ぶりに西武が巨人を相手に勝ち越した。
埼玉西武ライオンズ。もともとは、西鉄ライオンズ。西鉄を西武が買収し、現在のチーム名になった。
西鉄のころから、巨人への強い対抗心を燃やしてきた西武。「神様、仏様、稲尾様」と呼ばれるほどの絶対的エースだった稲尾和久を中心に強力チームとなった西鉄が、長嶋茂雄や藤田元司らを擁してセ・リーグを制した巨人と激突した1958年の日本シリーズは今でも語り草だ。
巨人の3連勝のあと、西鉄が4連勝で逆転日本一。稲尾は3連敗のあとに4連投で4連勝。打っても自らサヨナラ本塁打を放つなど、まさに神様級の活躍でチームを日本一に導いた。
どちらが勝っても不思議ではなかった3連戦
名前が西武と変わった後も、何度も日本シリーズで戦った両チーム。互いに黄金期を築き上げ、両者の対戦は「本当の球界の盟主はどちらだ!?」とまで大きく報じられるようになった。そんな歴史があるからこそ、巨人への対抗心は今でも薄れていない。
今季の西武は、リーグ戦では不調が続いた。強力打線もどこか繋がりに欠け、良くも悪くもメヒア頼みという状況。加えて投手陣ではエースの岸孝之にリリーフ左腕の高橋朋己が離脱を強いられ、早くも首位・ソフトバンクとは10ゲーム以上も離されている。
しかし、交流戦に入ってからは3カード続けての勝ち越し。これまであまり得意な方ではなかった交流戦で健闘を見せており、負けが続いていた巨人を相手にも勝ち越してみせた。
ここで、3試合のランニングスコアを見てみよう。
【西武-巨人・3連戦】
<6月7日>
巨人|000 200 000|2
西武|010 320 00X|6 (35打数10安打)
<6月8日>
巨人|050 000 110|7
西武|020 000 210|5 (36打数10安打)
<6月9日>
巨人|101 010 010|4
西武|000 002 50X|7 (34打数11安打)
西武が3戦連続の2ケタ安打で2勝1敗と勝ち越し。ただし、このランニングスコアを見てみると、3試合ともどちらが勝っていても不思議ではなかったことがわかる。
初戦では、4回に巨人が逆転したものの、西武がその裏に再逆転。2戦目は2回の5失点が最後まで響く結果も、粘り強い追い上げを見せた。迎えた3戦目、5回終了時点で0-3と劣勢だったが、7回に一挙5点を挙げて逆転。そのまま逃げ切った。
ここまでのチーム打率は.270という西武であるが、巨人との3連戦では合計105打数31安打。打率にして.295という好成績を残した。巨人戦となると、燃える…。そんな過去のDNAが今でも染みついているのかもしれない。
逆襲のレオがパ・リーグを盛り上げる!
さて、ここにきて状態上向きの西武。10日の中日戦でも勝利を収め、いよいよ借金完済。勝率5割に復帰した。エース・岸孝之も復活間近という明るいニュースも飛び込んできており、ここからの逆襲へ期待が高まっている。
交流戦での対戦を終えたため、このあとのシーズンで巨人との対戦はもうない。あるとすれば、シーズンを勝ち抜いた先に待つ日本シリーズということになる。
独走状態にあるソフトバンクをはじめ、ロッテや日本ハムといった上位チームを叩いていかなければ先はない。「常勝西武」の復活へ…。巻き返しの気配を見せる白い獅子から目が離せない。